晴男チームキャプテン二人のおかげか、心配された雨もほんの少しぱらついただけの曇天となり、広大な施設の人工芝でスケジュール通り堺RSさんとの交流戦が無事終了しました。戦績は5勝1敗。生徒達28人はそれぞれの持ち場でオールアウトできたようです。幼年から全く歯が立たなかったスクールさんにも初めて1勝をあげることができました。明暗を分けた6試合を振り返ってみたいと思います。
第一試合:アナキン・スカイウォーカーズ(Y5、H6、K8、H9、H13、S14、S25)vs高槻RS
強豪の強さを初めて体験した生徒もいましたが、その生徒の中でS25が果敢に前に出ます。ハイタックルこそ取られましたが、前に出るという気持ちの伝わるプレーでした。スクラムハーフとしてバックスに伸びのあるボールも供給できていました(MOM)。フォワードはキックオフ後のラックではオーバーができていましたが、相手の猛攻に徐々に高くなり、何度もターンオーバーされました。前半は1分毎にトライを奪われるような勢いで0-9。後半も同じメンバーで臨み巻き返しを図りましたが、K8の負傷退場(J22に交替)、さらにはチームキャプテンH13が目を叩かれたのか自ら白旗をあげ、K20が威勢良く交替。そんな中、H9が自陣から抜け出て相手ゴール前まで大きくゲイン(MOM)。1点が欲しいところでしたが、堅いディフェンスに阻まれ0-15と痛恨の零封負け。チーム名が良くなかったか、初戦から暗黒面へまっしぐら。
第二試合:レッドドラゴンズ(S1、T2、S10、R15、Y17、T18、M19、J22)vs堺RS
堺さんは6名参加のため前後半各1名(前半はゲームキャプテンR21、後半はチームキャプテンH7)を加えてキックオフ。開始30秒、1分と立て続けにゲームキャプテンT18、チームキャプテンR15が巧みなステップでトライ連取。3分にはY17がトライ。Y17は大きい相手に果敢に低いタックルを決めたり、タックルを受けた後のロングプレイスがよくできていた他、ラックのオーバーも力強く、GCが決めたフライハーフのポジションもそつなくこなしていました(MOM)。S10、T2、M19と6人違う選手がトライという偶然が生まれ、あとはS1というところで、3分早くハーフタイムの笛。全員トライという珍記録ならず残念でした(7-0)。後半はS1に代わってJ22登場。3分・5分にトライを決めるなど猛攻はさらに激しさを増して16-0でフルタイム。切れ味鋭いステップでの3トライだけでなく、イーブンボールへの働きかけが早かったT2がMOM受賞。
第三試合:ルーク・スカイウォーカーズ(前半Y3、K4、H7、A11、M23、R24、K27。後半K16、K20、R21、R26、H29、T30)vs八尾RS
開始1分、相手にトライを献上後、K4がカウンターの2連続トライで逆転。しかし、スクラムサイドをスピード感ある走りでトライした相手エースに同点とされ重苦しい空気が立ち込める中、均衡を破ったのは初めてのゲームキャプテン指名を受け思うところがあった様子のA11。大股で2トライをがっぽがっぽ(MOM)。相手の巨漢FWDコンビに3トライされながらも同点で後半メンバーにバトンタッチ。後半はK4が2トライの活躍で再逆転。R21のキックオフでのドロップゴール(言われなくても練習してきたのは流石ゲームキャプテンの自覚!)もばっちり。2点差ながら追い込まれ苦しい展開の中盤、K16は男の子をちぎっては投げ、ちぎっては投げの大活躍。新人ラガールH29に身をもってラグビーのタックルを実技指導していました(WOM)。H29は飛んで来たボールを初キャッチし相手の猛攻によく耐えモールパイルアップで抑えることができました。その後のラックではノットリリースザボールを取られ、モールとラックの違いがわかったことでしょう。また日記に書いて来るかな。R26は相手を引きつけてK4にラストパスができました。終盤は、GCのR21が40M独走、K20も50M独走で連続トライ(二人ともスライディングが決まっていました)しノーサイド(11-6)。
第四試合:レッドドラゴンズvs高槻RS
試合前から円陣を組んで入念に意思疎通を図り、アナキンチームが大敗した相手に再挑戦です。開始3分までに相手エースの2連続トライで苦しい立ち上がりでしたが、相手の2連続ペナルティから執拗な縦攻撃でS10が飛び込んでトライ。ここから我慢のラグビーが4分近く続きます。自陣ゴール前のピンチを何度も凌いでゴールを全員で死守。8分、わずかな隙をついてS10(MOM)がY17にオフロードパスでゴール前の呪縛から解かれ、最後はノリノリのJ22が右隅に飛び込んで同点トライし、後半に望みを託します(2-2)。後半は、体調不良の中T18が出場志願。その男意気を買って行けるところまで行ってみろとばかり送り出しました。3分、ゲームキャプテンが飛び出し、S10にパスし、これまでの対戦で初めての逆転トライに成功。ノリノリ君J22が中央突破で鷲掴みトライしたところで、「もしや」の思いが浮かびます。しかし、相手エースのトライで1点差まで詰め寄られたラスト3分はどちらが勝ってもおかしくない戦況でした。レフリーも含め見ている大人たちがワクワクしたんではないでしょうか。勝ち負けを通り越したボールの見えるわかりやすいラグビー。そんな名勝負は小さな巨人M19のトライ(果敢なタックルも含めMOM)により5-3で高らかなホイッスル。ウェールズ来日を記念する大勝利でした。
第五試合:ルークスカイウォーカーズvs堺RS
八尾RSさんに勝った前回からメンバー構成を入れ替えて前後半を戦いました。ゲームキャプテンA11がタックルを見せるも2トライを早々に奪われる苦しい立ち上がりでしたが、救世主かもしれない新人K27のタックルで流れが変わったか、A11のオフロードパスがK4に繋がりトライ。A11はさらに相手ラックのボールをターンオーバーしK4が同点トライ。R21が猛追しタックルを敢行するも逆転トライ献上。ここで引き下がらないのがゲームキャプテンR21(MOM。今思えば前半に二人ゲームキャプテンがいました)。ラックでボールを味方に見せてK4(MOM)の同点トライに繋げました(3-3)。後半2分、相手の逆転トライの後、新人T30の負傷退場のアクシデントでM23が交替し、劣勢を翻すトライで追いつき、最後はR21のトライラインを越え6-5でノーサイド。
第六試合:アナキンスカイウォーカーズvs堺RS
第一試合は「死んだふり」だったのかと思わせるような各個人スキルを十二分に発揮した最終試合となりました。相手チームには前半イメージキャプテンJ22、後半はチームキャプテンを派遣したので、タイトな試合が予想されましたが、前半はJ22を振り切る連続トライで7-2(2点はJ22のトライ)。後半もタックルでは定評のあるR15を巧みなステップワークで抜き去りK8がトライ(MOM)。自陣ゴール前マイボールスクラムでは、フライハーフS14がウィングに目配せし何かを企んでいる様子。なんと、スーパーラグビーの見過ぎか、ウィングに向かってキックパスを敢行。それがまたいいところに飛んでいくからあわやキャッチして独走トライかと思わせました。アイコンタクトでできてしまう三年生おそるべしです。最後はS25までR15をフェイントパスで抜き去りトライ。続々と金太郎飴が量産された長い一日が終わりました。第一試合の大敗を払拭する各個人のスキルをもって、ダークサイド(暗黒面)に誘われることなくアナキン軍団は、銀河帝国から反乱同盟軍に転向できました。
南海が「死んだふり」と揶揄されながらも1973年プロ野球パ・リーグプレーオフで優勝したことは、当時V9巨人に勝るとも劣らないと言われた最強軍団阪急の牙城をいかに崩すかを綿密な計画で実現した一例でしょう。当時の野村監督が最近著した本にその秘策は事細かく説明されています。野村監督がプレーオフで立てた戦略は「二戦重視」。
「戦力で劣るチームは、三連勝あるいは四連勝を狙っては絶対に勝てない。負けをうまく利用しながら、足りない戦力を有効かつ最大限に活用していく必要が生じるわけである。(中略)二戦重視の理由は、第一に、初戦は相手の手の内を探り、各バッターやピッチャーの情報を得ることに費やすためだ。」
野村監督は、最近のスポーツ指導者が「負けよりも、勝つことから得るものの方が多い」という考え方に一石を投じています。勝つことで自信が生まれるというのは非常に大切なこととしながら、だからといって敗因を分析せず、修正もしなければ、同じ失敗を繰り返すことになると。監督の「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」の名文句は、負けには、必ず負けにいたった理由があり、たとえ偶然や不運のように見えても、突き詰めれば必ずそれを招いた原因があるはずなのだという野村流「敗北力*」の考え方を端的に表しています。
今日の大勝利はもう済んだこと。相手は今日の敗因を分析してさらに強いチームになることでしょう。わが豊中三年生も決して奢ることなく、「小事が大事を生む」練習をこころがけて行きたいものです。
*敗北力=つねに最悪の状況を想定し、そういう事態に陥らないためにどうするか、さらにそうなったときにはどうするかという「そなえ」―ただ漠然と毎日を過ごすのではなく、あらかじめ感じ(予感)、あらかじめ想い(予想)、あらかじめ測り(予測)、あらかじめ防ぐ(予防)という姿勢を怠らない心構えを持つと同時に、負けや失敗から学び、それを勝ちや成功につなげる力