明け方の曇り空から降雨を心配していましたが、一転、真夏日になろうかという「暑い」体力測定となりました。記録争いも「熱い」闘いが繰り広げられました。
体力測定の目的は校長もおっしゃったように、定期的に測定した過去の記録と比較し自分の成長を確認すること。測定前に生徒31名(4名欠席)を集めて、スケッチブックに描いた『ドラえもん』に出てくる人物の顔絵を見てもらいました。「のび太!」と下手な絵でもわかってくれる甘々の四年生(A11は後でこそっと「のび太にはここんとこ(頭上)に二本、髪があんねんで」とアドバイスをくれました)。コーチがぬかってました。やはり子供はディテールまでよく見てます。
なぜのび太なのか? ええから早よやろと言いたそうな生徒に1分間お話しタイム。
「君たちはみんなのび太だ」一同ぽか~ん。
のび太は、「ジャイアンを見返してやりたい」「スネ夫に見せびらかされた」「しずかちゃんに好かれたい」といった状況をドラえもんに伝えます。新たな問題が起きたときのび太は、竹コプターやスモールライトが欲しいといった具体的な秘密の道具を要求することはありません。その問題の解決策はドラえもんが提案してくれます。
生徒もライバルに競争で負けたくない、あわよくば勝ちたいという思いを皆持っているところはのび太と何ら変わりません。しかし、35人の生徒は一人とて同じキャラクターのものはいません。誰だって自分の得意なこと、ちょっと苦手なことはあるものです。得意なことなら、どうやったら勝てるかたくさんアイデアが浮かんで課題を素早く解決できるでしょう。
生徒には、経営学で使われる客観的に自分の強み、弱みを分析する判断基準について説明しました。VRIOというのですが、そんな難しいことばは使わず、スケッチブックに四つの考え方を列挙しました。
①みんなの能力が価値を持っていて ②その能力がマレであり ③さらにマネするのが難しく ④なおかつその能力をうまく使えている そんな能力は持続的競争優位をもたらすという考え方。
今日の体力測定では、ただやらされているんじゃなくて、自分の強み、弱みを知ろうとすることが大事と説明し終わっていよいよ30メートル走から測定開始しました。生徒間の比較に何の意味もありませんが、四年生のレベル感をおさえておくべく、各種目上位3位までをここに記載します。初めて測定を行った生徒が4人、それ以外の生徒は過去の記録を大きく塗り替えていて改めてゴールデンエイジを迎えた生徒の成長に驚かされました。(括弧内は前回の記録)
■30M走
①S25:5.41秒(5.81) ②M23:5.46秒(6.06) ③S6:5.47秒(5.78)
■ベースランニング(10M四方)
①T18:8.44秒(9.35) ②M19:8.50秒(怪我のため記録なし) ③S25:8.69秒(8.96)
■30Mジグザグ走(5M毎に置いてあるコーンの外側を回りながらジグザグに30M前進)
①Y17:13.13秒(14.53) ②R15:13.59秒(15.32) ③S6:13.97秒(14.97)
■遠投(ラグビーボールを上手投げ)
①T2、J22:18メートル(いずれも14.5) ②M19:17メートル(13) ③T18:16メートル(13)
■キック(ラグビーボールを持ってキック)
①S25:23メートル(17.5) ②Y17、M23、R24:22メートル(Y17:16、M23:12、R24:14)③T2、T18:21メートル(T2:16.5、T18:18)
という結果でS25が2冠王に輝きました。
惜しくも3位内に入らなかった生徒もたくさんいました。
自分の強み、弱みが少し見えてきた四年生。これからは、心のなかのドラえもんからアイデアを貰うだけ。
『そう、あなたのポケットから出てくる「ひみつの道具」をいちばんうまく使ってくれそうな、あなたにとっての「のび太」のような存在を探せば、不毛な値下げ競争なんてしなくてもよくなります。「もっとも価値を感じてくれる人に届ける」。これがイノベーションの第一歩です。』(表題の本の作者川上昌直兵庫県立大学経営学部教授)