『人を助けるとはどういうことか』がわかって三年生

今日は広い高校のグラウンドで箕面RSさん、能勢RSさんとの合同練習・ゲームをたっぷり行いました。二年生総勢34名(箕面10名、能勢1名、豊中23名)の参加で親睦を深めることができました。遠方から参加くださった両RSさんに厚く御礼申し上げます。

まずはアイスブレーキングのウォーミングアップとして、コート全面にばら蒔いたコーン34個にコーチの笛の回数分素早くタッチする練習と、笛の合図でできる限りコーンをピックアップする競争を行いました。最高の3個をピックできたのはS25。今日はコーンを「持っている男」でした。次に「スポーツ鬼ごっこ」を4チームに分けて行いました。一度しかやったことのないゲームですが、豊中の生徒はすぐに思い出しゲームをリードしていました。ルールがわかってきた箕面さん、能勢さんも途中誰かが「作戦タイム!」と言い出すほどの熱中ぶりでした。

少し打ち解けたところで、パススキルの練習です。まず1.5m×5mの長方形の四角に2~3人が立ち、ボールを持って長辺上を走り出した生徒から対角線の反対側の生徒がフラットパスを受ける練習を行いました。キーファクターは三つ。①レシーバーはハンズアップしておくこと、②パサーはスローフォワードしないこと、③レシーバーはスタートをできるだけ我慢すること。何も指示しないと、だらだらと両者が前進し、今いる場所へ強めのパスをしてノッコンをする練習となってしまいます。そうならないためには、パサーはレシーバーの走り込んで来る空間にボールを放ることと、レシーバーが試合中の気持で緊張感を持ってその空間に走り込むことが大切です。スタートを極力我慢できた生徒にスピードが出てきたようです。次に同じ間隔で4つのコーンを横に置き、コーン上の4人の生徒がショートランパスを行いました。これもレシーバーがボールをキャッチするまで次のレシーバーがスタートを我慢することをキーファクターとしました。今後慣れてくれば、4人の2番目と4番目の走る向きを逆にしたいと思います。

1時間合同練習を行ったところで6人制(FW2人、SH1人、BK3人)の練習試合を行いました。箕面・能勢さんの合同チームは2チームに1人足りませんでしたので、豊中から支援部隊(H9、T2、S14、S6)を順番に派遣し、2面同時に試合を行うことができました。豊中のチーム編成は安易でしたが、今日早出をした順番としました。キャプテンはM19の立候補と彼が勝手に選んだS25とR15の3人となりました。チーム名まで決めてサントリー、神戸製鋼、パナソニックだそうです。チーム名通り、サントリーは全勝したようです。試合が終わって両チームともに感謝の意を込めて「ありがとうございました」と言って解散しました。

今日は練習開始前にいつものようにK20から絵日記を見せて貰いました。そこには、大きな手の甲が色付きで描いてありました。日記には学校で手話を習ったと書いてありました。先週和歌山に旅行に行った生徒は自分のお小遣いで勝ったというお土産を仲間やコーチに振舞っていました。試合では、突然の指名にもかかわらず嫌な顔ひとつせず相手チームに参加し、いつもの手抜きのないハッスルプレーを見せてくれた生徒もいました。生徒はみな、人を助けるとはどういうことかを少しづつ学び初めているようでとても嬉しくなりました。

組織心理学の創始者であるエドガー・H・シャインMIT名誉教授は、人と人との間で本当の協力関係をつくる原則についてこう述べています。

『われわれは人生の早い時期に、二つの文化的な原則を学ぶ。最初の、そして最も重要な原則は、二つのグループの間におけるあらゆるコミュニケーションが、相互的なプロセスであるべきということだ。(中略)最も簡単な事例をあげるなら、物をもらったり、何らかの意味で贈り物とみなされるものを受け取ったりしたとき、「ありがとう」と言わなければならないと、子供が学ぶことだ。「ありがとう」という言葉は返礼であり、お返しの行為である。それが意思の疎通を密にし、相互関係を公平で適正なものにする。同様に、話しかけられたときには注意を払わねばならないことも子供は覚える。(中略)二番目の基本的で文化的な原則は、文明社会におけるあらゆる関係の大部分が、年少期に演じるすべを身につける、台本どおりの役割に基づいているということだ。』

障害を抱えている人を助ける、いつもお世話になっている人に感謝の気持を伝える、合同練習に集まっていただいたチームに全力で向き合う、相手チームの不足を補う役目をしっかりと果たすなど最も重要な原則は身に付き始めているようです。あとはコーチに話しかけられた時に注意を「払う」ことを覚えてくれさえすれば、言うことはありません。お釣りがくるほど注意して聞いてくれるにはどうしたらよいか次のテーマが見つかりました。