留学生が一年生に残してくれた『言葉力』

六年生は雨にも負けず聖地花園で熱い卒業試合ができたようで何よりでした。一方、太平記の時代に遡れば古戦場として知れた箕面では、一年生の親子対決第二ラウンドが行われる予定でしたが、保護者の降雨による試合忌避で来週にキャリーオーバーとなりました。雨が降っていようがグランドが滑りやすかろうがお構いなしに、一年生は練習開始前早くから、他の学年と一緒にタッチフットで気持ちを自分達で高めていました。コーチに言われなくとも自分達で発案して仲間と練習をするようになれば、どんどん上手になります。傍観させて貰いましたが、上級生にもまれながらK20などよい動きをしていました。

練習では、コーチの指さす方向への即座の移動や笛の音でターンする「天国と地獄」ダッシュ練習など、反射力強化を狙った練習を中心に行いました。一年前とは違う切れのよさが見受けられ、成長を感じさせられました。

タグを装着しての練習は、鬼2匹対ボール運び人4人で鬼が島対決をしました。島でタグを取られずボールを運べば勝ちです。この練習でも素早いステップで鬼に触られず生還した生徒がたくさんいました。ゲーム性やスリルがあると子供達も本気モードになるようです。雨が強くなってきたところで練習を終え、今月下旬にブラジルへ帰国してしまう留学生のタレス君に記念品の贈呈を行いました。前日に集まった生徒達からメッセージと名前・番号を書いたビーチボール状の地球儀をプレゼントしました。大阪からフィジーを経由してリオへ、リオからケニアを経由して大阪へ辿る線を引いて地球を一周。「ぼくたちのことをわすれないでね!Toyonaka Rugby School」の他に、「二年生になったら全部勝つ!(K4)」、南極上に「ことしはりゅうになる(R15)」といった世界制覇も夢でないようなセルフイメージを高めるメッセージを地球儀上に沢山書いてくれました。

昨年の夏合宿の時に初めて見た頃から二周りくらい大きく成長したタレス君の口からは、生徒達に「一年生!一列!!」の掛け声。コーチの声には反応のよろしくない生徒達も彼の一声でさっと一列になり、一人づつ握手で感謝の気持ちを伝えることができました。黄金色に輝くブラジルコインを沢山の生徒がMan of the Matchの賞品として持っています。彼が楽しみにしている「2016年のリオのオリンピック」には間に合わないけれど、この生徒達の中に世界で活躍する選手や社会人が現れることを彼も確信したと思います。

先月、低迷するコマツをV字回復へと蘇らせ、世界のコマツへと導いた坂根会長の講演を拝聴する機会があり、「人を動かすのは、つまるところ言葉である」とおっしゃったことがいちばん印象に残りました。これからのリーダーに一層求められるのは「言葉力」だと。大事なのは伝えたい相手に心から納得してもらえるかどうか。言葉を選び、論理的にかつここぞというキーとなる部分を取り上げ、数字で持って説明し、相手の腹に落とす。そして、絶対に言動が一致していなければならないということ。よく親が子どもに、親自身も実行できないことを強制すること(野菜嫌いな子どもに「野菜を食べろ」という野菜嫌いの親など)がある。「子どもはどこかでそれを見抜いている」。

日本に留学して全く日本語がわからない状態から、小学生を虜にする日本語を操るまでに成長して帰っていく優秀な学生。3.11後、ボランティアも経験し、日本を心から好きになってくれて、今日、地球の裏側ブラジルから遠路はるばるご両親をグランドまで連れて来るやさしさ。スクールの生徒には、彼の残してくれた日本語を大切にしまって、これから一層ラグビーを練習して、リーダーシップを高めて欲しいと思います。

さあ、今週末は六年生の親子対決。黒衣軍団のハッスルプレーが楽しみですが、一年生の親子対決も今回延期になった分、一層楽しみです。