一年生のパラダイムシフト

ゴールデンウィーク中盤、黄砂が漸くおさまった快晴の下、一年生は青々とした芝の上でおもいっきり走り回りました。

 

今日のテーマは、強くなった自分をイメージする。

 

折角の天然芝ですので生徒全員裸足になって、芝のくすぐったい感触を感じて貰ったところで、まず生徒にある絵を見て貰いました。人によっては淑女の後姿に、人によってはお婆さんに見えるだまし絵です。ほとんどの人が「お姉さん」に見えると答えましたが、中には「魔女」という答えもありました。答えはどちらでも正解なのですが、お姉さんと思っている生徒には魔女は見えず、魔女と思っている生徒にはお姉さんは見えません。しかし、一度、情報を与えてあげると淑女とも魔女とも見えるわけです。つまり、一瞬で人のイメージというのは変わります。

 

次に腕相撲でどちらが強いかを競って貰いました。この相撲で負けた生徒を集め、一生腕相撲で負けないコツを伝授した上で再挑戦させたところ、「勝ったー!」と大喜びの生徒がたくさん出ました。そのコツはここでは書きませんが、焦点をある一点に絞ることで勝てなかった腕相撲が一瞬で勝てるようになります。

 

これら2つの例だけでも、人間は自分のイメージがいかに実際のパフォーマンスを限定しているかがわかります。これらの盲点を見えるようにすれば、生徒達の自己イメージあるいは自己評価を高くすることができ、きっと強くなってくれると思います。ただし、盲点をいかに気づかせるかがコーチの腕の見せどころであるわけですが。

 

強くなった自分をイメージしたところで、裸足のウォームアップ開始です。

まず「りんごとみかんゲーム」。向き合って、うつ伏せ、正座といった状態で2組(りんご組とみかん組)を対峙させ、コーチの「りんご!」のコールに反応してりんご組が真後ろにゴール目がけて逃げる一方でみかん組が追いかけるゲームです。単純ですが、「きゅうり!」と言ってみたり、サメとクジラ、奇数・偶数といったバリエーションを付けると盛り上がりました。これも頭を使えば足が遅くても捕まえられることに気づいてもらいました。

 

次に、裸足でハンカチ落としのラグビーボール版。バリエーションとして、円周を1周するリレーを取り入れ2組のスピードを競わせました。これらは、小さいときからラグビーの重要な動きである「弧を描くイメージ」を素足で不安定な中、感じて貰いました。

 

休憩の後、裸足からストッキングを履いたところで、シューズの履き方を指導しました。まだマジックテープ式もあれば、紐が固く結んだままという子も多かったですが、すべてゆるゆるの状態にして履いて貰いました。履く際にかかとを地面にトントンと数回突き、かかと部分を紐でしっかり固定します。紐穴も最後まで通すことで固定度が格段に増します。これも意外と気づかないパフォーマンス向上のための大事な習慣です。コーチも履き直しましたが、スパイクが芝にしっかり馴染む感触を味わいました。

 

後半は、個人スキルの向上のための練習、最後に3チームに分けたミニゲームを行いました。ランはコーンを3メートル毎にまっすぐ5つ並べ、ストレート→ジグザグ→クロス→ピラミッド(「しゃくとり虫」と呼び、2つ先のコーンへ走り、1つ後ろのコーンへ背走するラン)を行いました。初めての種目は最初戸惑いが見られましたが、慣れてくるとできるようになりました。試合は、3分1本勝ち残りとしました。トライ1点に対し、タックル成立毎に1点も得られるルールにしました。トライ数では勝っているチームでもタックル数の多いチームに負ける事態が生じ、勝ったり負けたりの試合となりました。花園での初戦でタックルができなかったと反省していた生徒が見違えるようにタックルに入っており、前向きな姿勢に感動しました。

 

強くなったイメージを持ってくれた生徒たちの北摂大会での活躍がますます楽しみになってきました。