スクール本年度の最終日はすぐにも降りだしそうな曇天でしたが、各学年(特に六年生)の日頃の行いのおかげでしょうか、修了式、六年生送別試合が無事終了しました。送別試合は、これまで寒さと眠気にもめげず練習の一時間前から早出の特訓を積んで来られた保護者(二年生からいきなり六年飛び級の保護者もいました)が例年にないチームプレーで花園卒業試合全勝と勢いのある六年生に果敢に挑みタイトな試合を繰り広げていました。しかし、酒席(?)で培った団結は脆くも瓦解し、結果的には4-1で六年生が親・コーチを超えた日をお膳立てしただけに終わったようです。ご卒業ほんとうにおめでとうございます。一つだけ、二年生K12のおねえちゃんとママさんが出場できなかったことは非常に残念でした。女子ラグビーの裾野が急速に拡がっている中、今日幻のトライを演じたパパさんのように恵まれた体格を活かして次のステージで頑張って欲しいものです。
二年生は病欠などで全員出席はなりませんでしたが、23人が出席。今年度は全員が進級してくれるという明るい修了式となりました。さらに先週体験参加の1名が入学意志を表明!同じ学校の友達も1名体験参加してくれましたので、総勢28名のマンモス学級となる可能性が出てきました。修了証書授与では、T2が代表して証書を受け取り、チームキャプテンの自覚に溢れるH9が校長先生を前に大きな声で「気をつけ!礼!」と号令をかけ全員できちんとご挨拶ができました。4年後の今日の日にいったいどんなチーム(3チーム組成できます)になって卒業試合を見せてくれるのか、今からゾクゾクさせられた瞬間でした。保護者の皆様、今のうちから壊されない身体を作っておく必要がありそうです。
今日もK20が絵日記を描いて持ってきてくれました。自分が試したプレーがうまくいってコーチに褒められた気持を絵に表していました。もう一人、S14も過去からびっしり書いているラグビーノートを提出してくれました。彼の素晴らしいことは、練習やゲームでできたこと、できなかったことを冷静に分析し、次にどうしたいかを明確にしている点です。今日のミニゲームで所属する緑チーム敗戦後、敗因を問いかけた際にも「ディフェンスが前に出ていなかった」と即答できるまでに成長していました。一年前のノートが落書き風だったものから、頭の整理ができるようになるにつれ、筆致が研ぎ澄まされてきており、コーチの冗長な駄文が恥ずかしくなりました(けれど、駄文はコーチ廃業まで続きます)。
もう一つ嬉しい出来事は、Y5とT18の二人が今日で今年度無遅刻無欠席となったこと。このスクール以外にも様々な行事がある中で、スクールを最優先に毎週早朝から送り届けてくださったおうちのかたには頭が下がる思いでいっぱいです。ささやかですがサプライズ賞として、震災被災地青森県から今朝佐川急便さん(少しヒヤヒヤしましたが、指定時間通り学校まで届けていただき感謝感激です)に届けていただいたラグビーボールとキックティーを二人にプレゼントしました。たった一回家族の用事などで欠席したために貰えなかった生徒には酷でしたが、次年度こそは皆勤賞を狙って欲しいと思います。二人の嬉しそうな顔、他の生徒の悔しそうな様子を見ると、コーチもお小遣い財政が破綻するまで頑張ろうかなと思いました。
何かをもっている二年生たちとのファーストコンタクトから、はや二年。この二年間一緒に過ごした生徒たちには、600万年に及ぶ人類の進化の過程で培われた伝統的な社会性(狩猟採集社会や小規模な農耕社会の子供の遊びは、他人と勝敗を競わず、分け合うという共通性)が随所に垣間見えました。こういった子供たちのDNAに刷り込まれている貴重な社会性を失わせることなく、現代社会に適合できる自律した子供たちに育てていくことが今日からの新たな課題です。世界的ベストセラー『銃・病原菌・鉄』で有名なジャレド・ダイアモンドUCLA地理学教授の近著にはそんな課題へのヒントが散りばめられているだけでなく、以下のように伝統と革新が共存する日本への期待も込められています。
日本の「強み」の源泉は、一国のなかに伝統的な部分と現代的な部分がうまく共存していることにあると思う。さらに、伝統に新しい事柄を織り交ぜて残すものと捨てるものを選択し、みずからを革新し再発見するという能力をたびたび発揮していることにあると思う。(中略)急速に変化する社会のなかで、どういった子育てがベストでしょう?
「昨日までの世界」と「今日からの世界」、これら二つの世界観をこれから4年間、生徒・保護者・コーチが共有しながら、情緒的に安定し、自分に自信を持ち、好奇心に満ち溢れ、自律している生徒たちに育てあげるベストの答えを探してゆきたいものです。