一年生のホワイトスペース戦略

サッカーのなでしこジャパンが今朝ドイツワールドカップで優勝しました。FIFAランキングで世界4位とはいえ、個々の体格やパワーで見劣りするジャパンが何故優勝できたのか、ラグビーでも共通する勝利のカギとなるものがあるような気がします。そのカギは何か、コーチ自信未だその実像が見えていませんが、おぼろげながらこういうことではないかと思うところがあります。そのキーワードは「ホワイトスペース戦略」。

ビジネスの世界で「ホワイトスペース(空白)」という言葉は一般に、まだ開拓されていない領域や、まだ需要が満たされていない市場という意味で用いられます。企業各社の既存の仕事のやり方が対象としていない領域、新たなやり方を開拓しないと活かせない領域、つまり慣れ親しんだ仕事のやり方が通用せず、ひとたび踏み込んだら、前例のない手ごわい難題が次々と持ち上がる領域のことです。何ら確証もなしに言うのも憚られますが、なでしこジャパンは世界で今標準化しているデ・ファクトスタンダードのサッカースタイルではなく、世界の強豪が対象としていない領域を開拓してきた、その結果が今日結実したのではないかと。

一年生もミニラグビーの「ホワイトスペース」を探す長い旅を始めたところです。青い鳥ならぬ「ブルーオーシャン」(競争が存在しない世界)を生徒達に見させてあげたい、この6年間で見ることができなくても、そこに到達する術(すべ)を身につけて欲しいと思います。

さあ、今日の旅(珍道中)はどうだったでしょうか。

今日も体験の生徒が先週に続いて参加してくれました。出欠確認(2名欠席、22名参加と今日も20名超え)の後、まずアイスブレーキングのドッジボールから練習開始です。携帯電話のCMでお馴染みのゲームですが、知らない生徒も若干いました。知っている生徒は自慢げに「おれ、学校で一番強いんやで!」といきまいたり、ガッツポーズをする生徒もあり、知らなかったらどうしようというコーチの不安を払拭してくれました。慣れない生徒は顔面でボールを受けたりして半泣き状態でしたが、痛みを覚えるのも大事な経験、ゾンビ役で頑張って貰いました。

打ち解けたところで、来週の試合に向けた今日のテーマに取組ました。テーマは、一人の相手を抜くこと。まず、3Mの間隔での1対1抜きの勝負。ディフェンス側は横移動のみの防御で、アタック側はフェイントでディフェンスの位置する3Mの間隔の左右1Mの隙間にタッチダウンする練習です。なかなかフェイントができずそのまま隙間に走りこむ生徒がいる中で、左右にフェイントして隙間をうまく攻略する生徒もいました。ただし、限られた時間であることに気付いて貰うために、アタックの5M後方から刺客を送りだしました。刺客の武器は「うちわ」です。昨日食べた來來亭さんでいただいたうちわを限られたリソースとして活用させていただきました。これが生徒にはインパクトがあったようで、いつもならボールを取りに来る生徒が今日はうちわに飛びつき、アタックする生徒がいなくなった珍事が発生しました。まさかうちわで内輪もめとは。。。

休憩の後、1対1のコーン早タッチ競争を行いました。アタックとディフェンスが10M間隔で対峙し、アタック側が前進し左右どちらかにステップを踏んで(何回踏んでもOK)早くコーンにタッチすることを競います。ただし、左右5Mの幅を越えた場合は切り返すことができず、越えた側のコーンにタッチしないといけないルールです。ここで攻守の駆け引きが行われるわけです。ディフェンスの上手い生徒、フェイントが巧みな生徒、いろいろな動きがあって、この練習でコーチも生徒の見えなかったものが見えました。これも時間制限を意識させるために「うちわ刺客」を放ちました。今度は若手コーチが刺客となりうちわで追っかけまわしていました。

ゆっくり休憩中にシャワー沐浴を行った後、びちゃびちゃの状態でラダー、コーン練習に集中的に取り組みました。コーンを3M間隔に直線上に配置し、その間をジグザグに走る単純な練習ではありますが、ボールを持った状態で左右に身体を振られバランスを保つことが難しい練習です。ジャパンのカーワンHCがNZ代表に選ばれる前、肉屋さんのおじさんコーチに近所の公園に真直ぐ並んだ木立の間400Mを毎日ジグザグにダッシュさせられたそうですが、HCはその練習が世界に通じる走力に繋がったと回想しています。緑地公園の木立で練習させたいところですが、コーンを木に見立ててまずは15Mダッシュからスタートです。折り返しは、ラダーを早く駆け抜ける練習にしました。これを一人一人タイムを計ることで飽きの来ない練習にしました。

もうひとつ切り返しの練習として、「天国と地獄」レースを行いました。コーチの笛で走る向きを変え、3回目の切り返しでゴールを目指す競争です。コーチの方を見ずに笛の音だけに反応する練習ですが、一年生はコーチの笛ばかり見ていました。次にこれを2人でタオルを掴み繋がった状態で行いました。タオルも生徒は好きなようで、譲り合うことをせず、どうしても取り合いになってしまいます。なかなかチームワークには程遠いですが、根気強く続けます。

最後にタックル練習を、大きな大人用のタックルマシンを使って行いました。今日は生徒のバナナボートと化していました。しかし、これは6年生になると5Mくらい先までマシンを運ぶほどパワフルな練習道具になり、上手にマシンの上に覆いかぶされるようになります。わが一年の炎のタックルマン(虎)はすでにこの「かた」ができていました。6年生になったらどんなタックラーになっているのでしょうか。。。タックルされる相手がかわいそう。

全体練習が終わった後、予告通り来週2試合のメンバー並びに各キャプテンを発表しました。チーム名はチームウェストとチームイースト。西宮戦に出る「西組」と東大阪戦に出る「東組」という意味だけで、豊中の地域別という意味ではありません。チームウェストはタックルに強みのある選手、チームイーストは走りに強みのある選手の基準で編成しました。ルールが異なりおそらく縦に素早く攻撃してくるであろう西宮にはタックルで、同じルールの東大阪には走り勝つという目標で臨みます。目標の異なるチームを引っ張る今回の闘将は、ウェストの虎、イーストのこうきとしました。選ばれなかった生徒のがっかりした顔が今でも脳裏をよぎりますが、これが最後ではないので、次回に向けて頑張って欲しいものです。

さあ、今から試合が楽しみです。またDVD上映会で盛り上がりたいものです。