二年生の第1感~最初の2秒のなんとなくが正しい~

先週は芝のグランドコンディション不良のため、晴れていたのに中止。今日は待ちに待った二週間ぶりの練習となりました。集った生徒数は24人(2人欠席)。今日からサマータイム開始でしたが、二年生は早朝からキックの練習でやる気満々。ちょうど6人で割れる数字でしたので、4つのユニットで力を合わせた練習ができました。今日もビブスと前頭葉をフルに使ったトレーニングです。

まず、前転、好転、横転のいずれかの指示で4人の生徒が回転し、15M先に置いたビブスを取る競争から。やはり黒が好きな生徒が多いですね。昨日のNZ対アイルランドのテストマッチでも圧倒的な強さでオールブラックスが勝っていましたので、なんとなく黒に目が行くんでしょうか。個人的にはアイルランド色(緑)のビブスも好きなんですが。この競争で4組をオーガナイズできました。今日は最後までこのチーム編成で行きます。

チームが揃ったところで、コーチから突然の問題です。「ビブスの数字を足したり引いたりして10ができたら座れ!」 2チームに6と4の番号を着た生徒がいましたので、これらのチームは素早く「できた!」と言って座れましたが、他の2チームは円陣になってぶつぶつ念仏タイム。30秒くらいして「できた!!」の声。あきらめてたのかと思いきや、分解して考えてたんですね。まず、7と9を足して16のペアを作り、11から5を引いた6のペアを作って、後は引き算。御見事!問題解決プロセスの基本となる要素を分解するということが早くも2年生でできてしまいました。末は数学者か、ノーベル賞か。

いつもの2本のラダーを十字に重ね、オセロゲームから。十字の端に各チームが並び、コーチの笛で一人ずつラダーの隙間に立ちます。次の生徒も同じ要領で隙間に立ち、3番目の生徒が違う色の生徒を挟み、挟まれた生徒は自分の色の列に戻り、空いた四角に味方が立ちます。6人全員がラダーの隙間に早く立ったチームが勝ちです。1回目は慣れない様子でしたが、2回戦以降は意味がわかり、挟まれないよう工夫し始めました。一列に並んだ同じ色の4人が挟まれてごっそり色が入れ換わったのは壮観でした。

次のラダー練習は、正面向き前進と横向き前進をやっている最中に、コーチが計算問題あるいは色をコールし、そのコールに反応する練習です。ラダーの回りに置いてあるコーン(計算問題のラダーではコーンが各1、2、3、4個置いてあり、色問題のラダーではコーンの上に4色のビブスがそれぞれ掛けてある)にラダーの両端からスタートした生徒2人が素早いタッチを競います。意識がラダー練習にあると、コーチのコールに素早く反応できない生徒が沢山いました。普段瞬発力のある生徒でも反応が鈍かった生徒もいました。

ラダーを真ん中にして向き合った2人がクロスランでスピードを競います。クロスランの師範K20にお手本を披露していただき、練習開始。これは練習のための練習ではなく、次のステップ練習のためのものです。

今日のステップ練習は、クロスステップ。海外の試合を見ているとクロスステップを踏む選手が多いことに気づきます。右足を軸にしたら左方向に方向を変えるのがサイドステップで、我が数学者の卵二年生もこのステップは得意です。クロスステップは右足を軸にした場合、右方向に方向を変えるステップ。ジャパンの小野澤選手が得意のステップですね。彼が心がけているのは、時間をかけず、最小限の動きと最小限の幅で勝負すること。目の前のディフェンダーは一人でも、大きなステップで相手を抜くと、必ずカバーディフェンスの選手に捕まるため、そこで彼は、タックラーの手の外に一歩出るイメージでかわしているそうです。基本はラダーでやったクロスランと同じ、このイメージで即座の習得が見られた生徒もいました。ラダーを買って貰ったK12の目の輝きと動きがいつもと違います。

次にコンタクト練習。ヒットした相手が強いため、そのままではボールが出ないよくあるシーンを想定し、スピンで方向を変え前進する練習です。ヒットの勢いと相手の反作用をうまく使ってスピンし、さらに前進して後方の味方に繋ぎます。このように味方のいるスペースを活用したい場合は、スペース側の肩でヒットします。逆の肩でヒットすると反作用を受けてタッチに押し出されますのでどちらの肩を使うのかが重要です。

この練習を今度はエアーでやってみました。同じ要領でヒットなしのスピンです。これはまだ難しかったようです。しかし、7年前に教えていた生徒(サッカーも習っていた)が一年生の時からスピンを得意技としてトライを量産していましたので、二年生にできないことはありません。

残り30分でミニゲーム4試合を行いました。どのチームも接戦で激しいコンタクトプレーの連続でした。どの生徒も力の差が無くなっています。本当に頼もしい二年生です。試合では、今日のコンタクト練習を活用し、ヒット、スピンでトライを2本もした生徒(S14)がいました。練習したことを試合でやってみるというスポーツのお手本のようでした。ハナマル二重◎!

人はせっぱつまった状況でとっさに判断しなければならないとき、適応性無意識という一気に結論に達する脳の働きに頼るようです。人類が厳しい生存競争を勝ち抜いてこれたのは、情報がわずかでも素早く適切な判断を下す能力を発達させてきたからと言われています。今日の練習も初めてのことが多く、生徒は前頭葉の辺りに目を向けるしぐさで行動していたようです。ラグビーは、試合となれば、できるだけ相手の情報を集めたり、できるだけ時間をかけることができないスポーツです。「なんとなく正解」ではないかと判断して行動するということが大事ではないかと思った今日の練習でした。ただし、S14の2トライに至った判断は、なんとなくだけではなく、日々の鍛錬がベースにあってできたものであると書き添えておきます。