否定的な口癖をやめると誓った6年生

小学生最後の合宿が終わってしまい、今日コーチは虚ろな気持ちで職場にいました。あの時なんでこう言えなかったのか、もっと目標を明確にしていれば、、、といった思いが浮かんでは消えて行く。5年生に1勝1敗という数字上の結果にさほど関心はありませんが、6年生のメンタル面に大きな課題を感じた試合だったことが悔やまれました。

 

合宿初日夜のミーティングで、主任コーチから「頑張る」ということについて、競泳金メダリスト北島康介選手の勝利に貢献した脳神経外科医(林成之教授)のお話をされました。

(詳しくは、『〈勝負脳〉の鍛え方』(講談社)をお読みください)

 

日本人はよく「頑張ります」とか「頑張れ!」とか言います。この「頑張ります」ということほど曖昧なものはなく、何を頑張るのかが定まらないから、結局「頑張れない」ことになる。自分の目標に向かって何をどう頑張るのかという方向性を決めれば、脳はそれを実行しようとするという趣旨のお話でした。このお話の後、生徒各自に合宿の目標を口に出して貰い、コーチが部屋の壁に貼った大きな紙に書き込みました。「ドロップキックをうまくなる」とか「パスをトップスピードで貰う」という技術的な目標もあれば、「自分に勝つ」とか「体力と精神力を鍛える」といったメンタル面の目標もありました。

 

各自が決めた目標に向かって合宿練習を行ったわけですが、一朝一夕には行かないものです。そこで合宿最後のミーティングでメンタル面の強化の重要性をピラミッドの土台で説明しました。その後に、ミーティングに参加した6年生全員で一つの約束をしました。

 

「今日から否定的な口癖はやめる」という約束です。

 

高い確率で勝利を導く人となるにはどうすればよいのか、先述の林教授によれは次の4つのことを守るだけで十分だそうです。

 

①前向きで明るい性格でいること

②仲間の悪口や意地悪をしないこと

③面倒見をよくすること

④否定的な口癖をやめること

 

①は、今熱戦を繰り広げている高校野球を見るとわかります。何故、厳しい県予選を勝ち抜いたはずの高校生が満面の笑みでプレーするのか。

②は、合宿最終日に起きた6年生の「出来事」を思い出します。恒例の体力測定で遠投を行った際、偶発的にある人の悪口を大声で叫んで遠投記録を伸ばした生徒がいて、それに続いた生徒も同じように叫んだのです。これは、まさにスターウォーズでいうところの「ダークサイド(暗黒面)」の心根です。悪しき人間であれば誰もが持っている「裏」「弱さ」のことを指しますが、この心根を最も律するべきと教えるスポーツがあります。それは、ラグビーです。相手を憎む気持ちでラグビーを行ってはならないのです。その時は、ガス抜きの意味も込めて生徒の好きなようにさせてしまいましたが、今振り返ると、コーチとして失格だったと猛省しています。

③は、団体スポーツで最も人数の多いラグビーには欠かせないことですから、できそうです。

しかし、④はどうでしょうか。「無理だ」とか「どうせ~だから」といった口癖は無意識のうちに出てくるものです。このいちばん難しい約束を守ることを6年生は誓い合いました。

 

これからシーズン本番を迎えますが、まずは9月の茨木定期戦に5点差以上で勝つことを目標に各自が前向きな気持ちで、誰に何と言われようと、決して否定的にならず、自分で決めたトレーニングを積んで欲しいと願っています。この自主トレで思い出しましたが、コーチは合宿で大変うれしい気持ちになりました。それまでポニョ状態だったS21の身体が合宿では逞しい胸板をした身体に様変わりし、走る後姿が「別人21号」だったので、聞いてみれば、自宅で筋トレ+体幹トレーニングを続けてきたとのこと。その結果でしょう。体力測定でも遠投が一番の成績となりました。

 

6年生だけでなく豊中ラグビースクールの生徒は誰でも、明確な目標を持てば、(時には厳しいことも言いますが)素晴らしいコーチの下、大きく育つと思います。6年生がまずそのお手本となるべく、残り7カ月余り、目標を明確にして、精一杯「頑張り」たいものです。