二年生のビジョナリーチーム~個を活かして成果を出したい~

雨の予報がはずれ、うまい具合に今年度初公式戦前の練習ができました。雨どころか、熱中症も懸念されるほどの陽気で、生徒は練習前から汗だくでした。天然芝グランドでの練習開始40分以上前から二年生はパラパラと集って、自主練をしていました。先週の体力測定でキックがいつもより伸びなかった生徒がキックの練習をしていたり、タックル、パスなど自分達で考えて練習していて頼もしい限りです。昨年比どれだけ生徒各自が成長したかグラフ化(見える化)した紙を渡し忘れましたので、花園でお渡しします。去年の合宿から飛躍的に伸びています。合宿以降入会の生徒はこれからの成長が楽しみです。

Ao新コーチの体幹トレーニング(生徒悶絶)を始める前に、生徒(24人出席)を集め、来週の試合の目標を伝えました。テーマは「負けないチーム」。そのために何をするか生徒に聞いてみました。「トライをする」、「タックルをする」。その通り、ラグビーはシンプルです。しかし、ひとたび相手と向き合うと複雑系の世界にはまり込んでしまうのもラグビー。では、どうしたらよいのか。相手に合わせて複雑なシステムで対抗すべきなのか。一見正しいようにも思えます。相手がこういう戦法で来たら、こう対抗すると決めごとを作るのは大事ですが、想定通りの作戦を相手が仕掛けてくるかどうかはわかりません。想定外のことが起こるのが世の常。想定外だったので自分達のプレーができなかったと言い訳しても後の祭りです。

では、どうするか。ヒントは新校長の提唱されている「よりシンプルに、より簡単に」。シンプルな仕組みを用いて、柔軟に対応することのほうが、不測の事態にあたふたすることなく、結局は自分達のシンプルな仕組みへと相手を引き込んでいけるのではないかと思います。特に二年生は26人と大所帯です。26人に複雑な戦法を教え込もうとしても限界があります。であれば、チームのシンプルな決めごとを徹底して、誰がキャプテン、選手に選ばれようと統一された意識でプレーできるようにすればいいだけのこと。あとは、生徒達一人一人が、練習で、日々の生活の中で、あるいはマインドマップの思考の中で、どうしたら昨日の自分よりも強くなれるかを考えるだけです。

人間はどうしても他人と比べて自分はどうかと考えてしまいがちです。体力測定の結果も他の生徒と比べて足が遅いのではと心配になります。逆にいちばん足が速いから強いと勘違いもしかねません。コーチは、二年生の好記録がどのレベルにあるのかを示すことがあっても、生徒の優劣を数字という尺度だけでランキングしたりはしません。優劣があってあたりまえ。強いところをさらに伸ばし、弱いところも強くしようと努力する。今日の記録を明日はさらに伸ばすという気持ちで自分の持っている能力のみを基準に成長を促して欲しいだけです。

試合直前練習では恒例のメンバー発表を行なっていますが、今回から、3つの役割を持つキャプテンを指名することにしました。来週は10人のキャプテンが花園に登場します。うかつに「キャプテン!」と呼んだら、10人から「はい!」と返事が来てしまいますので、それぞれ次の名前をつけることにします。これは、平尾元日本代表監督がリーダーシップ論でよく話題にされていますので、参考にさせていただきました。これらのキャプテンがチームを活性化させる触媒となって、チームにインスピレーションを与えてくれれば、素晴らしいゲームになり、将来、他のチームが豊中と試合したいと思うようなチームになるでしょう。

チームキャプテン(TC):キャプテンとしてチームをまとめられる。試合のトスでの判断、相手チーム・応援いただいた保護者への挨拶、チーム全体の気配りが求められます。

ゲームキャプテン(GC):試合中、チームを体を張って引っ張る「切った張ったの才覚」をもつ。自負心、豪胆さだけでなく、応用力、柔軟性も求められます。将来はゲームプランも立てられないといけません。

イメージキャプテン(IC):おもしろいこと、突拍子もないことを思いつき、発言するアイデアマン。一発屋で終わることもある「はかなさ」も秘めていますが、チームに元気がないところをいかに盛り上げるかに期待しています。

今回は2チームエントリーしています。試合数は4試合。13人を前後半分けて戦うことになります。新人も今日の練習試合でボールを持っていましたので、タイミングを見てワンポイントリリーフとして花園デビューを果たして貰います。

チーム名は、シースター軍団とアパッチ軍団。決してワイルドな生徒をアパッチに編入したということではありません。シースターは呼んで字の如く、海の☆=ヒトデ(5本指もゲーム人数と同じ)。ヒトデとアパッチの共通点は、どちらも頭(ヒトデなら指の部分、アパッチなら酋長)を取られても決定的なダメージを受けないことがあげられます。生徒一人一人が自律的に行動しながら、しっかりと協調していくことができるチームになって欲しい思いから名づけました。アパッチ軍団というとコーチが小学校低学年のころテレビで見ていた「アパッチ野球軍」を思い出された方もいらっしゃるかもしれません。原作花登なんて言えたらマニアです。

メンバーとキャプテンは次の通りです。

シースター軍団:S1(IC前半)、Y3、H7、H9(IC後半)、S10(TC)、K12、K16、Y17、T18(GC前半)、K20、J22(GC後半)、R24、S25

アパッチ軍団:T2(GC後半)、K4、Y5(TC)、S6(IC前半)、K8、A11、H13、S14、R15(GC前半)、M19(IC後半)、R21、M23、R27

このメンバーで、チームキャプテンが練習試合のオーダーを決め、ミニゲームを行いました。久しぶりのゲームへの飢餓感は相当なもので、ハッスルプレーの連続でした。一年生の時には見られなかった小刻みのパスやステップワークも駆使してトライを取ろうという意識が現れていました。

練習の最後に、生徒には、自分が何をやりたいか、一つだけ決めて花園に集合するように伝えました。今日タイミングがつかめず逃したタックルでしょうか、勝利のキラーパスでしょうか。生徒それぞれの永い一週間が始まります。