一年生のアナロジー思考

台風一過の清々しい秋空、ふわふわのグランドコンディション、元気な生徒と三拍子揃った定期戦の朝を迎えることができました。昨晩「準備チェックリスト」を読んだ生徒も多かったようで、コーチは機が熟したと感じました。

今年の6年生は大舞台で伝統の茨木戦にふさわしい好ゲームを披露してくれました。サイズで圧倒的優位に見えた相手に対し堂々とオープンラグビーで対抗。フォワードが前に出て大柄の相手フォワードにプレッシャーをかけ続け、ブレークダウンでターンオーバーの少ないチャンスをつかみ、バックス陣がスローフォワードぎりぎりのパスワークでスピードを加速。接戦を制し5-0の完勝で有終の美を飾りました。昨年6年生のリベンジを果たしてくれましたので、コーチも漸く茨木戦のトラウマから解放された心地です。一年生は砂かぶりの中央席で6年生をしっかり応援し、5年後の自分の舞台をイメージできたようです。

定期戦は初戦が大事です。何十年も定期戦を行っているラグビー伝統校の歴史を遡ると初戦を制しているチームが長く優位にあるケースも多く、最初に勝っておけば後は弾みがつくというものです。さて、春から目指してきた一年生のテストマッチ。新たな金太郎飴が続々生まれました。

一年生はAB2チームが定期戦を行いました。チームはABCの3編成のため、残念ながらCチームは定期戦の感触を肌で感じることはできませんでしたが、試合を見たCチームの生徒は皆、ABチームの仲間の勇敢なタックル、スピードに触発されたようです。

緒戦は、Aチームvs茨木。栄えあるスターティングオーダーに初のキャプテンS6のもと、合宿以降頼れる三羽烏(S10S14R15)になでしこK16の名前があがりました。

前半は、ホイッスル後、S10が抜けタックルを受けた後のダウンボールが素晴らしく、後続の主将が拾い上げ名刺代わりの初トライ。相手も譲らずすぐさま同点トライとシーソーゲームの展開でしたが、S10のナイスタックルから主将→R15と繋ぎ5-4の1点差で後半へ。後半交代メンバーはこれも合宿成長組のS1Y17R21が加勢する豹となり、S1が3連続トライとその後の好タックルを演出。負けじとR15も激しいタックルを敢行し、チームを盛り上げます。最後にS10の華麗なステップワーク(本当に一年生?)で加点、9-5の勝利でBチームにバトンタッチ。晴れのMan of the Matchは接戦で3連続トライしたS1

2試合目はBチームvs茨木。Bチームといいながら、実はまばゆいばかりの「スター・マル秘報告」(古いか)。スーパー一年生T2を急用で欠きながらも、合宿以降キャプテンシーを見せる大将J22以下、K4H9、炎のタックルマンT18(試合後一時燃え尽きてしまいました)、M19という粘着性の高いアスリート揃いの布陣で前半に臨みました。前半は、アスリートの持ち味を十二分に発揮し4-1で折り返し。後半は、これまた合宿成長組のA11K20を加えさらに勢いづきます(A11はボールを持って前に出るシーンが多くみられましたので、あと少しでトライが取れます)。T18K4の連続5トライの後、大将J22のタックルで11-3と第一回定期戦2連勝。Man of the Matchはやはり確実に仕留めるタックルでゲームを勝利に導いたT18。

次に、はるばる海峡を2つ渡って参加いただいた徳島戦です。近年スクール強化に熱心で豊中も学ぶべきところの多い四国の強豪と対戦しました。予想通り、勢いに乗るわが豊中軍団も渦潮に吸い込まれるかのように序盤から劣勢ムードでしたが、主将の負けじ魂が勝ったかスクラムから出たボールを取るや縦に走りこみ路地裏を抜ける連続トライで突き放し5-2で後半に繋げました。後半は相手が得意とするモール戦法をうまく封じ込め、S10S6S1のスリーSトリオがトライを量産。その間、Y17の果敢なタックルとゴールめがけ走り切る姿がひときわ目立ちました(10-4の勝利)。Man of the Matchは初主将ながらチームを身体を張って引っ張ったS6

4試合目はいよいよCチームの登場。大工大との対戦です。コーチはこの試合がいちばん楽しみでした。みな良い素質を持っていながら、ABチームのプレゼン力に富む仲間を前にコーチは彼らの持ち味をなかなか引き出せませんでした。特にキャプテンY5は「僕Cチームでいいよ」というくらいのマイペースぶり。しかし、キャプテンに指名した4日前から何かの変化が彼に現れたようです。今朝も会うなり「コーチ、キャプテンってじゃんけん以外に何やんの?」と来ました。コーチはしめしめと心の中でほくそ笑んだものです。前半のメンバーは、そんなキャプテンY5率いるY3K12H13R27の面々。静かな戦いが目に浮かびましたが、今日の彼らは違っていました。ごめんなさい。行楽日和の高速道路大渋滞に巻き込まれ、心穏やかでなかったにも拘らず、K12が先制のノーホイッスルトライ(前半終了間際のゴールを目指す激走も素晴らしかった)。次いでR27も軽やかなステップで相手に触られずにトライ。Y3も2本のトライで4-4のイーブンで後半に勝利の望みを託します。ハーフタイムに、交代参戦のH7T8だけを呼び「君たちがチームを引っ張れ!」とコーチは檄を飛ばしました。後半は、その2人が見えないところでしっかり活躍している姿を見てコーチは最高に嬉しかった。H7が自陣ゴール前の相手モールで頑張ってボールに絡みつき奪った末、キャプテンに繋いで逆転のトライとなりました。その後同点とされましたが、T8が核となって支えた自陣モールサイドをH7が激走。相手の猛追をかわし決勝トライ!その後、ピンチをH13が初めて見せた低いタックルで救い薄氷勝利のノーサイド(6-5)。勿論、Man of the MatchH7初受賞。

そして最後の5試合目。Bチームvs大工大。先ほどのCチームからH7H13をトスアップしての再試合です。旧来のB組は相手の力量を見定めたのか、タックルに気持ちが入っていないシーンが散見されました。コーチは終了後、どんな試合でも絶対に最後まで全力を出すように指導しました。そんな中で、合宿成長組がまたまた頑張りました。K20は中央から敵ゴール左隅に初トライ。13-6の勝利に大きく貢献しました。Man of the Match5人目はこの試合5本のトライでチームを引っ張った大将J22。将来チームを支える大黒柱の片鱗が窺えました。

5連戦を終えコーチは思いました。何故、彼らは教えてもいないことを試合で出せるのだろうかと。そこで思い当るのは、新しいことを産出す「発想力」ではないか。発想力を豊かにするためには、多様な知識と経験を重ねることがまず必要でしょう。それに加え、類推する力(アナロジー思考)あるいは共通点を見つけるパターン認識力が重要なファクターと言われています。物知りなだけでなく、多くの経験知から応用をきかせた動きが出ているのではないか。まだ一年生ですから経験知は少ないのですが、「遊び」ということではどの学年より多く経験しています。スポーツでもただ闇雲に大人の真似ごとを教えこむだけではなく、たまには「遊び」が必要なのかもしれません。

 一年生のテストマッチはこれからも続きます。次は伊丹戦に向けて、コーチもアナロジー思考力を強化して行きます。遊びばっかりになりそうですが。。