今日は練習前、『準備をする』ということについて生徒に話をしました。準備をするというとスパイクやキャップを忘れないように前日から用意しておくような物的行為をイメージしてしまいます。前日に練習で必要な道具を用意したり、爪を切ったりすることは勿論大切なことなのですが、それだけ準備すれば万全でしょうか。
日常の生活で行動を起こす時、意外と忘れているのが目的を明確化することではないかと思います。毎朝、学校へ行く時に「学校に行ってきます」と言っているでしょうか。生徒も8割くらいは今朝「ラグビーに行ってきます」と言って三中に向かったようですが、2割の生徒は何も言わずに出てきたと正直に答えてくれました。
テレビを見ながら食事をする、ケータイを見ながら人と話をする、どっちが目的なのか自分でもわからなくなる。「心ここにあらず」の状態、コーチもよくあります。心が身体を動かすわけですから、何か大事なことをする場合はそのことにまず心を向けてから始めるようにしないと心と身体が別方向を向いてしまい、最高のパフォーマンスを発揮することは不可能です。これが目的を明確化するということ、心の準備をするということではないかと思います。
心と行動に関して生徒に実験を行いました。偶々コーチの話に目を見て聞いていた生徒と土いじりをしながら聞いていた生徒を指名し(他意はありません、あくまで実験のためです)、前者には「Aコーチのところまで真直ぐ歩きなさい」と、後者には「砂遊びをしながら、歩きなさいと言われたら歩きなさい」と指示しました。これらの生徒達が同じ方向に歩きだしたところで別のコーチ2人が横から手で引き止めようとました。後者はそこでストップした一方で、前者は指示通りAコーチのところまで歩き通しました。この実験でわかることは、目的が明確であった前者はコーチの引き止めを気にも留めず歩くことができたと考えられます。
来週は「花園」という野球でいえば「甲子園」のような球技場(生徒は甲子園でピンときていませんでしたが、、、)で試合があります。その日の朝は元気よく「試合に行ってきます」と言って家を出ると皆で決めました。(ちゃんと言えたかどうか花園で聞きます)
前置きが長くなりましたが、今日は「目的を明確化する」をテーマに練習開始です。
5月が近いとはいえ未だ肌寒い中、ウォームアップとして2つのゲームを用意しました。ラグビーのゲームとしての目的を理解するためです。
一つ目は、じゃんけん陣取り合戦ゲーム。10メートル程度のS字を地面に描き、S字の上下に各5人一組で陣地を構え、そこから笛の合図で一人がスタートします。両者が合ったところでじゃんけんを行い勝った方が前進します。負けた側は次の生徒が素早く駆け付け前進する相手を停止させじゃんけんをします。これを繰り返し敵陣に攻め入ったら勝ちというゲームです。勝利まで時間がかかりましたが生徒のテンションが上がっていました。このゲームは、ラグビーが陣取り合戦であることの共通点を理解してもらうためのものです。
二つ目は、お馴染みの7ボール。これはラグビーが得点をより多くした方が勝ちというところが共通点であることを説明しました。団体戦、個人戦を行い、勝者を讃えました。
ウォームアップ終了後は、来週の試合を想定した練習を行いました。この練習中のポイントも「目的を明確化する」ことです。20メートルのストレートラン、ジグザグ走を行いましたが、生徒には手前の5メートル毎置かれたマーカーを意識せず、ゴールのマーカーを指差し、そのマーカーを見ながら走ることを指示しました。コンタクトも同じく、10メートル先にコーチを立たせ、このコーチに向かって5メートル先の別のコーチを押す、次に、5メートル先のコーチにボールを持ってヒットすることを行いました。この練習では、10メートル先を意識した生徒は突き抜けるイメージで強くヒットできていました。
最後に初の紅白戦です。4チームに分かれ、2試合を同時に行いました。モールができると全員がモールに参加してしまい、ディフェンスがいなくなることに気づきました。組織的なラグビーはまだまだこれからです。じっくり心の準備からあわてず練習して行きます。