カテゴリー: '16-6年生チーム

二年生の『ひらめきトレーニング』

先週は欠席でしたので他のコーチにお任せして実戦的な練習を中心に24人(3名欠席、体験1名参加)がしっかり汗をかいたようです。昨日は前日から降り続いた雨の影響で中止となりましたが、今朝はしっかり水分補給した芝生が生き生きとしたグラウンドで、クローバー除草を生徒・保護者・コーチ他全員で行ってから、24人(2名欠席)で練習を行いました。

練習前に裸足になった生徒全員を集め、質問しました。「ずっと強いチームでありつづけるにはどうしたらいい?」…たくさん手が挙がりました。いつものように真っ先に手が挙がるM19の「気持ち」発言から、「タックル」(K4)、「パス」(S25)、「ブリッジ」(R15)など次々と今まで習ったことをちゃんと大きな声で発言できています。今朝うれしそうにお絵描き帳を持ってきたK8も難しく説明してくれました。K8のお絵描き帳にはタックルしているシーンが上手に描いてあって、その上にタックルのやり方について、(本人曰く)お父さんに習った通り事細かに書いていましたので生徒の前で披露しました。「どれも大事。でも、相手も豊中に負けないように同じことをやってきたらどうする?」。。。これには説得力ある回答がありませんでした。

ビジネスの世界でも、競争優位を保てる期間がとても短くなっています。誰でも手軽にフリー(只)で最新の情報を入手できるようになったために差別化できるのは価格だけになったこと(コモディティ化)や、その価格でさえ、グローバル化(安い人件費の国での生産シフトなど)やアウトソーシングでコストを限りなく下げることで、安売り競争に拍車がかかっています。

ラグビーでも同じ現象が起きていると思います。ネットやケーブルTVで世界の強豪チームのプレーなら二年生も何人かは観て研究しています。各スクールのコーチも勿論、小学生にはいささか高度なスキル、サインプレーを活用してチーム強化に余念がないことでしょう。日本ラグビーの底上げが図られるという点では良いのでしょうが、心配なのは、ラグビーのコモディティ化です。このコモディティ化に入り込んだら、模倣や複製競争のスパイラルが待っています。

では、コモディティ化せず、末永く優位性を保てるものはいったい何でしょう。以前『二年生で培いたいイノベーションのDNA』(2012年2月5日)でも書いたように、「創造力」以外にありません。創造力があれば、いずれは真似されることはあっても、発揮した時点では誰も模倣できないはずです。圧倒的に強いチームとなるために二年生に必要なことは、失敗を恐れず、新しいことに挑戦し、創造性あふれるプレーヤーに育っていくことだと思います。

ということで、今日は生徒達の創造性を高めることを狙いとした「ひらめきトレーニング」(今日は最後まで6人を一つのユニットとして練習)を行いました。

1.コーチの指示で整列:①背の高い順に並ぶ、②早く生まれた順番に並ぶ。リーダー(K20など)が自然発生したチームは早く並んでいました。流石に二年生になると早いです。これを話をせずに並べと指示したら、どうだったでしょうか。

2.人文字作り:各ユニットの5人がコーチの指示したひらがな(「お」、「す」、「き」、「な」他)を芝生に寝転んで作り、残りの一人が当てる。これも人文字作りに時間がかかりましたが、ちゃんと当てていました。最後に「ラグビー」を全員で作成したかったのですが、「グ」ができず、次回にキャリーオーバーです。

3.神経衰弱:2つのユニットがビブスを持って一列になり、別の2つのユニットに背中を向けます。別のユニットが2人ずつペアでユニフォームの背番号をコールしたら、呼ばれた生徒が振り返ってビブスの色を見せます。同じ色であれば正解となり、そのビブスを着ます。6通りですので、最初は当らないペアもありましたが、記憶力で一発正解もたくさん出ました。一方、ビブスを着た2つのユニットには、赤・青のコーン、ボールを持ってもらい、最初に背中を向けて並んだ2つのユニットがペアで当てて、好きな色のビブスを着ました。

4.ユニット対抗競争:4色ビブスを羽織ったところで、いよいよ芝生の上を思いっきり走ります。コーチのいう以下の条件で競争です。

①条件その1:ボールを20M先のコーンまで運んで持って帰る競争。ただし、6人が必ずボールを2回触ること・・・作戦タイム30秒を与え各ユニットでどうするか考えさせました。どんなことをやらかすか楽しみです。ヨーイ、ドン!全ユニットとも他につられて走りだしました。同じように走りながらパスしています。緑ユニットがミスなく1位ゴール。コーチは尋ねました。「小さい円になって止まってパスを2回して、いちばん足の速い生徒一人に走らせると考えた人はいた?」

②条件その2:同じ距離をペアでリレー競争。ただし、2人がパスを5回すること。これでも2人が駆け出してランパスを始めた生徒がいました。ノッコンしないのならそれもありですが。また尋ねました。「向き合って5回パスして足の速い生徒に走らせると考えた人はいた?」。このバリエーションで2人が股の間にボールを3回通す。これもわざわざ遠いところに転がして跨いでいた生徒がいました。

③条件その3:同じ距離で個人リレー競争。ただし、2回上にボールを投げている間に手拍子2回。これは皆上手に前方へ投げてキャッチできていました。バリエーションとして、ボールを2回芝面に転がす競争。

コーチの質問に「な~んだ、そんなこと」とコロンブスの卵を始めて目にした人のような反応でした。これが新しいことを考えたときの世間の第一声なのです。生徒には野球のルールブックを例に、いかにラグビーの決まりごと(ロー)が少ないかを話しました。野球のルールブックにはルールに関する記述だけで170ページもあるそうです。経験を積んだ審判でもルールに自信がないそうです(昔、水島新司の『ドカベン』には審判も困るプレーがよくありました)。このことからわかるように、ラグビーは選手個人の裁量に任されている部分が多い(フェアプレーが前提ではありますが)と言えます。ここが創造性を受け入れる余地のある部分だと思われます。

この後、ヒット&ターンの練習をコンタクトバック5ヶ所連続攻撃をやってみました。どちらの肩で当るのが次のプレーに効果的か生徒は考え始めたようです。未だ即座の習得とはいきませんが、数回でコツをつかむようになってきました。

ひらめきトレーニングはこの辺にして、最後は4チームで裸足ミニゲームを2試合行いました。T18がさらにスピードアップしていましたので、最後に聞いたところ、毎日走っているそうです。速いはずです。昨日運動会があった生徒に50M走の結果を聞きました。3人(T2、K4、S14)とも一等賞だったそうです。おめでとう!

来月は合宿です。暑さに強い身体つくりは今からやっておかないと間に合いません。ご自宅の冷房を切る、ゲームの時間を惜しんで5分ダッシュするだけでも違うでしょう。99%の努力と1%のひらめき(創造力)に期待しています。

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5 thoughts on “二年生の『ひらめきトレーニング』

  1. 今日もバラエティあふれる練習ありがとうございます。
    1~4の練習が見れなかったのが残念です。
    先日、グランドではありませんでしたが、4.の練習のコーチの質問にある「ひらめき」が求められるようなことを考えさせられる研修(メニューの一部)がありました。楽することを考えると意外と近道だったりしますよね(笑)
    どちらかというと長男型?より次男型?の方が得意な分野のような気がします(^_^;)
    あくまで勝手な私見ですのであしからず。。。

    あっ、ちなみにラグビーではなく仕事の研修です。小生、ラグビー馬鹿ですが一応サラリーマンやっとりますので。。。(^^ゞ

    何も聞いてもないのに「裸足は走りにくい。」とR15(-_-;)
    あまりの意味の無い発言のため無視しておきましたが、芝でできることにありがたみを感じてもらいたいものです。。。

    それでは続き?はBBQで(*^_^*)

  2. R15父さん、
    私も次男坊で、長男の兄貴が叱られるのを見て育ったせいか、要領(だけ?)で生きてますね。昨日「意味解らん」を連発していた生徒は長男坊だったような。
    来週も芝なので、今度はスリッパ履きリレーを考えていましたが、裸足が走りにくいのなら、シューズ履いてやりましょう。でもR15は、よくトライしてましたけどね。NZのスクールでは裸足の練習を取り入れているようですし、街中でも若者が裸足で普通に買い物をしているのを見てびっくりしたことがあります。
    では、週末のBBQで。60人超とか、準備は大変でしょうが、楽しみにしています。

  3. いつもながら素晴らしいお話ありがとうございます。ミニラグビーの練習の所見をはるかに超えて、ちょっとしたビジネスコラムの域に来ているかと・・・。
    「コモディティ化せず優位性を保つには・・それは創造力・・」このフレーズ、クライアントへのプレゼンテーション時に使わせていただきます。

    コーチングにも創造性が必要ですね・・
    生徒の気持ちを束ねるためのアイデアをクリエイトしなければ・・。

  4. Fukushimaコーチさん
    R15の意味のない発言は全くお気になさらずに、無視しておいてください(^_^;
    メニュー優先で!!

    BBQは前回に引き続きオヤジだけ遅刻での参加になります(+_+)
    >父兄の皆さん
    準備手伝えずすみません。。。
    片付け頑張らせていただきますのでご容赦ください(^^ゞ

    ちなみに私ももれなく?次男坊です(^-^*)

  5. R15父さん、
    次男坊でしたか。
    週替わりメニューは明日新幹線さくらの中で考えときます。とんこつ味か醤油味か(それは違うメニューか)

    Sawadaコーチ、
    そうなんですよ、豪州と引き分けた本田も言ってました「今日はアイデアが足りなかった」と。Sawadaコーチのコメントで思い出した本があります。

    「・・・アイデアは少しも安くありません―タダなのです。そしてとびきり価値があるものなのです。アイデアは、私たちを色褪せた日常から抜け出させ、進歩の道へと導いてくれるクレーンのようなもの。クリエイティビティがなければ、繰り返しの毎日に押しやられるばかりか、後ろ向きの人生に陥りかねません。じつは、人生における最大の失敗は、実行しないことではありません。創造力をはたらかせられないことなのです。」(ティナ・シーリグ『未来を発明するためにいまできること』)
    天才は生徒の中にあり、コーチはその天才をいかに解き放つかが問われていると思います。ラグビー界第二、第三の本田をクリエイトして行きましょう。