昨夜の雷雨で今日のグランドコンディションが心配でしたが、水はけがよい校庭のお陰で全く問題ない状態でした。一年生23人(2人欠席)は昨日練習できなかった分、しっかり頑張りました。
キックベースでウォーミングアップした(新人SHOSUKE君は大きなキックでアピールできました)後、生徒達に以前から「どういう意味?」と聞かれていたニュージーランドの「ハカ」についてお話をしました。今日はNZと 豪州がワールドカップ準決勝を戦ったわけですが、試合前のハカは過去から慣れ親しんだものとは違い幻想的かつ地から湧いてくるような凄味に溢れていまし た。ハカは、コーチが高校生だった頃、流行っていた漫画の題名と同じく「ウォー・クライ」と呼ばれていましたが、今ではハカの方が定着しています。ハカは ご高承の通りNZの先住民マオリ族の舞踏です。生徒には、何を大声で叫んでいるのかを日本語の訳詩で説明しました。
私は死ぬ 私は死ぬ
私は生きる 私は生きる
見よ、この勇気ある者を
ここにいる毛深い男が再び太陽を輝かせる
一歩はしごを上へ さらに一歩上へ
一歩はしごを上へ そして最後の一歩
そして外へ一歩
太陽の光の中へ
日 本の「武士道と云ふは死ぬことと見つけたり」という葉隠れをどことなく想起する死生観を感じますが、ここで言っていることはそういうことではなくて、勇気 を持って毎日を一歩一歩前進して、生きられるところまで生きて行くんだと言っているのではないかと思います。太陽とは人の人生そのものと捉えれば、しっく りきます。生徒達には、別のイラストで大きな目標と今の自分を棒グラフで示し、今すぐに大きな目標(今の自分の3倍くらいの棒のイラスト)を越えることは できないけれど、毎週の練習で一歩ずつ前進していけば、知らない間に「はしご」を一段一段越えて、最終的に大きな目標を越えることができるということを話 しました。生徒は少しハカの意味がわかってきたようです。
さあ、大阪府スクール大会、堺RS25 周年記念交流戦、そして、高槻戦がやってきます。一年生の年末テストマッチです。ハカが言っているような前進をせず、変化のないままでは、強い相手には勝 てない。どうしたら変化できるか。世の中に出回っている成功本に必ずと言っていいほど書いてありますが、「聞いただけでは何も変わらない。知っていても行 動しないなら、知らないのと同じ」という考え方。良い話だったので、とりあえずノートに書いておいて、時が来たら実行しようと思いがちです。結局やらな い、できない言い訳を思いつき、殆ど実行することがない。コーチもその一人として反省していますが、変化することへの恐怖感によって行動が阻害されてしま うのです。タックルが怖いと思っている生徒はたくさんいます。でも、一瞬の恐怖に打ち勝って一歩踏み出せば、誰でもT18のようにタックルを大好きになれるし、T18も答えてくれた通り「全然怖くない」と思えるようになると生徒に話しました。第一にめざす変化は一歩前にでる勇気です。今日はここまで話して、実戦練習に入りました。
こ れからの新たなテーマとして、3人が一つのユニットとなってボールを活かし続けることとしました。春からこれまでは、一人が行けるところまで走り切るとい うことを徹底し、全員ができるようになりました。しかし、これからは相手のディフェンスが強くなってくることから、簡単には一人では抜けなくなります。こ の対応として、3人を一つのアメーバとして見立て、3人で協力してボールをつなぐ、ディフェンスをするという意識改革を行っていきます。各アメーバのリー ダーが中心となって、全員の知恵と努力によりゴールを目指す。そうすることで、ひとりひとりが主役となって自主性を持つことができれば完成です。一年生で どこまでできるか、早速一歩を踏み出しました。まずは、3人で攻撃する時、三角形をイメージする。ボールを持っている生徒を頂点にして、底辺の隅に残りの 2人が待機するベーシックなフォーメーションです。今日も会場を沸かせたNZも難しいことをやって いるわけではなく、常に左右どちらでもパスできる体制ができているだけなんですね(しかし、両チームがあれだけ鼻血を出した試合は見たことありません。一 年生チームみたいでした)。今日は、三角形を3か所作り、その上に立つ→左右どちらかにパスする練習を行いました。逆にディフェンスも3人ひと塊になっ て、三角形に対峙し、対面を指さす習慣づけを今日から始めました。
最後に三角形を意識した練習試合を3チームに分けて行いました。勿論チーム名は、オールブラックス、フランス、そして昨日14人で戦ったにも拘らず1点差で敗れたウェールズです。ウェールズの最後の連続攻撃回数は27回だったそうで、フランスのタックル回数が140回を越えていたようです。世界のラグビーは遠くなりにけり。我が一年生ウェールズチームはフランスを撃破しました。A11のボールを持ったら前に出る姿勢、H13の大外を走り切ってのトライ、Y17の低いタックル、M19の相手ボールモールでの押し返し、R27も確りキャッチできるようになってきているところなど日に日に成長しています。試合中に多くの生徒がコーチに言われなくとも「三角形!」と言っていました。いやはや、すごい一年生です。ボトルネックのないチームになる日は意外と近いかもしれません。