今朝、一年生春の集合写真を何年かぶりに見て花園に向かいました。あんなに小さかった生徒たちが聖地花園第一グラウンドのクロスバーの下で大きく成長した姿を見せてくれました。コーチが6年前にイメージした姿が今ここにありました。残念ながら途中でスクールを離れた生徒やこれまで6年生を応援いただいた多くの人たちにこの雄姿を見てもらうことはできませんでしたが、コーチのつたない文章で、彼らがどんな素晴らしい6年間のフィナーレを迎えたかお伝えしようと思います。今日は最後ですので実名公表をお許しください。
北アフリカの小さな国で民主化運動の火が瞬く間に中東まで燃え広がったように、豊中6年生の心の油田にも漸く火がついたかのような快進撃の始まりです。名付けて「豊中6年生のドミノ効果」。
今思えば、先月20日の伊丹戦が彼らのティッピングポイントだったのでしょうか。ティッピングポイントとは、ある流行もしくは社会的行動が、敷居を越えて一気に流れ出し、野火のように広がる劇的瞬間のことです。この変化は次の3つの要因で生じるという人がいます。コーチも同感だと思います。
1.少数者の法則:一握りの例外的な人々の努力によって広まっていく。
ブランクの長かった拓海君がラグビーに対する飢餓感を以ってカムバックし、彗星赤星の如く先発メンバー入りという快挙がその好例でしょう。そしてもう一人。春からコツコツと体幹トレーニングでバランス力を飛躍的にアップさせた彰吾君の存在感は誰もが認めるところ。頼れる縁の下の力持ち的存在になってくれました。
2.粘りの要素:生徒たち皆の心に火をつけるには記憶に残るような、行動を促すような粘り気のある強い感染力が必要。
これは、主任コーチが6年間言い続けたことがそれでしょう。「君たちは強い」。どんなに大負けしても常に「君たちは強いんだからもっとできる」と高いところに生徒を持っていかれようとした首尾一貫性が医学的には説明のつかない極めて長い潜伏期間を経て全員に感染したのではないでしょうか。
3.背景の力:生徒たちの内面状態は、必ずしも意識していない形で、外部の環境に決定されている。
窓ガラスが割れていると周りの割れていないガラスも割りたくなる。逆によい環境におかれた生徒は、その環境の中で純粋に成長するのだと思います。豊中ラグビースクールが長い歴史の中、愚直に貫いてきた方針(しつけの指導の中から礼節を尊ぶ元気一杯の子どもとして育てていく。決して有名選手の養成所ではないという根底に流れる思想)がここに背景として生徒たちが体現してくれたものと信じます。彼らは、今日本の大人のラグビーをほとんど知らずにコーチを信じてスクールのラグビーを続けてくれました。コーチはスクールのラグビーと大人のラグビーは違うスポーツと捉えています。小学生で大事なことは、倒れたり倒されたりしてもしっかり受け身が取れること、ボールゲームの楽しさを覚えること、そして仲間を一人でも多く作ることだと思います。トップリーグの影響でしょうか、6年生になるとキックを多用するチームが増えてきます。大人顔負けの難しいサインプレーをするチームもあります。ラックのオーバーもますます過激になっています。豊中は、大人への促成栽培式指導とは対極にあるべきと思います。
ティッピングポイントから脱線しそうになりました。
伊丹戦は、2年前に一度勝って以来の対戦ですが、相手はサイズもテクニックも豊中の遥か上を行っており、とても歯が立たないのではと予想しました。ところが、蓋を開けてみると前半は同点で折り返し、後半も最後まで苦しめました。結果は惜敗でしたが、伊丹にショックが走ったようでした。
この日の試合では富田林も参加しており、伊丹戦の前に対戦しました。結果はエンジンのかからないまま相手のセンターに縦横無尽に走られ、惨敗でした。
そして、堺との定期戦へ。ここにも富田林が参戦し、前回汚名挽回のチャンスが早くも巡って来ました。昨年末、阿倍野に負けた後、すぐにリベンジ勝ちしたように、富田林にもラストワンプレーで逆転勝ちしました。
堺は豊中戦の前に、この富田林と対戦し、15対0の圧勝劇を演出しました。コーチはレフリングをしながら、荒削りながら個々のパワーで前進する激しい堺チームを目の当たりにしましたので、不安がよぎりました。下手をすれば、二桁の惨敗もありうると。
そんな不安感に包まれた中、6回目の堺定期戦がキックオフ。開始早々のマイボールキックオフからフォワードがしつこくモールに食らいつきボールをゲット、右隅にバックスが大きく繋いで難なくトライ。その後は嘘のようにフォワード・バックスが一体となってトライの山を築きます。その起点となったのは、体格があってスピードに乗ると振り切られる相手に早くタックルで襲いかかったことにあります。滉平君の浴びせ倒しタックルはもとより、拓海君、晋太郎君や剛太君が小兵ながらしつこく絡んで離さない。彰吾君の追いタックルは既に定評がありますが、今日もあと5メートルでトライされるところを追いすがり見事に阻止してくれました。相手は負傷退場。そして、この生徒も粘着性ではだれにも負けません。誠也君です。一度は堺に転校しながら、毎週末長時間かけて北摂に通ってまで豊中でラグビーを続けたかったというから、今日の試合にかける思いは人一倍だったと思います。その思い通り、ライン際を快走する相手を小指の先で食らいついた魂のタックルで2度も仕留めました。キャプテン佑介君がアタックではスタンドオフ、ディフェンスではフルバックという大車輪の働きで最後の砦を死守したシーンも印象的でした。あとは大阪陸上記録ホルダー大樹君の陸上走りで加点。11―5で下馬評を覆すハイスコアでの勝利となりました。
堺戦後円陣になって、「この勢いでアウルもやっつけようぜ!」と気勢を上げ、よいムードを持って、今日の卒業試合に臨みました。
卒業試合の対戦相手を見て、コーチは嬉しくなったものです。第一戦目のアウルは、昨春の京都成章高校杯の準決勝で対戦した京都有数の強豪チームです。そして、第二戦目の兵庫は5年生の時、一度対戦し、兵庫県のレベルの高さを痛感させられた相手です。それも30人以上いるチームの最強メンバーが対戦してくれるという何とも嬉しい組み合わせでした。
そのメンバーの中には、元日本代表のマコーミックの御子息もスタンドオフにいるという青春漫画のような展開です。
アウル戦前のアップで、生徒全員を大の字で寝させて、勝利のイメージトレーニングを行いました。6年間やってきたことだけをこの一戦に全てぶつけよう。自分がトライするシーンをイメージしよう。仲間が困っていたら助けてあげよう。そんなたわいもないことを話した後、いつもの体幹トレ、ガット、ポップ、2対1のパス、オフロードパス、ピンボール、スマッシュとメニューをこなしました。試合では、2対1の局面で対面をよく引きつけてパスをしていましたし、相手が縦にディフェンスしている局面でオフロードパスもできており、ピンボールの成果かラックでもよく「心の目」で下のボールを見ていたようです。基本的なプレーはほぼ完成の域にあることを実感しました。
アウル戦では、キックオフ早々、相手にトライを献上。しかし、あわてず逆襲の烽火を上げ、同点に。そして逆転。フクロウ軍団も常にバックスを4人余らせ分厚い波状攻撃をかけまた同点とシーソーゲームは最後まで続きました。結果は、7-6で我が軍の勝利!
戦場から凱旋してきた生徒は、はしゃぐでもなく大人しげでしたが、皆自信に満ち溢れた目をしていました。
そしていよいよ6年間最後の試合。兵庫県下のトップレベルのチームに17人全員出場でどこまで頑張れるか腕の見せ所です。
前半は、アウル戦のメンバーでは剛太、晋太郎だけが残り、その他のメンバーが頑張ってくれました。康大君は堺戦でタックルされながらもボールを放らず、しっかりジャックナイフで味方にボールを供給できており、成長著しいプレイヤーです。幸太郎君もガッツあるところを見せてくれました。丈尚もタックルができるようになりました。圭佑君もこれからが楽しみです。大和君は本当に見えないところで活躍する通好みのプレイヤーです。駿介君はノッコンせずに頑張りました。新人けいすけ君もわからないながらも光る走りを見せてくれました。皆強い相手によく13分間9点で抑えてくれました。
さあ、泣いても笑ってもこの後半戦が最終楽章。彼らは、本当に仲間思いだなと感心しました。前半の9点差を取り返そうと思っているのです。9点差は野球で言えばコールドゲーム。限られた時間の中、常識では逆転はあり得ません。ところが、その常識を簡単に一蹴してしまう勢いがこの6年生軍団にはあるのです。
ドミノ倒しはどこまでも留まりません。キックオフでのA.佑介のドロップキックが冴えわたり、あれよあれよという間に9点を連続加点し同点、しかし時間は残り2分を切っている。相手に一本でも取られたらおしまい。そんな状況で、今年いちばん伸びた生徒である幸太君がスクラムサイドをサイン0番で駆け抜けトライ。逆転です。
結局11―9で奇跡は成し遂げられました!!
試合後、4人の辛口コーチングスタッフに最高の褒め言葉を浴び、全員一列になって、観客席の父兄のみなさんに「6年間本当にありがとうございました~!」と深々と頭を垂れて謝意を表明しました。
西日が温かに降り注ぐ中、聖地第一グラウンドでの卒業写真。
♪・・・
卒業写真のあの人はやさしい目をしている
・・・
話しかけるようにゆれる柳の下を通った道さえ
今はもう電車で見るだけ
・・・
あの頃の生き方をあなたは忘れないで
あなたは私の青春そのもの・・・♪
君たちと一緒に走った6年間、走行距離およそ1,500km。シューズは何足擦り切れても君たちとの想い出は擦り切れることを知らない。卒業おめでとう!そして新たな世界へ。
あと1回の大事な試合を残しておりますが、コーチの皆様6年間大変お世話になりました。
二月末から試合続きでしたが、伊丹での不甲斐ない試合内容に心配させられ、堺では豹変した姿にびっくりさせられ、さあ、花園での卒業試合は・・・と期待はしていたものの、対戦相手を見て正直ガックリしていました。
それをコーチは楽しんでおられたんですね。
結果、その通り、アウル戦では観客席もヒートアップする試合内容。
兵庫戦では強いだけではなく、仲間を思いやるすばらしいチームであることが再確認できました。
とうとう最終は子供達と熱血キャプテン率いるオヤジチームとの大事な試合です。これまで骨折、肉離れと負傷者続出の厳しい練習に耐えてきたオヤジチームに一切手を抜くことなくぶつかってきてほしいものです。
親への思いやりもある子供達ばかりなので・・・
ガチンコ勝負の中で子供達の成長を体で感じられることを楽しみにしております。
6年間本当にありがとうございました。
追伸
HP更新の催促ばかりしてすみませんでした。
選手のみなさんおめでとうございます。私は5年生のコーチですが、そばで見ていても素晴らしいチームでしたね。コーチのみなさんの工夫に満ちた指導によって、とくに最終試合に勝利となったこと、選手のみんなの心の糧ですね。勝利至上主義のチームにも勝てたことはとてもうれしいことです。信じる心ですね!だからラグビーはやめられんですばい!一方で東日本大地震の悲惨な状況は悲しいことで、そんなできごとの中で試合ができたことに感謝、自分の心にそんな感謝の気持ちも同時に持ってもらえたらうれしく思います。卒業に乾杯。
コーチの皆様、有難うございました。
そして、17人の勇者達、最高の試合を有難う。
聖地花園で、京都、兵庫を代表する強豪チームと、最終試合を飾れた事は幸せだったと思います。
試合終了後、観戦にきていた近鉄のタウファ統悦選手と写真を撮ってもらう事ができ、その時にタウファ選手からの、「頑張れよ。」との言葉に、皆が笑顔で答えた「頑張ったよ。」の言葉に、その充実感を感じとることが出来たとともに、こいつらが羨ましく思いました。
今日の試合、兄弟として、5年生、4年生も見に来ていました。良き先輩を見習い、来年、再来年と頑張って欲しいものです。
豊中バンザイ 17人の最強集団バンザイ
コーチの皆様、保護者の皆様、先日の卒業試合ご苦労様でした。
そして、6年間本当にお世話になりました。
4年生の秋、息子が「僕、やっぱり豊中でラグビーがしたい」、と言い出しました。すでにラグビーをあきらめていた私たちにとっては、驚きとともに、またラグビーとかかわりを持てる喜びが込み上げた一言でした。
今から思えば、これまでは親がほとんど決めたレールの上を歩かせてきていた中で、この出来事は、息子が初めて自分で考え、自分で決断したことだったように思います。
今、ラグビーを続けてこれて本当に良かったと思います。
one for all all for one
6年生みんなにとって、この言葉がほんとに似合うようになってきたなあ、それを感じさせる卒業試合でした。ほんとうによかった。
明日は、いよいよ6年間の修了式、そしてオヤジチームとの試合。この試合ができる喜びと子供たちの成長を感じ取れるうれしさを心に秘め、いざ決戦!
オヤジ、オバチャン、ファイト!オー!