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三年生の意識で小さな『志を育てる』

二年生の練習もあと2回。早出の生徒はもとより、皆勤賞候補の2人(Y5、T18)も元気にやって来ました。今日は23人出席に加えて、体験の生徒1人が参加してくれました。H7と同じ小学校とのこと。三年生からでも遅くないのでラグビーを始めて欲しいものです。Y5は今日もレフリーを志願し全体練習前のタッチラグビーで笛を吹いてくれました。最初は他の生徒からの信頼がなかったレフリングも慣れるにつれ上手になって巧みな大岡裁きを見せてくれています。候補の2人には20日の最終日にはいい事があるかもしれません。彼らにとっては、毎週ラグビーを仲間とやりたいという気持が無遅刻無欠席という結果に繋がっただけというかもしれませんが、なかなかできることではありません。そこには彼らの小さな「志(こころざし)」があるように思えてなりません。

志とは、一定の期間、自らの意志に基づいて自主的に取り組んでいること(目標)。阪急電鉄の創業者小林一三は「将来への志は常に高く持ちなさい。そして、日々の足元のことをしっかりとやり遂げることこそが、その志に到達する最も近道なのだ」との言葉を残したそうです。小学校中学年から小さい志を積み重ねることが将来の大きな志(一生涯をかけて達成しようとするもの)につながっていくと信じて全員が精進して欲しいものです。

全体練習の前に生徒を集め、彼等が今年の新年に決めたことについて話をしました。今日も絵日記を持ってきたK20やノートにびっしりと練習内容を書き込み続けているS6のようにコツコツと決めたことを続けている生徒もいれば、3ヶ月前の気持ちが変わっている生徒もいると思います。生徒には立ってもらい、コーチが体育座りの姿勢で中国のある故事成語について話しました。NZオールブラックスのフォワードコーチは選手達からフィードバックを受ける際、彼らをリラックスさせるのに権力関係を逆にするとよいとの考えで、わざと選手達がコーチを見下せるようなゴロ寝の姿勢をとっているとNZの知人に聞きました。コーチもまねてやってみたところ、生徒の体格が大きくなっていることに気づいたり、生徒が次々と発言したりと、目線の逆転効果はあったようです。

生徒には韓非子(中国戦国時代の韓非の著書、「矛盾」などわかりやすい説話にあふれている)の「鄭人、履(くつ)を買わんとす」を生徒達がわかるよう今風にモディファイして、「豊中の人、梅田にラグビースパイクを買いに行く」という話をしました。

豊中の人がスパイクを梅田で買おうとして、予め足の寸法を測ったが、その寸法書きを持っていくのを忘れてしまった。スパイクを手にしてからそれに気づき、寸法書きを豊中まで取りに帰り再び来ると、もうお店は閉まっていた。結局、スパイクは買えずじまいだった。それを見たある人が「なんで自分の足に合わせてみんかったんや」と尋ねると、「寸法書きは信用でけても、自分の足は信用でけへんからな」と答えた。

この説話は、本末転倒した愚か者のたとえとか、融通が利かない人のたとえ話とされていますが、生徒には、3ヶ月前から今では、自分も成長し、新しい目標が見えてくるかもしれない。最初に決めたことだからと今でも同じ目標にこだわらず、新しい目標にチャレンジすることも必要だということのたとえ話としました。生徒にはお店が閉まっていたとき豊中の人はどうしただろうか?と質問したところ、「穴を掘って・・・」(S14)、「シャッターを開けて・・・」などそれは犯罪やろという回答の方向に向かったため、質問はおしまい。なんとも想像力豊かな生徒達です。新しいコーチが二年生の一日コーチに入られたので、生徒に対し自己紹介していただき、生徒から質問を受けてもらうことにしました。沢山の生徒から質問が次々と飛び出しました。出身校(名門!日川高校)はもとより、「ラグビーを始めたきっかけは?」(M23)など唸らされる核心的な質問ができる生徒達に一年間の成長を感じました。

今日の練習では、試合のコートの広さのグラウンドに縦横各3M間隔の格子状の線を引いておき、それらの線を活用して様々なメニュー行いました。ウォーミングアップのタッチラグビーでは、タッチが行われたゾーンの後方の線までディフェンス側は下がることとしました。線があると生徒はオフサイドをイメージしやすいようでちゃんと後退していました。次の練習では、コートの半分で、対角線上のコーナーに鬼3人と攻撃側4人が向き合い、コーチの笛で攻撃側が鬼側のコーナーにタッチされずに到達するゲームを行いました。攻撃側は自由に走れる一方で、鬼はこの格子上しか走れない制限付きでどこまで侵攻できるかがポイントです。この他、リレー形式でボールを転がしたり、仲間に走りながらパスをしたり、受け取る人はジャンプキャッチをしたり。あるいは、最小のグリッド(3M×3M)内にいる生徒4人がそれを取り囲む大きなグリッド(9M×9M)の辺にいる2人の鬼にタッチされないようにトライする回数を競う練習など様々な動きを体験して貰いました。今日も脳内に新たな回路が作られたでしょうか。

最後のミニゲームの前に、一年間のおさらいとして2対1の状況でのパス、さらに先週のおさらいとして、2対1でのオフロードパスを行いました。2対1は思い出すまでぎこちなかったものの、オフロードは後方から走ってくる味方に手渡しパスが両手で上手にできていました。素晴らしい理解力です。

表題の著書をまとめたグロービス経営大学院は、「志」はらせん状に成長するとしています。あるきっかけで目標を持つ→その目標に向けて実行を進めていく→目標の達成に限らず、本人の心が折れたり、心変わりしたりするなど、目標に到達できない場合も含めて、その取り組みがその人のなかで終わってしまう段階→自分が没入した目標の位置づけを一定の距離をとって客観的に見つめ直す段階→自分が本当にしたかったことは何なのかを問い、答えを出す段階→新たな目標の設定というサイクルがらせんを描いていく。

二年生は今、小さな螺旋階段を一回りし、これから徐々に大きな螺旋階段を上っていくことでしょう。コーチはその姿を階段のいちばん下から覗かせていただこうと思います。

 

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