カテゴリー: '16-6年生チーム

二年生にとっての『良い戦略、悪い戦略』

先週はまたもや降雨で練習中止。今日は芝のグランドですので晴れてなによりでした。そんな日は良いことがあるものです。開校式から3カ月経過し、初めて二年生26人が全員揃いました!出欠確認で全員が大きな声で「はい!」と返事をくれたのは最高でした。

全員が揃った絶好の機会に、今後の戦い方について意思統一のため話し合いました。8月は合宿で三年生と練習試合、9月は茨木RSさんとの交流戦、そして11月には高槻RSさんとの対戦が待っています。これら全てに勝つためにはどうしたらよいか考えるヒントとして、生徒には今から3千年以上前の旧約聖書の時代にタイムスリップして貰いました。コーチの手元には、倒れている大男の前に立っている少年の絵があります。この少年はどうやってこの巨人を倒せたのでしょうか?生徒の手が沢山あがります。いちばん最初に手を挙げたM19曰く「武器を使った」すばらしい、正解!ではどんな武器?「大砲」(Y5)、「ナイフ」(K4)、「包丁」(M23)どれもハズレ。この少年は、ダビデという羊飼いで、倒された巨人兵(身長3M)はゴリアテ。ダビデはイスラエルの王さまから与えられた鎧兜を脱ぎ捨てて、投石器と石だけを携えてゴリアテとの戦いに挑んだ末、石を発射しゴリアテの眉間に命中させたというお話です。

さあ、ヒントを出したところで、どうしたらこれからの試合に勝てるのか質問しました。またもやM19の手が挙がります。「作戦を考える!」連続正解!!クイズ王になれるかも。そうです。コーチの手元のホワイトボードにも既に「作戦(さくせん)」と書いてありましたが、まさか正解者が出るとは。二年生恐るべし。作戦は読んで字の如く、戦いを作ることだね。では、誰が試合を作るのか?これも沢山手が挙がります。「キャプテン!」(T2)、作戦を決めた後でリードする役だね。「レフリー!」おいおい、でも、試合作ってるレフリーもたまにいるか。ニアピン賞。「チームメイト」(H9)、正解!作戦はみんなで考えるんだよ。でも二年生ではまだ難しいのでコーチが考えた事をこっそり教えることにしました(親にも言わないよう秘密保持契約を口頭で結んでおります)。題して「グーチョキパー作戦」。これだけ言い残して合宿に向けた練習開始です。

最初に、「ペアでナンバーズラン」。9つのビブスが正方形(5M×5Mを3か所)設置の内側にランダムに置いてあります。これらのビブスを数字の若い順番に早く9つ跨いだペアの勝ちです。一人が跨ぐ役、もう一人が後方から指示する役でヨーイドン。明快に援護射撃できる部隊もあれば、指示に窮して前線見殺しの部隊もいました。反射神経を鍛えるにはもってこいの練習でした。次に、これら3つ縦に並んだ正方形を横目に「天国と地獄ラン(笛の音で反転)」をし、コーチが数字をコールしたら好きな色(緑、黄、黒)のビブス(コールされた番号)を取る競争です。皆黒が好きですね。黒ビブス争奪戦の様相でした。これで今日の3チームが組成できました。

水分補給の後、同じ3つの正方形を使って1vs1の練習から。3対3で平行に向き合っている状態で最も声を出した生徒にコーチがパスをし、ボールを受けた生徒と同色ビブスの生徒がディフェンスする練習です。次に2vs2、そして3vs3へと人数を拡大。コーチからボールを受けた生徒が同色の相手を引きつけておいて隣の人にパスして前進させる練習。最初はパスがうまく通らず苦労していましたが、意味がわかってくると、隣のどちらにパスすると良いかを考え始めたようです。S1が「右にパスすれば緑が逆サイドだからいける!」とひらめいた瞬間でした。

ここで作戦タイム。具体的に今度の試合に向けた戦略(生徒には難しい言葉なので「作戦」としています)を伝授。今から21年前の湾岸戦争でイラク軍に対し理路整然とした戦略をやってのけた「砂漠の嵐」作戦を彷彿とするような(ちと大袈裟か)定石中の定石を伝授したまでのことです。ダビデの投石もしかり、「砂漠の嵐」もしかり、功をはやるチームメイトの中でいかに冷静に戦局を見極め、ここぞの場面で作戦を遂行できるかが鍵です。

グーチョキパー作戦伝授の後は実践あるのみ。同色ビブス毎に分かれて当たる肩を意識したヒット、回転、手渡しパスの練習とエアーヒット・回転も練習しました。

最後の20分で仕上げの三つ巴戦です今回は、キックオフの攻撃から作戦の意図を生徒達が理解するまで何度もやり直し、少しずつわかってきた生徒の動きが変わってきました。

今日は、R15がたくさん書いたラグビーノートを全員に披露しましたが、今日の練習をどう振り返っているでしょうか。昨日の七夕では、短冊にラグビーの願い事を書いた生徒もいるようです。ラグビーが生活の一部になってきていることは素晴らしいことです。

戦略論の世界的権威リチャード・P・ルメルトは良い戦略について近著にこう記しています。

良い戦略は必ずと言っていいほど単純かつ明快である。直面する難局(組織の存亡に関わるような重大な課題や困難)から目をそらさず、行動の調和と集中を図り、問題解決や競争優位へと導くのが良い戦略である。良い戦略にはしっかりした論理構造(核)がある。戦略の核は、診断(取り組むべき課題の見極め)、基本方針(大きな方向性と総合的な方針)、行動(一貫性のある一連の行動)の三つの要素で構成されている。この基本方針の下で意思統一を図り、リソースを投入し、一貫した行動をとる。

他方、悪い戦略には、目標が多すぎる一方で、行動に結びつく方針が少なすぎるか、まったくないのである。(先週、コーチが書いた「第一感」についても言及しており)第一感に基づく判断が有効なのは、時と場合による。直感に頼るべきでないケースとしては、ある出来事が起こるかどうかの確率に関する判断、自分自身の能力と競争相手の能力との比較などが挙げられる(そうです)。

練習の最後に今日のまとめをしたところ、「今度お父さんに石投げてみよ!」と言った生徒がいました。お父様方、くれぐれも石を投げつけられないようお気をつけあそばせ。

 

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3 thoughts on “二年生にとっての『良い戦略、悪い戦略』

  1. 2週ぶりの練習、しかも青々とした芝生。梅雨真っ只中の晴れに感謝です。
    コーチの皆様、今日もありがとうございました。
    楽しそうなためになる練習が行われているのにR15にはなかなか理解ができていないようで。。。というか話を聞いていない気がします。しかも人のプレーも見ない。練習中、近くに来たときに思わず注意してしまいました。
    大学でもいつも言っていることなのですが、もうちょっと意識を高めて欲しいものです。

    今日は父が夕方から用事があり外出してしまったので、ラグビーノートを見届けることができませんでしたが、先ほど確認すると書いておりませんでした(^_^;)
    残念ながら、明日は朝から説教です(*^_^*)

    ちなみに石を投げられるようなことがあれば、岩を投げ返してやります!!
    大人げなくない程度に。。。てか、投げ返す時点ですでに大人げないですか!?;^_^)

  2. コーチの皆様、保護者の皆様、いつもありがとうございます。
    わが息子は早速、守秘義務契約を破ってしまいました。父「グーチョキパー作戦て、何やねん!」ってきくと「とーちゃん、だけには言うわ」と全て吐き出しました。敵チームには漏らしませんので、どうか今回はご容赦ください。

  3. R15父さん、
    ノートは書きたいときに書いたらいいですよ。チームプレーのいろはに入ろうとしている段階ですので、どうしても耳をふさいでしまいたくなる心理ってあると思います。キラーパスを出すことの喜びにいつかは気づいてくれるでしょう。ただし、個が強い気持ちで相手を突破しないとなりたたないスポーツなので、彼の非凡な闘争本能を殺さずに活かしていく工夫をしたいと思います。

    T18父さん、
    吐いちゃいましたか。。。かわいい愛子の秘密を知りたいのは親心、致し方ありません。なんやと言われそうな作戦ですが、「砂漠の嵐」作戦よりさらに昔、大西鉄之祐氏が1968年(R24のおじいさんが日本代表の時代)のオールブラックスジュニア戦を勝利に導いた戦法(展開・接近・連続)まで遡ります。ニュージーランド人を虜にしたこの戦法には、ボールの奪取が抜け落ちています。そこも補完したグーチョキパー作戦は、今回の練習が全てではありません。ここから、攻守に亘る練習が必要となります。実は親に説明ができるほど単純かつ明快な戦法としています。試合中に、「パーや!」「チョキや!」と生徒が言い合えるようになるまで徹底したいと思います。