カテゴリー: '16-6年生チーム

四年生になるまでに持ってほしい『嫌われる勇気』

前日の雨で若干ぬかるんだグラウンドを嫌気して参加人数が減るかなと思いきや、29人も参加。体験の生徒が1名参加してくれたので、また30人の大台に。お父様はやらせる気満々でしたが、息子さんはどうだったでしょうか。コーチ自身、高校・大学と何れも入部した日がこんな泥濘状態のグラウンドでいきなり回数も数えられない程ランパス、キックダッシュ、姿勢、スクワット、ロックプッシュやらの洗礼を受け、ラグビーの第一印象は良くなかっただけに、体験の生徒の気持ちが気になります。今日は予定していなかった古典的なランパスを始めてしまい、こんなきつい練習はいややと思ったかも。でも来週も来てほしい逸材です。三年生必修科目の「エグザイル」も一回説明しただけなのに、即座の習得ができていて、コーチ陣もびっくり。泥んこになりながらも自分の今できることを全力でやるという姿勢は見習うべきところです。そういう姿勢は武道で鍛えられているのかもしれません。

全体練習を始める前の30分間、ラグビーノート13冊にコメントとハナマルを書いている最中、生徒が仲間と何をするのか様子を見ていました。コーチのところに寄ってきて「コーチ、キックテニスやろう」と提案する生徒が数名。「自分たちで仲間を集めてやったらええやん」と突っぱねても、いっこうに始める様子もないまま、集合がかかってしまいました。

全体練習では、先週に続いて円弧を走るリレーでウォームアップしたところで、弧をイメージできるユニットプレーを行いました。5メートル間隔の3人一組が横一列同時にスタートし、真ん中の生徒が5メートル前にいるコーチからボールを受け取ったところで素早くターン。両サイドから弧を描きながらクロスしてくる生徒2人にダミーパス。またも素早くターンし5メートル前方の相手にヒットしターン。ここでクロスした勢いで大きく弧を描いた二人が8の字状にクロスする手前でいずれかの生徒にパスし、後方のゴールにトライするまでサポートする流れです。足元が滑るためサポートが遅れたりすることはありましたが、一度見ただけで全員できるところは素晴らしい。

エグザイルを1対1で行っていたところに、急に冷たい風が吹いて一気に生温かった空気が消え去ったことから、急遽、予定を変更し、ピンボールとランパスを行い、寒さを忘れさせようとしました。ランパスでは、パスしたらフォローアップをすることで弧の動きのイメージを掴んでもらいました。流れた状態でパスを受けるのではなくて、基本はボールの向かって来る方向へ走り込んでのアーリーキャッチ。久しぶりだったのか、パスに気をとられ速く走ることがおろそかになっている生徒がたくさんいました。狭い空間での練習が多かったため、広い視野で速く駆ける練習不足だったことを反省しました。

米国の臨床スポーツ心理学者R・ナイデファーは意識の対象となる注意集中は大きく4種類あると定義したそうです。つまり、状況に応じてこの4種類の注意集中を使い分けられるかどうかで、集中力が発揮できるかどうかは大きく左右されるとしています。4つの注意集中とは、①外へ広く向かう(ゲーム全体に注意をはらう)、②外へ狭く向かう(ゲーム中、実際のプレーに直接関わるものだけに注意を絞り込む)、③内へ広く向かう(過去のゲームや練習でのプレーを分析する)、内へ狭く向かう(プレーを行う前に心の中で行うメンタルリハーサルを行う)注意集中です。様々な視野が必要なわけです。

今日も、集中力を欠いた生徒がコーチの言うことを聞かずにちょっかいをかけてきた仲間とじゃれあっている光景があちこちでありました。これまでは、違う学校の仲間と親睦を深めることを優先して自由にさせてきましたが、これからは、どこにも負けない強いチームになるという大きな目標を見据えて、今やるべきことを全力で取り組むことに集中します。ちょっかいやおしゃべりに反応するのは、誰からも嫌われたくないという気持ちの表れ。それは他者の期待を満たすように生きること、そして自分の人生を他人任せにすること。練習前の時間、コーチに今日は何をしてくれるのか聞いてくる生徒たち。コーチにとって心地よい時間帯だったのですが、四年生になろうとする彼らには、他者が自分に何をしてくれるかではなく、自分が他者に何をできるかを考え、実践できるように指導していきます。

そんな他者貢献をするからこそ、自分は誰かの役に立っていると実感し、ありのままの自分を受け入れることができるとするアドラー心理学の掲げる目標に次のものがあると表題の本に書かれています。

行動面の目標

①自立すること

②社会と調和して暮らせること

この行動を支える心理面の目標

①自分には能力がある、という意識

②人々は自分の仲間である、という意識

アドラーについての1冊の本を読むと、過去に支配されない生き方、「いま、ここ」を真剣に生きていれば、深刻になる必要もなく、人生はいつもシンプルであると思えるようになります。生徒たちには、まず「嫌われる勇気」を持って、今一番大事なことをやり抜くよう指導したいと思います。

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2 thoughts on “四年生になるまでに持ってほしい『嫌われる勇気』

  1. 暖かいと思いきや急に寒くなる訳の分からん天気の中、ご指導ありがとうございました!
    集中力を欠く生徒の一人の親としてお恥ずかしい限りです(>_<)
    が、昔から嫌われ役をかってきたオヤジの子ですから、いつか変わる日がくることを信じ、家でも指導(躾?)していきたいと思います(*^^*)
    R15にとって激変の一年となるよう願いながら(^_^)

    • R15父さん、
      前々回の練習で最後にゲームをしようとビブスをアットランダムに配布したところ、緑のビブスを受け取ろうとしない生徒がいる中で、「僕、緑着る!」と積極的にビブスを取って行った行動にR15の人としての成熟を見ました。ほんとうにこれからの激変が楽しみです。他にもそういった積極性が現れている生徒が出てきました。
      生徒全員のやる気のスイッチさえ見つけて押してあげて最高の気分で練習やゲームに打ち込める環境作りをしてあげることが目下コーチ陣の課題です。そうすれば、120分集中力が途切れることはないと思います。集中力は生徒の問題というより、コーチングの問題ですね。躾けより、人が躊躇するよき行動を褒めてあげてください。
      日曜日は体力測定を予定しているのですが、雨が心配です。