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二年生がトップリーガーに見せた『リバース・イノベーション』

二年生の多くが昨日花園で行われたトップリーグのゲームでエスコートキッズ役を務めました。今日はその時いただいたという大人用公式球のサインボールを両手で大切に抱え、「山田選手をエスコートした(R15)」とか、皆昨日の働きぶりを精一杯アピールしていました。さらに今日は、あこがれのトップリーガー2人(霜村主将、変幻自在のウィンガー山田選手)が臨時コーチとして来校というおまけつきに、生徒のテンションは上がりっぱなしでした。

まず二年生の練習を見に来られた霜村主将の前に生徒を座らせて、先週の続きの「来年毎日続けること」について質問しました。沢山手が挙がります。生徒に発表して貰う前に、「霜さん」に同じ質問をしてみました。「毎日、走っています」、「それと懸垂もやってます」とのことでした。では生徒はどんなことを続けようとしているのか。まず、元気よく手を挙げたT2は「パスをします」、K12も元気よく「体幹トレーニング!」。S14は「坂ダッシュ!」、T18は「ラダーをやる!」、H7は「スクワットをする」、最後にM23も手が挙がりました、「懸垂をやる」。4歳からラグビーを始めたという霜さんも、次々繰り出す二年生のモチベーションの高い発言に「え~!!」を連発していました。最後の挨拶で霜村主将がおっしゃたように「毎日続けることでラグビーがうまくなる」と信じて来月から毎日少しでもいいので継続して欲しいと強く思いました。

さあ、霜さんの前で二年生通常練習のお披露目です。何度かやっているカバディからスタート。戸惑うことなく普通に散らばる生徒を見て、「え!?何それ?」、あらゆる練習メニューを知り尽くした霜さんも知らない練習があったようで、冒頭から絶句。インド発祥のカバディは攻撃者(レイダー)が本当は「カバディ!カバディ!・・・」と連呼して守備側の7人にタッチするルールですが、今日の二年生には「九九カバディ」とし、コーチの「2の段!」といったコールで九九の掛け算を連呼しながら守備側のコートに入るルールです。少しやり方を見ていただいた後に霜さんにもレイダーをやって貰いました。小声で「1の段でお願いします」とのことでしたので、1の段を声に出していただきました。しかし、コートに侵入するや、ものの数秒で全員に羽交い絞めにされアウト。こりゃ参った(*_*)とばかり青鬼は他の学年へ行ってしまったとさ。

本当はこの次にアドバイスいただきたかったワイルドナイツの練習メニュー「キラー・プレイスメント・タッチ」を行いました。これは一年ぶりでしたが、生徒の理解度は格段に上がっており、簡単な説明だけで締まったゲームになりました。6回の攻撃でトライを取るタッチラグビーですが、タッチされた人はロング・プレイス(頭を味方に向け身体を前後にまっすぐ伸ばした状態でダウンボール)でダウン。そのボールの上にブリッジ役が低く構え、3番手がパスあるいはサイドに潜るルールです。タッチした相手は即座に自陣トライラインまで後退してからでないと参加できません。なぜロング・プレイスなのか、トライラインまで戻る意味は?など次回また機会があれば二年生の質問攻めをお受けいただきたいものです。

SBWなどトップリーガーのサイン入りジャージがすっかり泥だらけになったところで、2対1でのディシジョン・メイキング(意思決定)の練習を行いました。約6M×3M四方の四隅にカラービブス毎に分かれ、ボールを持ったビブスの生徒が走り出したことろで、コーチの「黄色!」のコールで黄色の生徒がディフェンダーとしてボールキャリアへ向かいます。プレッシャーの中でパスをするのか、フェイントで抜くのかなどを判断する練習です。これを両陣営で先に5点先取した方が勝ちとしたところ、生徒の集中度が増しました。次に、真ん中にコーチが立ち、より大きな声を出した生徒にパスをするルールに変えたところ、全員から大きな「パス!」の声がグランドに響きわたっていました。

ここまで集中力が高まるとコーチも欲をかいて、カットインの基本練習をやりたくなりました。今日スクール全体で、北野高校ラグビー部主催大会での全勝優勝を表彰された中学二年生達が6年生になって初めて習った練習ですが、二年生にできるものかやってみました。結果はフリックパス(手首だけで放るパス)を未だ教えていなかったために効果的なパスが出せない一方で、レシーバーがカットインのタイミングを測り損ねていたようです。まずは、フリックパスとトップスピードになった状態でのパスレシーブから練習です。練習の最後にトップリーガーへの質問コーナーがありました。「どうしたら速く走れますか?」の質問に山田選手は、「しっかり毎日勉強すると、土日勝手に速くなるよ」とのアドバイス。さすが進学校から慶大に進学した経歴の持ち主だけあって説得力があります。二年生も学校で頑張って足を速くしよう。

カバディ発祥のインドで生まれた権威ある経営思想家ビジャイ・ゴビンダラジャンが発案した「リバース・イノベーション」は、途上国で最初に採用されたイノベーション(例えば、スポーツ飲料のゲータレードは元来インドのアーユルベーダ医療で用いられてきた一般的な脱水状態を防ぐ療法だったことなど)のことを指しますが、この考え方は、二年生が普通に行っていることがトップリーグでも有効活用されることを示唆しています。同氏は、「リバース・イノベーションは発明ではなく、忘れることから始まる。学んだこと、見てきたこと、最大の成功をもたらしたことを捨て去」らなくてはならないと言っています。

二年生の練習を見た霜村主将に「これパクらせて貰おう」と言わしめた二年生たち。彼らは、トップリーガーがかつて歩んだ道筋をそっくり踏襲するわけではなく、置かれた環境や与えられた課題も異なる中で、これから大きく成長しようとしています。トップリーガーから学ぶべきところはしっかり学ぶ一方で、自分達のおかれた環境の中で、自分達が考えて行動する姿勢が大事だと感じた一日でした。

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