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四年生の『チームが機能するとはどういうことか』

高校野球(大阪勢の優勝は12度目)が終わると子供たちの夏休みもいよいよ最終盤。こんがり程よく日焼けした顔が帰ってきました。用事で合宿に行けなかった生徒とは1か月ぶりの再会です。懐かしい顔ぶれだけでなく、体験の生徒(Kazuto君)が野球帽をかぶって参加してくれました(合計30人参加)。この生徒、野球チームに所属しているそうで、肩の強さとダッシュ力が印象的でした。すべての練習とミニゲームまでそつなくこなした彼に最後、感想を聞いてみました。「野球の練習はもっときついけど、ラグビーはガツンとくるきつさ」だったとか。短時間に多くのメニューをこなし、プレーの自由度の幅が広いラグビーに興味を持ってくれたでしょうか。パスの練習では、野球のように上手投げで器用にパスをして、ラグビーは下からパスするものという固定観念を簡単に打ち壊してくれる自然なプレーでした。野球の合間にまた来てほしい逸材です。

合宿の感想文は早くも参加者32人中29人の提出がありました。四年生にもなると、花火・食事・宿舎での思い出だけでなく、ラグビーでの練習の印象(グラウンド5周、タックル、マルチテストがきつかったようです)や初めてできたプレー(ふくらはぎタッチでやり方のコツをつかんだタックル、苦手だったのにできるようになったパスなど)のことを書いていました。中には、合宿が終わってから、人に会ったら、「おはようございます!」とすぐ言えるようになったという文章もあり、合宿はラグビーのスキルやチームワークを高める場所と思っていましたが、人間の基本的な部分に目覚めてくれるなんて思いもよりませんでした。この生徒、「あきらめない」ことをずっとラグビーノートに書いていましたが、合宿でそれまであきらめて相手にトライを献上していた追いタックルを何度も決める飛躍的な成長を見せてくれました。今日も積極的にプレーしており、練習の最後に、本人にはきっとサプライズとなったであろうメンバー発表をさせてもらいました。

30年の長きに亘って「草」のラグビー場を夢見た末に完成をみた「ふれあい緑地」杮落としのイベントとして行われる北摂の交流試合で、5チームを組成し豊中市のラグビーの歴史の新たな一ページを刻みます。四年生も漸くラグビーらしくなってきたタイミングでもあり、これからいよいよ6年間の集大成となるチーム作り(チーミング=組織が相互に絡み合った仕事を遂行するための活動的なプロセス)が始まります。そのチーミングの基盤を築くという意味で、対外試合を行うチームの名前を、「フェーズ・ゼロ」としました。表題の本で採り上げられている革新的なデザイン・コンサルティング会社IDEOで有名となった「フェーズ・ゼロ」というサービス(新たなサービスや製品のチャンスを発見することによって、さらなるデザイン構想の状況を生み出そうとするもの)から拝借しました。四年生のチームも、ゼロからチームデザインの漠然としたアイデアの中から突きつめるべき一つを選び出し(フェーズ・ワン)、このチームをどのように機能させるのかという問題を検討し(フェーズ・ツー)、チームのメンバーが細部まで機能を設計し(フェーズ・スリー)、機能するチームを完成する(フェーズ・フォー)という4つの段階(フェーズ)を経ることでしょう。いまがまさにゼロの段階。チームのメンバーも毎回変わります。これからまったく同じメンバーで試合をすることはなくなるでしょう。チームは召集されるやすぐに解散されるという前提で前向きに行動するスキルと柔軟性を生徒に持ってもらいます。(コーチが子供のときのように)おとなしい生徒に対しても積極性を求めていきます。つらいと感じるかもしれません。しかし、会う人にあいさつが自然にできるようになった生徒のようにいつか自発的に変化してくれると信じています。

そして、今回は紅白戦のみ出場となるチーム名は、バレーボール女子ワールドグランプリで初めての銀メダル受賞に輝いた日本の新戦術「ハイブリッド6」にあやかりました。ゲーム経験の少ない選手主体のチームの中に、攻撃的な選手を加え、流動的にポジションを入れ替え、チームを活性化させたい狙いです。

フェーズ・ゼロα(アルファ):箕面Aと対戦

S1(チームキャプテン=TC)、T2、S6、T18(ゲームキャプテン=GC)、M19、R21、J22(イメージキャプテン=IC)、S25

フェーズ・ゼロβ(ベータ):箕面と対戦

K4(IC)、Y5(TC)、H9、S10、S14、R15(GC)、R26、T30

フェーズ・ゼロɤ(ガンマ):摂津と対戦

Y3、Y8(IC)、A11、H13、K16、Y17、K20、M23(GC)、R24、E28(TC)

ハイブリッド・セブンα(アルファ)

能勢の生徒、K8(GC)、K27、T30(IC)、K31(TC)、H32、K35

ハイブリッド・セブンβ(ベータ)

H7(TC)、K12(IC)、M23(GC)、R24、H29、K33、D34

試合前ということもあってか、アジリティ・ポールを使ったパスの練習では、四年生と思えないスピード感とクイックパスで面白いように素早くラインを作り、リズミカルに繋いでいました。立体的な目標物があるとこうもプレーが変わるのかと驚きの連続でした。

まだルールがわかっていない新しい生徒には、全体練習の前にMKTレフリーによる懇切指導で早期にルールを覚えて貰おうと考えています。

子供たちの著しい成長に伴って、この大所帯で浮かび上がってきた問題点は、「心理的安全」が保たれにくくなっているということです。心理的安全とは、表題の本でも説明がありますが、関連のある考えや感情について人々が気兼ねなく発言できる雰囲気を指します。ラグビーのうまい生徒に気兼ねして助けを求めなくなったり、一緒にプレーしなくなるシーンが散見されるようになりました。チーム内に心理的安全が低くなると、無関心になったり、不安を増幅させることに繋がるようです。反対に、高い心理的安全と高い責任感があると学習する組織(チーム)になっていくそうです。新しいメンバーにルール説明会を行ったり、責任あるキャプテンの任務を与えたりするのも、学習する組織作りには必要だと思うので、継続していこうと思います。

夏休みの宿題がまだの生徒は、題材を天気や星座に求めがちですが、じっくりと自分の内面を題材にするのもいいのかなと思います。数年前に紹介した『勝負脳の鍛え方』(林成之氏著)を読んで、目的と目標の違いがわかったという生徒もいますから、余計なお世話と言われそうです。

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2 thoughts on “四年生の『チームが機能するとはどういうことか』

  1. Fukushimaさん始めコーチの皆さん、いつもご指導ありがとうございます。
    今週はコーチの皆さんが勢揃いで、本当にありがたく思っております!

    さて、気が付けばまもなく9月、いよいよ久々の対外試合ですね。
    Fukushimaコーチのチーム名の「名付け親」としてのセンスに触れるのが、毎回、楽しみです(^^)d

    息子S25は、合宿を経てタックルがちょっと好きになったはずですので、「フェーズ・ゼロ」の名にふさわしい「献身的なタックル」を期待したいと思います。
    もちろん「ハイブリッド・セブン」も大注目です!!

    ビデオ係として、S14お父様とともに試合を撮影するつもりですので、9月中にぜひ、DVD鑑賞会を開催しましょう!

    • S25父さん、
      試合数が7試合に増えたのでさらに楽しみです。
      9時30分 フェイズゼロβ対摂津
      10時12分 フェイズゼロα対箕面A
      10時54分 フェイズゼロγ対箕面B
      11時36分 ハイブリッドα対ハイブリッドβ
      12時11分 フェイズゼロα対箕面B
      12時32分 フェイズゼロγ対摂津
      同時 フェイズゼロβ対箕面A
      と考えていますが、ハイブリッドのメンバーには他の試合でも出られるチャンスがあります。古いメンバーに遠慮せず絶対出たい!という気持ちを前面に出して欲しいと思っています。
      R21やJ22、そしてS25のようにタックルに自信を持った生徒にはスカ喰らってもいいのでタックルポイントに思い切りよく向かって欲しいですね。
      日曜日は自分の合宿で参加できません。試合前に申し訳ないですが、Fujiiコーチに実践的な練習をお願いしています。サポートよろしくお願いします。