カテゴリー: '16-6年生チーム

四年生は見た!『おとなの背中』

五年生以上が土曜日から静岡遠征のため、日曜日は天然芝と土のグラウンドを広く使うことができました(30人参加)。今日は保護者が待ちわびた親子・兄弟タグ対決。梅雨入りで心配された降雨もなく、少し先取り感のある真夏の決闘となりました。一方、伸び盛りのスターダスト軍団は、大物新人加入で勢いのある三年生とセブンズの練習試合を行いました。親子・兄弟対決は、五分五分の様相でしたが、おとなげないうえに、蒸し暑さに滅法弱いことを露呈したおとなの負けとしておきましょう。

「弱くても勝てます」だったはずのスターダストは、トライ2本差で初の敗戦。こちらは三年生のひたむきなプレーに終始圧され、最後までペースをつかめないままノーサイドを迎えました。しかし光明は、防御の要であるK12、K16以外に、A11、R21が確実にタックルで相手を倒せるようになったこと。さらに、K31に至っては、大型相手フォワードにフロントタックルを敢行し、トライラインを死守したのはMan of the Matchもののチームプレーでした。試合経験の少ないメンバー主体のチームなので、こういう戦い方で勝つぞというものがなく、三年生と同じ土俵で戦っていました。その後の紅白戦で外から観た経験値の高いチームがなぜ強いのか、自分たちのラグビーとどこが違うのか、戦略面(山を登るコース取り)で比較していつか気づきが生まれればと思っています。

そんなスターダストの生徒たちのことに思いを巡らしていたときにNHKでサッカースペイン代表のシャビとイニエスタのスーパーコンビの特集が流れていたので思わず魅入ってしまいました。二人は身体的には他のナショナルチームのメンバーと比べそれほど高くない上に身長も170センチと小柄。高さ、強さといった身体能力重視のバルサではスタメン定着は難しかったようです。しかし、そんな二人の見過ごされがちな隠れた才能を見抜いたのは当時スペイン代表監督だったルイス・アラゴネス。

シャビは子供の頃からバルサで積み上げた過去の膨大な経験から本人も気づかずに繰り出す直感的なプレーが持ち味。スペイン対ナイジェリア戦でのパス数は800回を超え、成功率は9割以上。なんとその1/3がシャビのパスだったとテレビは説明します。「ピッチ上のすべてが見えている」と自ら言うほどの突出した空間認識能力が調査結果で浮き彫りになっていました。日本の選手もワールドカップ開幕前8連勝と素晴らしい試合、プレーを魅せてくれますが、彼らではまったく反応していなかった大脳基底核という部分がシャビは働いているのだといいます。

そんな高い能力を持つシャビのパスを受けて独創的なプレーで点に繋げることができる仲間がイニエスタ。彼も能力テストの中で様々なパターンを限られた時間内に考え出す能力が他のプロサッカー選手に比し突出していました。本人の「つねにサッカーを創造しているんだ」という言葉が印象的でした。

経験値が少ないスターダストのニューフェースたちのなかにもいつかシャビやイニエスタのような隠れた頭脳を活かして頭角を現す選手がいるかもしれません。そんな今は見えてこない潜在能力を見過ごさないためにも、提出が定着してきたラグビーノートに毎週書き込んでくる言葉や絵にも注意したいものです。

ところで、生徒たちの成長でおとなとしての見せ場が減ってきた感のある親子対決。経験値の高い生徒にとっては既に関心事でもなくなったようです。「哲学とはおのれ自身の端緒が更新されていく経験である」とおっしゃる現代思想、現象学のトップランナー鷲田清一元大阪大学総長は、表題の本でおとなと子どもの関係について岸和田のだんじりを例に、おとなが整ったところだけを見せるのではなく、いいかげんなところ、愚かなところ、そして「馬鹿」がつくほど一途なところを祭のときはぜんぶ、見せるともなく見せるということを分かりやすくエッセー風にまとめていらしゃいます。

「子どもはおとなが口にする言葉をまっすぐに聞くのでもなければ、その振りをただ真似るのでもない。その姿、その佇(たたず)まいを、後ろからしかと見ているのだ。生きるうえでほんとうに大事なことは、こういう姿、こういう佇まいをつうじてこそ伝わってゆく。背中のもつ意味は大きい。」

練習終了後、ランニングフォームを教えていたんでしょうか、息子Y17に自ら走ってみせ、子どもは背中を見て親を追走するシーンにもおとなの背中の重みを感じました。鷲田先生風に言えば、「これせえ」「これをしたらあかん」とか、いろいろ教えるんやなしに、ここにいたら子どもが自ずと育っていけるような場を、あるいは空間を作るのが大人の仕事なのでしょう。


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