カテゴリー: '16-6年生チーム

『「空気」で人を動かす』四年生

32度の夏日に32名出席。一人1度の熱気を集めたかのような(一人発熱で欠席したほど)白熱教室となりました。熱気は空気が高温の状態。高ぶった雰囲気という意味もあります。そこで生徒に「空気」にどんなものがあるか質問してみました。すかさずM19が「はい!」と手を挙げて「KY!」。おいおい、コーチが持っていこうとしていた論点にいきなりかっ!さすが四年生。察しがよろしい。

「KYの意味がわかる人?」と問えば、ほぼ全員が挙手するほどの小学生ジャーゴン(その界隈でしか通じない専門用語)になっていたとは驚きです。大人の世界では既に絶滅危惧種かと思っていましたが。

空気が読める四年生には本題のチームが目指すべき「空気」について考えて貰いました。四年生にはお馴染、座標軸を描いたスケッチブックを取り出し、縦軸が上に行くほど前向きな規律を、横軸が右に行くほど自由度が高まることを説明した上で、4つの象限のどれが目指すべき「空気」なのかを聞いてみました。これには全員が第一象限(右上)だと挙手で答えてくれました。

表題の本の中で、作者の横山信弘氏は、日本人のチームや組織を率いていく上で必要不可欠な「空気」にフォーカスし、「悪い空気」を「良い空気」に換えて人を動かすための究極のメソッドを図にしています。その図の受け売りですが、日本人の「言葉はなくとも、なんとなくわかる」という以心伝心の原理をうまく捉え、シンプルな図にしたところが、目から鱗で、日本人の組織をよく表しており、そのまま借用させていただきました。

第一象限は、生徒たちもわかっている通り理想の空気であり、「締まった空気」。目上、目下も関係なく、間違っているときはお互いに指摘し合え、失敗したときに言い訳することはありません。

それが後ろ向きな規律(縦軸が下方向に向いている)になると、第四象限(右下)のなあなあの空気、つまり「緩んだ空気」になってしまいます。間違いをしたら見て見ぬふりをしたり、反論したりする人が現れます。失敗したら言い訳をして、失敗を許し合うようになります。

では前向きだけど自由度がなくなっている空気(第二象限)はというと、コーチに常に命令されて、その指示に従わざるを得ないガチガチの空気、「縛られた空気」です。

縛られた空気や緩んだ空気を放置しておくと、最悪の空気である「ほどけた空気」になるようです。失敗したときに言い訳どころか思考停止状態に陥り、「目標達成などできるわけがない」など公然と後ろ向きな発言をする人が出てくる第三象限に至るようです。われらが四年生チームにもそんな空気の芽が生えていやしないかと心配になってきました。四年生になって仲間も増え、自分の存在意義が薄まってきたと感じたのかもしれません。どうも緩んだ空気を感じながら2ヶ月過ごしてしまいました。

今日、生徒たちと空気の話ができて胸のつかえが取れました。さあ、理想の空気を求めて練習開始です。

今日はパスとタックルの練習を集中的に行い、最後の30分、国別対抗試合を行いました。ピッチの横幅いっぱいに布陣するバックス網でワイドに攻撃するファルコンズ国にどの国が勝利するのかが見所でしたが、先週ドラゴンコシヒカリ国に完敗して弱点をきっちり修正したファルコンズに急所は見られませんでした。敗れたタカトセブンズのR15が敗戦後泣き崩れたところなど、締まった空気を感じさせるものがありました。

入校間もない新興勢力も徐々に頭角を現してきました。K31は、ボールによく絡み、T18のハードタックルを2度側面に被弾しながらもボールを活かしていました。冒頭の「締まった空気」の状態を変顔で表して女神K16に呆れられていましたが、チームの換気扇役になってきました。同じくT18のタックルの洗礼を受けたK33も、あれだけの衝撃をものともせず、ボールを放らずソフトランディングしただけでも100点なのに、なんと相手側にダウンボールしたボールをワンモーションで味方側にリプレースしたところが大器の片鱗を感じさせるビッグプレー。これも空気を換えるナイスプレーでした。

この本の作者が最後にこう締め括っています。

なぜ「空気」が悪いと問題なのか―。

それは、まじめに頑張っている人が報われないから。

経験の長短、有無に関係なく、まじめに今日の一日、与えられた場所で頑張っている生徒が報われる組織作りを目指していきたいものです。

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4 thoughts on “『「空気」で人を動かす』四年生

  1. 作者の横山です。このように私の書籍を参考にしていただき大変感謝しております。ありがとうございます。フェイスブックでシェアさせていただきました。

    • 横山信弘様

      まさかベストセラーの著者からコメントをいただけるとは。こんな嬉しいことはありません。
      ちょうどコーチングに悩んでいるところに本屋でふと目に止まったタイトル。思わずジャケット買いしました。
      会社もNPOもスポーツクラブも集団で成功を追求する上で良い空気は必要不可欠なんだということがよくわかりました。
      やる気もあって、気持ちも良い状態の個人がいても、組織という大きな括りでどう考えたら良いのかが悩みでしたが、お書きになられた本のおかげで道しるべを得た思いです。
      お書きになられていたように定着するまで一年近い期間が必要かもしれません。道は長くても、ほんとうに大人顔負けの空気が読める子供たちが卒業するまでに締まった空気を持ったチームにします。
      また新しい本をお書きになられたら、題材にさせていただきます!予めご了承ください。
      福島

  2. 『「空気」で人を動かす』を発売しておりますフォレスト出版の小池と申します。このたびは本書籍を練習前のミーティングでお取り上げ頂き誠にありがとうございました。小学4年生32名による白熱教室、記事を拝見させて頂き非常に感銘を受けました。つながりのあるビジネスパーソンの方々にも是非読んで頂きたいと思い、Facebookにてシェアさせて頂きます。末筆ながらチームの皆様のますますのご活躍をお祈り申し上げます。

    • 小池亜以様
      おことわりもせず勝手に取り上げて失礼しました。過去から一連の苫米地本、神田本、ジェームス・スキナー本や早稲田大ラグビー部の中竹元監督の著作など、小学生のコーチングに沢山活用させていただいております。実践して気づいたことは、常に変化しないといけないこと。そういう意味で御社の書籍を手に取るたびに新たな気づきがうまれ、新作にワクワクさせられっぱなしです。これからも悩めるビジネスパーソン、アスリートや様々なコーチの道しるべとなる本を出版してください。期待しています。
      福島