カテゴリー: '16-6年生チーム

四年生は『弱くても勝てます』

待ちに待った北摂大会がやってきました。それも一週間前雨天の予報が一日ずれて熱中症が心配されるほどの快晴。昨年優勝の高槻RSさんが不参加の今年は、スクール全体の優勝に手が届くかもしれない絶好の機会。あとは生徒のバイオリズムがピタッと合うだけと思っていました。しかし結果は昨年と同じ総合2位。四年生の3勝2敗1分が響いたのか、はたまた2位に貢献したのか、泣き笑いのほろ苦い大会となりました。

マンオブザマッチ(MOM)の個人賞を廃止した今学年、生徒が何をモチベーションに北摂のライバルと戦うのかが最大の関心事でしたが、朝っぱらから「今日もMOMあるん?」と聞いてくる生徒が一人や二人ではありません。コーチの話聞いてなかったのか。早くも暗雲が立ち込めます。まさかそれでやる気を失ったわけではないでしょうが、試合前のミーティングで「やる気とよい気分の高いチームがチャンピオンになれる」といつもの表で再確認して練習開始してもどうもしっくりきません。沢山の提出があったラグビーノート。やる気まんまんのコメントと「母の日のプレゼントになるようなプレーをしたい」と泣かせてくれる文章は何だったのか?

第一試合は、今大会の結果を左右するいちばん大事な試合と戦前タカトセブンズのメンバーに伝えたのがまずかったのか、キックオフ早々から相手の出方を見てしまう受け身のラグビーになっていました。パスの回数の多いチームが強いかどうかを今日は見ると生徒の伝え、さあ、数えるとするかとペンを取るも、前半半分を過ぎても防戦一方の展開に、数えることも忘れさせられました。両者決定打の出ない膠着状態が続き試合が動いたのは7分。我慢の時間にどれだけ身体を張って前に出ようとするか、それがボクシングのジャブのように見えないダメージを相手チームに与えるのですが、前に出ないがために相手はブレイクダウンからポンポンとボールをリサイクルでき、相手バックスにリズムを与えてしまいました。S6、R15といったタックルの名手が何度止めても、ダウンボールをよく訓練された相手に対し、次のプレーヤーが相手より先にボールを越えない限りマイボールになることはありません。逆にセットプレーから自軍がゲインラインを突破しようとしてタックルされた際に生かすべきボールがことごとくターンオーバーでは、勝てるものも勝てなくなります。修正点が明らかとなった大敗でした(0-7)。それでも収穫は、S25の前で倒す気迫に溢れたタックルができたこと、K35が人生初試合にボールを触れたことでした。

第一試合の重苦しい反省会の横で、ファルコンズはチーム統制のよくとれた箕面RSさんの波状攻撃をよく前に出て食い止め、前半2-1で折り返し。しかし、炎のタックラーT18が腕の裏をいつになく痛がり後半途中までアイシングで戦線離脱。T18が先週傭兵として選んだY17も相手陣ゴール前で後頭部から転倒し、頭部を強打した模様。毎週、アスリートのパパと10キロ近い通学路を往復走って通学し足腰を強化して臨んだ試合だけにリタイアは残念でした。それでも残り9人で後半、虎の子の1点差を守り切ったのはさすがに強国ならでは。スクラムハーフH19の軽快なパスワークとS1のブレイクダウンでの活躍が光りました(3-2)。T18は後半途中から参戦するも痛みはひかないまま、病院へ。強度の打撲ということで重傷には至らず不幸中の幸いでした。

気をとりなおして今日もっとも楽しみにしていたスターダストキッズの観戦です。可能性無限大の星屑軍団の試合をスターダストレビュー。

対戦した摂津RSさんはY5より大きな選手を擁する相手、開始早々重量フォワードの縦攻撃で2点を献上。そんないやなムードを断ち切ったのは、オールイドックスの首相R21。イメージキャプテンとして100点満点のチーム貢献ができました。ボールを小脇に抱え、反対の腕を振り回しながら切るスワーブに相手は終始翻弄されたようです。前半逆転し3-2で折り返し。後半開始早々大型フォワードに同点とされるも、チームキャプテンT24のビッグランなどでゲインラインを幾度も越え、最大2点差まで突き放しました。ラスト数分は相手も持てる力を十二分に発揮し1点差まで詰め寄ったキックオフでレフリーのラストワンプレーのコール。トップリーグなら落ち着いてタッチに蹴り出しノーサイドのところですが、彼らにそんな勝つラグビーは教えていません。当然ゴール近くまで転がったボールを取ったA11は縦突進を試みます。相手と接触したはずみで相手ボールとなり、インゴールに飛び込まれて同点のトライでノーサイド。今後もし負けたら終わりのトーナメントに出場する機会があれば、教訓にしたいプレーとなりました。能勢RSさん四年生唯一のプレーヤーEishiro君は連合チームで初トライを経験。仲間との一体感を味わった瞬間でした。きっとお母さんへの最高のプレゼントとなったことでしょう。

反省点を確認して臨んだタカトセブンズの第二戦の相手は、一緒に何度か合同練習をし、手の裡を知り尽くした箕面さん。ファルコンズが辛勝した相手にどこまで食い下がれるかに注目しました。

この試合も先制を許し相手ペースになろうかというところで値千金の同点トライをした生徒はY5。タカトセブンズ国の神、本領発揮です。神のガッツポーズ(ラグビーは慎むべき行為ですが、神の所業ということで。。。)で俄然勢いづくと、S25も左サイドの狭いスペースを激走しトライ。ディフェンスの課題山積のJ22もアタックでは大活躍し追加点。さらにJ22の推定10メートルのロングパスがH9に届きトライ。4-1で後半メンバーに最高のバトンタッチ。後半早々2点差まで追いすがる永遠のライバルに引導を渡したのは小さな巨人チームキャプテンT30。ライン際の追いタックル、ボールを持てば相手のタックルにひるまず堪えて放ったS6への絶妙なパスで3点差となるトライを生み出しました。強いチームとの試合は初めてなのに、チームキャプテンのミッションを最大限遂行したのは責任感の為せるわざか。朝の敗戦を払拭するファルコンズ以上の点差での大勝利(5-3)。K4のサイド攻撃、S10の小刻みのステップ、ゲームキャプテンK20の密集での活躍全て積極的でした。やればできる子なんや!

Y17、T18の戦線離脱をどうカバーするか両翼をもがれたファルコンズがどう立て直すのかに注目が集まりますが、結果は0-6とバックスの深いライン攻撃が印象的な茨木RSさんに完封負けでした。皆が俺が俺がの気持ちが前に出過ぎてバラバラになってしまいました。もう個人技では勝てないことに気づいた生徒たちです。そんな中、R26のタックルが形になってきたことが収穫でした。H8は午前と午後の切り替えができなかったけどその生活に慣れて行こう。

いよいよ本日のラストゲーム。紅黒ジャージー軍団東淀川RSさんとスターダスト軍団の対戦。先の試合で連合軍初トライで気分最高の能勢ロンリープラネットEishiro君が先制トライで流れを引き込みます。R24の大股で大外を走り抜けたトライに次いで何とまたEishiro君のトライ。相手にヒットしてスピンで加速してトライラインを陥れたプレーは今日のベストトライ。毎週豊中に来てほしい仲間になりました(3-0)。

後半は、女神K16のタックルでどれだけピンチをしのいだことか。その後のトライで勝利を確実にしました。入校1か月のD34もポテンシャルの高い縦突進でギャラリーを沸かせました。伝え方が9割のラグビーノートに工夫を凝らすK31はゲームでも目を見張るプレーを披露しました。味方のパスを受け一旦右ライン際を快走するかに見せて矢のようなリターンパスがスポッとA11の入りそのままトライ。後半だけで3トライと気を吐いたA11。ラグビー以外の大怪我から半年、ラグビーをしたくてもぐっと堪えて我慢してきた思いの丈を今日の復帰戦でぶつけてくれました(7-0)。

6戦を終えてみれば、一度も負けなかったチームはスターダストのみでした。弱いと自ら認めるチームが与えられた場所で花を咲かせてくれました。

毎年東大に200人近くが合格するという開成高等学校の野球部を取材したドキュメンタリー風の表題の本のことを、スターダストの試合を観て思い出しました。どうやったらテレビドラマ化できるのか不思議でドラマは観ていませんが、そんな超進学校が東京予選でベスト16にまで勝ち進んだ唯一の「実績」はあるものの野球はメンバー自らが認める「下手」。下手は下手なりの矜持があるようで、著者はこんな監督の弱者の兵法を引き出しています。

「俺たちは小賢しい野球、ちょっと上手いとかそんな野球はしない。自分たちのやりたいことを仕掛けて、そのやり方に相手を引っ張り込んでやっつける。俺たちは失敗するかもしれない。勝つこともあれば負けることもあるけど、勝つという可能性を高めるんだ!これなら国士舘や帝京にも通用するんだよ!…….せめて思い切り振れ。守りに入るな。」

勢いある攻撃と大崩れしない守備をモットーに先手必勝の野球を目指している開成高校に学ぶことの多い北摂大会となりました。

 

 

 

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6 thoughts on “四年生は『弱くても勝てます』

  1. Fukushima HC始めコーチの皆様、暑い「北摂大会」でのご指導ありがとうございました。

    日射しが強く、砂ぼこりの舞うグラウンドコンディションで、生徒たち以上に大人の僕がヘトヘトになりました。

    息子のS25は、常日頃ラグビーノートに書いているとおり、何度か「タックルを頑張れ」たのかなと思います。帰りに立ち寄ったファミレスでも食欲旺盛で、ちょっとは頼もしくなってきました。

    とはいえ本人は、吹田RSの選手にタックルを跳ね返されたことのほうを悔しがっておりますので、タックルをもっと磨く、良いきっかけができたと思います。

    今回、3チーム計6試合のうち、5試合にてビテオカメラを回しておりましたが、最後のスターダスト軍団のゲームにて、何度もトライシーンを撮影できたことは、新米世話係として本当に嬉しい限りです。
    (中でもA11君、鮮やかな復活劇を見せてくれてありがとう!)

    しばらくは対外試合はありませんが、たった今、Aoyamaコーチから、楽しそうな連絡が入りました。

    『6月8日日曜日の南丘練習時に、親子試合タグ及びタッチラグビーをいたします。
    お父さん、お母さんの参加依頼お願いいたします。
    なお、保護者さんには十分に前もって体の調整をお願いいたします』

    生徒たちには、次は親子対決を目標に頑張ってもらいましょうか(^^ゞ

    (お父さんも頑張りなさい!と息子からツッコミが入りそうですが…)

    • S25父さん、
      北摂大会は大変お疲れ様でした。復活劇のDVD観賞会をまたやりましょう。
      息子さんの思いきりの良いタックル、トライでした。自信に繋がりますね。
      親子対決完全勝利を目標として生徒に発破をかけたいと思います。

  2. 豊中RSの皆様、北摂大会では、大変お世話になり、
    ありがとうございました。
    Eisirouもトライまでできて、とても喜んでいました。
    豊中のコーチの皆様や保護者の方々、そして4年生のみんな
    のおかげです。
    本当にありがとうございました。

    • 能勢RS Mさん
      こちらこそ同じ仲間としてチームを組めてよかったです。コーチの方々にも喜んでいただけるゲームになって何よりでした。大教室に放り込まれて最初は戸惑いがあったEisirou君も試合でチームに大貢献できてやっと戸惑いも吹っ切れたのではないでしょうか。また、ハットトリックは彼をラグビーに夢中させる良い触媒になったのではないかと思います。世界に一つしかない風変わりな教室ですが、また一緒に練習や試合をやりましょう!

  3. 豊中RSのコーチはじめ4年生の皆さん、合同練習への参加から先週の北摂大会とお世話になり有り難うございました。
    いつも温かく指導して頂き、声を掛けて下さるメンバーも居て楽しみにに当日を迎える事が出来ましたm.m本当に勿体ない様な母の日になりました。
    子供に良い機会を与えて頂いた皆さん(能勢RSにも)感謝感謝です。今後もどうぞよろしくお願いします。

    • 能勢RS Ei母さん

      最高のプレゼントでしたね。
      あの試合の後、きっと息子さんは饒舌にどんなトライだったか、ラグビーがどれだけ好きかをおうちのかたに語ったんでしょうね。生徒は誰でもラグビーに目覚める瞬間を試合や練習で迎えます。息子さんは先週の試合でトライがこんなに素晴らしいものかということに気づいたと思います。試合後の目がキラキラと輝いて見えました。
      何度でも四年生の仲間と一緒にプレーできますから、仲間に「頼れるEishiro」として頑張るようお伝えください。