カテゴリー: '16-6年生チーム

四年生の『国のない男』

GW中にもかかわらず四年生は30人(5人欠席)の大台超え。カチカチの固い地面にもめげず太ももにビフテキをつくりそうな果敢なプレーが随所に見られました。久しぶりにドラゴンコシヒカリ国の女神H29が降臨。聞けば、レスリング全国大会で3位だったとか。帝都になにわのなでしこ旋風を巻き起こしたようです。ラグビーでも柔軟な身のこなしを活かしたプレーが楽しみです。

5か国のうちハルトジョウ国とドラゴンコシヒカリ国がそれぞれ2名少なかったことから、他国から移民受け入れを行い、ほぼ均等に分散して貰いました。コーチに指示されることなく、ちゃんと入国管理ができていました。中には首相自ら自国を空けて、他国に行ってしまう者もいて、献身的なのか、はたまた亡命か、微妙な空気が流れている国もありました。

5か国に分かれてまずはウォーミングアップ。まず1メートル間隔で線を平行に8本引き、1本目の線に神が、8本目の線に他の国民が立って向き合い、両脚ジャンプをしながら前進します。神と同じゾーンに立つとアウトとなるジャンプ鬼というゲーム。神が動き回ってどんどんアウトを取るかと思いましたが、前進しかせず戦果はあがらず次の練習。

国ごとに1本目の線上に一列で並び、首相の動きに合わせてシャトルラン。1Mづつ増やしていく尺取虫走法で首相と息の合っている国もあれば、てんでバラバラの国もあり、チームワークとはこういう所に現れるのかと妙に合点がいきました。チームワークのよい国はミニゲームでも強いのです。

次に8本の線の両端同士7人が向き合い、1Mの狭いゾーン内でポップパス。線からはみ出る生徒、ポップのタイミングが合わずノックオンする生徒など精度はまだまだ。次に、7人が隣の人に速くパスをして15Mの間に何往復パスができるかを競いました。これもノックオンこそ少なかったものの、素早くパスで繋ぐテンポはスローでした。バリエーションで一人飛ばし、飛ばされた生徒が素早くダウンしリロード、あるいは、パスした生徒がダウン、リロードしたり、倒れながらパスをする練習も取り入れました。オフロードパスはまだ早いのですが、倒れながらダウンボールすべきか、パスすべきかを判断するためにパスの選択肢も今のうちにインプットさせたいと思い、敢えてやって貰いました。中には取りやすく絶妙なパスを浮かす生徒もいました。

水分補給後、ユニットトレーニングとして、15M四方のグリッドで3:3のアタック・ディフェンスをタッチで行いました。四角形の3つのコーナーに一人づつディフェンダーが立ち、残りのコーナーにアタッカー3人が密着して立ちます。アタッカーがグリッド内に侵入したところで、3人のディフェンダーが一斉にディフェンスに回ります。アタッカーは正面のトライライン(グリッドの対辺)を越えるためにタッチされないようにパスしながら前進を試みます。タッチされても何度でもやり直せるルールとし、トライを取るまで続けさせました。3対2の局面と3対3の局面でボールキャリアがどう判断するか見ていましたが、ひとりで無理に行かずに、カットインしてきた仲間にポップパスする生徒や、ロングパスを繰り出す生徒もいて四年生なりに判断する力が徐々についてきていると感心させられました。

次にパナソニックがキラー・プレイスメント・タッチと呼ぶ7人制のタッチラグビーを行いました。タッチフットとの違いは、ボールキャリアにタッチしたディフェンダーとその左右2人のディフェンダーがダウンしなければならないこと、キャリアもタッチされたらその場で頭を自陣側に向けて寝て両手を伸ばした状態でボールをロングプレイスします。もし、キャリアがノックオンやスローフォワードの反則を犯したときは、味方の両サイドの仲間が必ず自陣トライラインまで下がってからでないとリプレーできないルールです。このゲームも数的優位に立ったアタッカーがそのチャンスを生かす判断をするかがポイントです。当然、対面3人がダウンしている隙に縦をつけばよいのですが、必ずバッキングアップしてくる相手に捕まります。その時が実はチャンスなのですが、同じ2、3人での縦攻撃の繰り返しで他の4、5人は遊んでいるという、見ていて面白くない展開でした。ここでMKTレフリーからラックからの2回パスの条件が付加され、少しづつワイドな展開での全員ラグビーを見られるようになり面白くなってきました。個人の面白いプレーでは、S25が何度か使ったスピン。あれはサッカーでよく見るプレーですが、ラグビーに使ったところに彼の独創性を垣間見ました。ファルコンズの首相Y3もプレーに何かが吹っ切れた感があり、これからのリーダーシップに期待したいところです。今日は自国の首都名(ファルコンズのラグビーから「ファルラーグ」。良い響きです)を考えてくれました。

タックルありのミニゲームへの気持ちが高まったところで(H13は、タッチラグビーで負けたのが悔しかったようで声を殺して涙を流しているほどでした。彼が本気になってきたのは良い兆候です)、国別対抗トーナメントを行いました。どの国と対戦するかは首相が決めます。コーチが指示する前に同盟関係を結んでいる国があり、あっという間に対戦が決まりました。S10がラグビーノートに「ラグビーの練習も楽しいけど、ワールドピースゲームはもっとおもしろい」というようなことを書いていたように、子供たちは子供たちなりに国の威信をかけて戦っているのでしょう。大変なことになってきました。

冒頭の国を飛び出した首相(国のない男)の話。『国のない男』は、現代アメリカ文学を代表する作家カート・ヴォネガットが書いたエッセイ集で、ニューヨークタイムズのベストセラーとなった遺作です。9.11同時多発テロ当時の大統領を痛烈に批判するなど、この作家、村上春樹にも影響を与えたようですが、自分の価値観、信念を明確に認識し、それに基づいて行動することこそが、目標の達成や本人の幸せに繋がっていくという考えを誰に何と批判されようが実践した人だったようです。わが四年生の愛すべき首相T30もうまく表現できないだけで、きっと自分の信念で行動しているんだと思っています。その行動がいつか国民に伝わる日が来ると信じています。頑張れ首相T30!

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1 thoughts on “四年生の『国のない男』

  1. いつも色々と面白い練習をしていますね。7人が向き合ってすれ違いながら、1Mの狭いゾーン内でポップパスする練習を みていました。パスを落とすこともありましたが、パスキャッチミスの原因の半分は投げる人が心をこめたパスを投げていないことによるのだそうです。心をこめて取りやすいパスを素速く・・・音楽に合わせてボールを持ったままダミーパスのダンスで個人練習・・・私もしてみようかかなとも思いました(笑)。