カテゴリー: '16-6年生チーム

四年生の先を見据える『天才!成功する人々の法則』

今週の練習はインフルエンザの影響か、過去にない8人もの欠席で、24人という3年前の人数に逆戻りしたような少なさでした。皆勤賞候補のS25が残念ながら欠席となってしまい、残るは4名(S1,Y5,T18,M19)です。風邪ひかずに頑張れ!歯が抜けたような寂しさの中、24の瞳は、「今日は四年生と試合をする!」と言った瞬間に輝きを取り戻しました。1番から32番の背番号が四年生との試合を望んでおり、頼もしい限りでしたが、苦渋の選択で7人には二年生との試合に回って貰いました。次回は、四年生に挑戦して貰います。残りの17人のうち、長期療養中の1人を除いて2チームを編成し、4試合四年生とゲームができました。反省点は、AOYレフリーご指摘通り、モールに人手をかけすぎなこと、モール、ラックサイドのオフサイドが多いことです。一方で、ディフェンスの寄りが早くなっていること、一斉に前に出ていたことが良かったと思います。一度も負けなかったことで自信に繋がったことでしょう。また五年生相手にチャレンジさせてやりたい心境です。

試合前の⒑分間、生徒達全員にバックスのディフェンスシステムについて少し説明しました。三年生には未だ早く、中学生になってからでもいいのかもしれませんが、これも「マタイ効果」だと考え説明を試みました。マタイ効果とは、新約聖書の『マタイによる福音書』にある「誰でも、持っている人は更に与えられて豊かになるが、持っていない人は持っているものまでも取り上げられる」という一節に由来する社会心理学用語です。言い換えれば、成功している人は特別な機会を与えられる可能性がもっとも高く、さらに成功する。できのいい生徒ほど良い教育を受け、さらに優秀になったり、仕事ができる人に、さらに新しい仕事の話が舞い込んだりと、日常生活で枚挙に暇がない事象のことです。7回目の挑戦で初の個人銀メダルを獲得した葛西選手(ラージヒル)が「いつかを信じ、いつもその時に備え続けた天才」と評されていますが、彼も「累積するアドバンテージ」を持ち続けることで、どれだけ年を取ろうとあきらめずに「好機」を招き寄せたということでしょう。こういう人のことを「天才」というんですね。それじゃあ、生まれ持った資質とそれを磨き上げる本人の努力によってのみ天才は生まれる」のかというと、表題の本の著者(コーチのお気に入りの全米No.1人気ビジネス書著者)は異論を唱えています。個人が努力で積み重ねた途方もなく膨大な練習時間も大事だが、多様性を認め、長所を伸ばすチャンスを与えてくれる環境があって初めて、天才はつくることができるのだと。

そんな思いで説明したディフェンスシステムは2つ。一つは「マーク・マーク」とか「マンツーマン」と言われる真向いにいる対面をマークするディフェンスシステム。もう一つは、「ドリフト」と言われるディフェンスシステム。ドリフト・ディフェンスは相手のフライハーフ(スタンドオフ)がパスをするまではそれぞれの対面をマークし、パスした瞬間にディフェンスを一人ずつずらすことで、数的優位にある相手に対応する方法です。

これらの指示を出すのは、ボールの出る位置から最も遠くにいる選手。ディフェンス側の人数がアタック側より多いか同じであれば、合言葉「ファイアー!」と呼び、マーク・マークでディフェンスする指示を出し、ボールが出たら素早くそれぞれの対面に向かって前進します。「じゃあ、人数が少なければ、何て呼ぼうか?」と全員に問うたところ、S14がすかさず「ウォーター!」と答えてくれました。「火」を消す「水」と連想し、英語に変換できる小学生の天才脳に脱帽です。

上級生・下級生の試合で、早速このディフェンスシステムを使ってみました。ウィングの生徒から「ファイアー」の、声が出て、素早い出だしでプレッシャーをかけていました。どの試合も最小得点に抑えることができ、効果があったのかもしれません。

先ほどの「天才」に話を戻すと、長所を伸ばすチャンスを与えられた選手が世界に通用する選手になるためのマジックナンバーがあると言います。勉強であれ、スポーツであれ、どんな分野でも、1万時間の練習が必要だということです。(「1万時間の法則」)

13冊提出があったノートの中で、二人の生徒(S10、K20)が興味深いことを書いていました。K20はコーチのアドバイスで縄跳びを始め、課題の100回をクリアーしたと書いていました。彼には次に150回に挑戦しようとコメントを書き込みました。縄跳び効果か、初めて四年生との試合に出たK20の動きが機敏で、転がったボールに逸早くセービングに入ったりしていたのには驚きました。一方、S10は自主練で行ったキックの回数(3桁)をノートに書いていました。彼には1万回を目指そうとコメントしました。今回の試合ではキックを試す機会がなかったようですが、きっといつか好機が巡ってくるでしょう。「1万時間」ならぬ、コーチ式「1万回の法則」です。
試合では、ディフェンス以外に、先週来練習を開始したステップを失敗してもいいから使ってみるようアドバイスしたところ、H9がそれらしきステップで上級生を翻弄し見事にトライをしていました。二年生との試合でも、ノートにコーチが説明した通りの「やる気」と「気分」の相関図を描いて、チャンピオンの象限で頑張るという思いを知らせてくれたY3がチームをリードするプレーを随所に魅せてくれました。最後はステップにも挑戦し、トライもできました。お見事!久しぶりに全員が心ゆくまで試合を楽しむことができたようです。そんな生徒たちは、さらに強みを伸ばし、弱みを克服する努力を忘れることなく、次々と与えられる「好機」を捉え、世界に通用する選手になって欲しいものです。しかし、たったひとりで成功した者はいないということを忘れずに。
「誰も、ロックスターも、プロのスポーツ選手も、ソフトウェア界の億万長者も、そして天才でさえも、たったひとりで成功した者はいないのだ」(マルコム・グラッドウェル)
 
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2 thoughts on “四年生の先を見据える『天才!成功する人々の法則』

  1. なんと、そんなディフェンスシステムを小3で…
    中学でも合宿で取り組んでますが、コーリングがないのが最大の課題です。まずそこをクリアしている小3に脱帽です。

  2. 某TT中学コーチ
    いえいえ、まだ興味本位なだけです。新しもの好きな年頃ですから。
    中学に全員上がったら、もっと堅牢なディフェンスシステムをご指導ください。