カテゴリー: '16-6年生チーム

三年生が一瞬で人生を変える『驚く力』

観測史上例のない連日の真夏日から漸く解放され涼しくなった今日は27人が青々とした天然芝の上で裸足になって練習しました。3人欠席で、1人は発熱のため途中帰宅。長期療養中でもちゃんと参加しているA11にはミニゲームでのスコアリングをお願いしました。

全体練習の前に生徒を集め、先週の宿題について考えて貰いました。「ボールを取られる時はどんな時?」の調査カードを提出した生徒が8名もいました。花園での神鋼対トヨタの試合を観戦した生徒はほぼ全員があの激しい攻防に目を奪われながらも、贔屓チームがボールを相手にとられた回数と原因を事細かにチェックできていました。コーチもテレビ中継を観ながら神鋼のボールをとられた回数と原因を分析してみましたが結構大変でした。S6は何と両チームの回数を記録しており驚きました。R24に至っては、明暗を分けたプレーを文章でまとめておりさらに驚きました。彼の分析はこんな内容です。(ひらがなは漢字に直しました)

①神戸がチャンスからボールをとられてキックをされて点をとられた。 ②低いタックルを受けてボールをとられた。 ③両方のチームはロングパスをしていた。 ④神戸は前で止めてなかったから点をとられた。 ⑤最後はやる気がなかったから点をいっぱいとられた。 ⑥トヨタは一生懸命走って点をとった。(けっこう辛口です)

三年生にしてすでにこの分析力。唸らずにはおれません。A11も観戦しながらスコアリングをやっており、感想は「記録をつけながら観たら面白かった」とのこと。今日集まった生徒にはどうして去年2位の神鋼が大敗したのか聞いてみました。たくさん手が挙がります。H9は「ノックオンが多かった」。三年生でも基本的なプレー(合い言葉「めとて」)として練習しているのに何で落とすのかな。「プレッシャーがあった」との声もあがります。S14曰く「油断してた」。去年の記憶でプレーしていた神鋼の前に突如現れたスーパー新星(5トライを記録したライトウィンガー彦坂選手)。新しい風がタッチライン際を力強く駆け抜けて試合をさらっていってしまい、森田OB率いる神鋼はなすすべもなく敗れ去りました。一方トヨタは背水の陣。ミスタートヨタの誉れ高い麻田OBがいぶし銀のプレーで若手をうまくリードして大勝利を収めました。

神鋼に欠けていたものそれは「驚く力」ではなかったか。メディアなどでも活躍する精神科医名越先生は「驚く力」をこう定義されています。

『「驚く力」というのは、世界に秘められた豊かな情報をできるだけ損なわず、自分の中に取り入れていく力。「驚く力」は僕らが世界にラベルを貼り、先入観や思い込みに囚われれば囚われるほど、失われる。先入観から自由になり、「ラベル」の向こう側の世界に触れる。そうやって驚く力を取り戻すことが、退屈な日常から抜け出す、第一歩となる。』

「驚く力」は、人が学び、成長を続けるための原動力という名越先生のご高説にあやかり、来週のチーム名の一つは「チーム・サプライズ」としました。そして、「驚く力」にあふれた「今、ここの情熱」を完全燃焼して貰おうと、もう一つのチームを「チーム・今でしょ!」と命名しました。これら2チームを前後半に分けてメンバー発表しました。初キャプテンも登場です。

チーム・サプライズ(前半):S1、T2(ゲームキャプテン=GC)、Y3(イメージキャプテン=IC)、R15(チームキャプテン=TC)、Y17、R24、H32

チーム・サプライズ(後半):S6(TC)、K8(GC)、K12、J22(IC)、M23、E28、T30

チーム・今でしょ!(前半):K4、Y5(TC)、H7、S10、S14(GC)、K20(IC)、K27、K31

チーム・今でしょ!(後半):H9(TC)、H13、K16(IC)、T18、M19(GC)、S25、R26、H29

メンバー発表の後、チーム毎でグリッド練習を行いました。テーマは「見る」を変える。先の名越先生は「驚く力」を実感できるエクササイズとして「はじめて見るときの見る」を紹介しています。先生は『僕らの「見る」は、「いつか見た過去」を見ているに過ぎない』ためそこに驚きは生じません。ルーティンになりがちなパスも工夫次第で刺激的になります。今日のグリッド練習では、パスを受けるときにボールの縫い目や文字にフォーカスする、片目をつぶってパスする、片足ケンケンでパスを受ける、パスしたらダウンしてすぐに起き上る(リロード)というバリエーションで大きな声が出ていました。

次に三年生の使用できるグラウンド全面に全員が均等に散らばる練習を行いました。等間隔移動ができた状態で、コーチのビブスの色のコールで、呼ばれた色のチームがゴールに向かって好きなように(スローフォワードあり)パスをつないでトライする練習を行いました。30人近くが立っている隙間を縫ってパスができるか心配でしたが、これは意外とスムーズにできました。つぎに、「黒、緑」とコールし、黒がパス攻撃、緑が妨害するプレッシャー付きでできるかどうか見ました。慣れてくるとコツをつかみトライできるチームも現れました。

ミニゲームの前にひざつきタックル、オーバー、ピックアップの一連の動作確認と相手とのコンタクトでヒット、ドライブ、首の入れ替え、お尻から素早くダウンのおさらいを行いました。

ミニゲームでは、どのチームも接戦を繰り広げ、ボールをとられた回数もほぼ同じでした。二試合目の前に各チーム毎にどうしたらボールをとられないか話し合いを行い、二試合目でほとんど相手にとられることなく修正していたことろはお見事でした。R15の低い姿勢でのヒットが流麗で、昨日の運動会のかけっこでよもやの2位だった(M19はラグビー日記に自分の1位だけでなく、人のことまで書いてました)ことで思うことがあったのか。。。

早稲田が以前試みたラインを再現(「バーティカル・シェイプ」とコーチ勝手に命名)し、フライハーフH9が彼の真後ろから左に駆け込んだS14にパスが通りゲインラインを越えたところで絶妙な内へのパスが目にも止まらぬ縦突進で駆け抜けたH9に通り独走トライ!昨日自主トレで五年生のうまいタグラグビーに影響されたベテラン勢がよい動きを見せていました。新人も黙っていません。タグでラグビーの面白さに気づいたK31もボールを持って走りはじめました。沈思黙考タイプのH32は試合になると、ボールのところにすぐに寄り、ボールに絡むシーンが何度もあり今後の成長が楽しみになってきました。

東進ハイスクールのカリスマ講師で有名な林先生も、名越先生と同じようなことを言っています。努力不足なのではなく、考え方の間違いのせいでうまくいかない人はちょっと考え方を変えると人生が大きく変わると。

ああ、こういう考え方があったのか、今気づいた—だとしたら、いつやるか?

「今でしょ!」

 

 

 

 

 

 

 

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