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三年生の『人はチームで磨かれる』

昨日の大雨で涼しくなったのも束の間、今日は一転猛暑の中で三年生26人(5人欠席)が泥んこになって楽しい練習をしました。今日も体験の生徒が1名参加してくれました。きっと来週は31人目の仲間として出席してくれるでしょう。来る人あればゆく人あり。一年生から今日までお世話になったAkaコーチが転勤のため、今日がコーチング最終日となりました。ほぼ皆勤で大所帯のクラスをよく見ていただき、時にはコンタクトプレーの台になって吹っ飛ばされながらも身体をはってお手本を見せていただきました。転勤先でも四年生の息子さんが転勤先地域のラグビースクールに転入するとのことですので、ご自身も是非コーチングを続けていただき、ひとりでも多くのラグビーファンを増やして欲しいものです。

ファンと言えば、昨日のジャパンの歴史的勝利は、ラグビーから遠ざかっていた潜在的なファンを呼び起こしたことでしょうし、何といっても、大阪のラグビースクールから始めたプレーヤーが中心になって勝利を掴んだ試合だけあって、大阪でプレーする生徒たちにも励みになったことでしょう。今回の勝利は、IRBが認めるホームネイションズ(イングランド、アイルランド、スコットランド、ウェールズ)とのテストマッチ初勝利となりました(宿澤ジャパンのスコットランド撃破は彼らの認めるテストマッチではありませんでした)。ラグビーの故郷が本気で挑んだテストにジャパンが勝利するまで、40年という長い歳月を重ねたわけで、まさに大袈裟ではなく歴史を変えた一戦だったわけです。今日、生徒の中には「Bチームだったから勝てたんかな」との発言がありましたが、ウェールズ代表チームは決して生半可な気持で来日していないことは確かであり、エディ・ジョーンズ監督(仕草や表情が日本人っぽいと思われた方も多いのでは。ご母堂が日系アメリカ人二世ということが影響しているかもしれません)が2015年完成を目指すJapan Wayが世界に通用することを実証したと言っても言い過ぎではないと思います。

『声に出して読みたい日本語』の著書やテレビコメンテーターで有名な齋藤孝明治大学教授は、欧米のマネジメント理論体系は組織が暗黙知として培ってきたものを言語化して形式知に変え、クリアな体系として提示している点は認めながらも、欧米流には「身体性」が決定的に欠けていることが日本流マネジメントと違う点と指摘しています。日本には、もともと「和をもって貴しとなす」国民性がある。チームの全員が同じ空気を共有することに価値を置いている。そこに身体性は欠かせず、いいパフォーマンスを残すには、身体のテンションが不可欠だといいます。周囲に目配せしながら、機敏に動くプレーはまさに日本スポーツの真骨頂。ラグビーのJapan Wayが日本人が備える機敏性を重視している点を見ても、齋藤氏の理論を裏付けているようにも思えます。

齋藤氏は、チームづくりにおいてカギを握るのは、最小単位である数人のチームの関係性であり、そこに身体性が欠かせないそうです。ということで、今日は4人一組の最小単位で頭を鍛えるトレーニングの開始です。

まず、ミニハードル、ラダーを使って4人の障害物競争を行い、いちばん早くゴールした生徒から順に好きなビブスを四色から選びます。全員競争が終わったところで、ビブスを着て、4色が揃うように3M四方のグリッド(7つ)の各コーナーにひとりづつ配置について貰いました。各グリッドを最小単位として、以下のチームビルディングゲームを行いました。

・後出しじゃんけん:親分を決め、その生徒と残り3人がじゃんけんをして子分は後出しで勝つあるいは負けるように素早く反応し、速さを競う。

・国旗伝言ゲーム:各グリッドから親分を集め、国旗を見せ、その国旗について国名を教えないように、絵柄を子分の一人に説明し、残り二人に伝言として伝え回答するスピードを競う。イングランドの国旗がいつの間に日の丸に、スコットランドの国旗がオーストラリアに変わったチームがありました。簡単なことでもなかなか伝わらないことがわかりました。

・背中絵文字ゲーム:親分に数字を見せ、各グリッドに戻って仲間の背中に漢数字を書いて伝える速さを競う。「九」が13になったりしました。「ノ」を数字の「1」と勘違いしたようです。

・カレンダー日数早読みゲーム:ひと月分のカレンダーを配り、4人が順番に「1,31,2,30,3,29,4,28,5,27」とカレンダーの数字を目で追いかけながら声に出し、速さを競う。簡単のようですが、慌てると間違えます。

・ビブス計算ゲーム:4人のビブスに書いてある数字を加減乗除で10にする速さを競う。6つの組は素早く計算方法を割り出していましたが、7,8,8,12の番号を着たチームは算数が得意なK8を中心に知恵を絞るも結局答えが見つかりませんでした。出題が悪くてごめんなさい。

これらのゲームは大人でも間違えやすいのに、三年生は楽しみながら問題を解いていました。彼らこそJapan Wayの申し子かもしれません。でも2019年には間に合わないか。

最後に、転勤する四年生のエースSho君を送別する四年生とのミニゲームを3本行いました。前回の高槻戦で勝てなかった生徒は今回特に張り切っていたようで、1本勝利に結びつけることができました。試合に出ない生徒は、ちょうど水たまりの場所で、ダミーにタックルをして思いっきり泥をかぶって楽しんでいました。ただし、おうちの方はさぞかし洗濯大変だったかと思います。

齋藤教授は表題の近著にこう書いておられます。単に数人が集まっただけの集団は「チーム」とは呼べない。目標や意思はバラバラ、お互いの性格も腹の中もわからないとあっては、チームとしてはまるで機能していないはずだ。重要なのは、そこからチームとしてまとまっていくプロセスだ。ともに厳しい練習を乗り越えたり、惨敗や惜敗を喫したりすることで、しだいに一つになっていく。ウェールズを倒したジャパンも、我らが三年生も徐々にチームとしてまとまりつつあります。これから大事なことは、メンバーの誰もがリーダーとなる可能性があるという当事者意識を持つということ。どちらのチームも成長がますます楽しみになってきました。

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3 thoughts on “三年生の『人はチームで磨かれる』

  1. Akaコーチ殿
    お世話になりました。
    息子さんが、将来立派なラガーマンに成長して花園で活躍する日が来ることを楽しみしております。
    お元気でご活躍されることを祈っております。

    福島コーチ殿
    体験のT君は、知人の友人の息子さんです。入校を決まられたようですのでよろしくお願いいたします。
    お父様は格闘家なんでぜひタックル指導のプロとして指導員に勧誘願います。

    関東に転職したおかげで歴史的な勝利を秩父宮で見ることが出来ました。
    子供たちに良い刺激になってラグビーがもっと盛んになればいいですね!

    4年コーチ 崎井

    • さきいさん、
      貴重な情報ありがとうございます。体験の生徒は「僕は次に何をしたらいいですか?」と積極的に練習参加しようとしていてやる気が漲っていました。週末が楽しみです。格闘家のお父様も只者ではないようですね。ワクワクします。
      是非関東でもラグビーの根を広げてください。よろしくお願いします!

  2. 保護者の皆さんコーチの皆さんお世話になりありがとうございました。特にコーチをさせていただいた2年間は、ほとんどコーチの経験のないまま指導をさせて頂き、つい自分の息子と同じ様に怒鳴りつけた後、少し言い過ぎたかなと反省しつつも、翌週には同じことの繰り返しで、子供達ほどではありませんが、私自身も若干は成長させてもらったのかなと感じています。
     そんなおっさんとは関係なく、子供たちは日々大きく成長しており、これからより一層の飛躍を期待していたところでスクールを離れるのは非常に残念ですが、狭いラグビー界、またどこかでお会いできると思いますので、その時にはもっと成長した子供たちの姿を見られることを楽しみにしています。
     至らぬところは多々あったとは思いますが、皆さんのご理解により続けることができ、個人的にはとても楽しい週末を過ごすことができました。ありがとうございました。

    4年生 崎井コーチへ
    人一倍手の掛かる息子を根気よく指導していただきありがとうございました。
     なお、ラグビーに対するモチベーションだけはあるようなので、転勤先の名古屋には同じ4年生のK君が、2年前に転勤で名古屋のラグビースクールへ入校していますのでそちらで活動させようかと思っています。