カテゴリー: '16-6年生チーム

二年生を『まとめる技術』

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養生中の青々とした芝生のグランドを横目に土の上で二年生21人が朝早くから集まって練習しました。自転車通学の生徒R15は8時15分に一番乗りで登校し黒ビブスをゲット。続く5人も黒を選択していました。皆が好きな黒チームになると最後のミニゲームは交代なしでプレーできることとしています。中学、四年生も一時間前から練習していました。全体練習の前に準備が整うのはよいことですね。集まった生徒を二つに分けて先週から始めたNZ式タッチラグビーを開始し、その後現れた生徒を均等に混ぜてコートも徐々に拡大して一汗かきました。

全体練習開始後、生徒を集め、先ほどのタッチラグビーで大事なことは何か質問しました。H9は真っ先に手を挙げて「声を出す!」と元気に即答してくれました。「マコーミックさん(今週は関学が同志社を破りました)もおっしゃった通り大事だね」、ではどんな時に声を出すのか。タッチしたときの「タッチ!」のコールを大きな声ですることはもちろんですが、コーチからは、ボールを持っている人の周りが「偶数にタッチされたから、パス!」とか「奇数にタッチされたから3歩前へ進んで寝ろ!」という指示の声をもっと出してみようと伝えました。次に、ラグビーノート(既に2冊目)をS6が持ってきてくれたので、皆に披露しました。彼の素晴らしいところは、試合結果を踏まえて、良かった点、できなかった点を事細かに文章化し、次はこうしたいと書いてることです。ゲームキャプテンらしいプレーはまさに日々自分を見つめ直している姿勢から生まれていると思います。他の生徒もノートをつけていると手を挙げていたので、来週も楽しみにしています。

H9やS6にも備わりつつあるリーダーシップをもって強い組織へと仲間を引っぱっていくことは大事ですが、それだけではなく、リーダーに付き従う生徒全員(フォロワー)が自然と動き出すような環境作りも大事だということを念頭に、まずは集団行動の練習に取り組んで貰いました。
集団行動は小学校一年生の最初に体育の授業で習う基本中の基本ですので、姿勢(気をつけ、休め、腰を下ろせ)と集合・整頓(3列、前へならえ)はできていますが、方向転換(回れ右=右足を約二足斜め後ろに引き、左足のかかとと右足のつま先で180度右へ回り、右足を左足に引き付ける)ができない生徒がたくさんいました。一年生の時にやっておけばと後悔の念を抱きながら、小学生には困難と言われる「交差」にトライしてみました。コーチも入り12人の集団(3列縦隊)を並行に二つ作り、そこから斜め45度に前進し両集団が交差するというものです。何もヒントを与えずやってみましたが、交差することなく、前を通過しただけでした。次に、横一列手を繋いでやったところ、ぎこちないまでも交差はしていました。先頭をリーダーにして、フォロワーが一糸乱れず連動すれば、それだけで素晴らしい練習となりますが、時間がいくらあっても足りませんのであきらめ、グリッド練習に切り替えました。
グリッド練習では、四角形の四隅にボールを持った生徒が同時に対角線上を走り抜ける練習からスタート。周縁視野(焦点を合わせず漠然と目に映るものを眺めること。「ソフトアイで見る」とも言う)を使って、三方向から迫る相手を眺め、ぎりぎりまでまっすぐ走る練習です。ソフトアイについては、17世紀の伝説的な剣士・宮本武蔵が『五輪書』のなかで二種類のビジョンについて述べているそうです。ひとつは「見」と呼び、外観や表に見える動きを観察すること。もうひとつは「観」と呼び、ものの本質を見ること。周縁視野を使う「観」によって、剣士は敵を見つけ、攻撃される前に、その動きを察知できると武蔵は教えたそうです。コーチも梅田の地下道の雑踏などではソフトアイですいすい人の波をかきわける練習を行ったり、時間制限のある読書はフォトリーディングでキーワードだけ読み取る練習を行ったりしますが、効果的だと思います。
グリッド練習はパススキルの練習と思われがちですが、目の使い方を覚える練習ではないかと改めて思いました。
次の3チーム対抗リレーでも、背の高いコーン(工事現場用)で前方を見ながらステップで回る練習を取り入れました。生徒がちゃんと前を見るように、コーチがビブスなど3色用意し、ひとつを掲げ、生徒がそれを見て「黄色!」などと言うように工夫しました。
前回も紹介しましたU20日本代表監督の中竹氏は近著『まとめる技術』でカリスマリーダー抜きで勝つ組織を作る方法について持論を展開されています。その中で、強い組織について触れています。「強い組織とは、仲間同士が、それぞれのスタイルを理解している組織だ。(中略)個のスタイルが組織の中で浸透すれば、暗黙のうちにコミュニケーションが図られ、パフォーマンスを向上させることができるのである」。このスタイルを確立するためには、冷静な自己分析を行い、自己認識を的確にしなければならないそうです。二年生も徐々にではありますが、自己の強み、弱みを分析し始めているようです。六年生までに26人全員のスタイルを確立し、仲間同士がスタイルを理解した上でスキルの向上が図れたら日本一強いチームになっていることでしょう。「日本一オーラのない監督」と言われながら大学選手権2連覇という実績を残された中竹さんの組織論は今後も注目したいと思います。
最後のミニゲームでは、黒ビブス軍団とそれ以外のカラービブスチームに分かれ、黒ビブス軍団をどう攻略するかをヒントを与えて考えて貰いました。黒ビブスは休みなく連戦することとしていますので、ずっとゲームをしたいという生徒は早朝練習でさらに力がつく、フォロワーも負けじと勝つ方法を考え近づいていくという好循環がおきることを期待しています。こじんまりまとまった組織ではなく、生徒各自のスタイルをあるもの探しの中で見つけ、気づかせ、どこまでも大きく拡散していきながらも一つにまとまった組織を目指したいものです。
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2 thoughts on “二年生を『まとめる技術』

  1. コーチの皆様、いつもありがとうございます!
    ラグビーシーズンも本番を迎え、最近めっきり顔を出せず失礼しております(>_<)
    先日のR15の登校にはさすがにビックリしました(#^_^#)
    「門が開いてないかも知れんで」という制止も全く気にせず出発。
    毎朝5時頃には目を覚ますので、ウズウズしてたまらんのでしょうね(^_^;)
    ま、自発的にやっているので見守ることにします(^_^)
    次の練習は行けそうなので久々にゆっくり見させていただきます!
    DVD鑑賞会も楽しみにしておりますヽ(^0^)ノ

  2. R15父さん、
    今朝は黒ビブスはゲットできませんでしたが、あまり気にもせず青を選んでいました。来月からは通常通りAOコーチが7時台にご出勤されていると思いますので(笑)門扉の心配なく送り出しください。
    では、木曜日の鑑賞会で。