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チーム二年生の『頂きはどこにある?』

「高原は休息し、熟考し元気を回復する期間になる」と書いたのは、10年ほど前の全世界ベストセラー『チーズはどこへ消えた?』の作家スペンサー・ジョンソン。彼の言う通り、二年生はさらに合宿前以上元気になって豊中「谷」に帰ってきました(出席20名、欠席の6名も今頃元気に日本のどこかではしゃいでいることでしょう)。チーム二年生は、合宿で三年生に勝てなかった要因から今後の課題を見つけ、次の「頂き」を目指して始動しました。

練習開始前に13人の生徒から合宿感想文の提出を受けました(残り13人の生徒も来週は提出してくれるでしょう)。受け取って気づいたことは、ほとんどの生徒がA4一枚にびっしりと作文していたこと(中には半分保護者からの暖かいメッセージもいただきました。ありがとうございます)。一年生の時は2、3行だった感想文からラグビー・リテラシー(読み書き能力)が飛躍的に向上していることに只々驚きました。特に試合で負けて泣くほど悔しかったこと、目標のタックルができてうれしく、楽しくなったこと、みんなと仲良くなれたこと、そして来年も合宿に行きたい、今度は上級生との試合に出たい、勝ちたいと書いてありました。六年生になったらどんな感想文(卒論?)が提出されるのか、今から楽しみです。ピンクコーチ、六年生で「花火がきれかった」とか「BBQサイコー!」とか書いた生徒はいたでしょうか。

コーチからは体力測定の結果をグラフにして生徒に配布しました。グラフは一年生の春から計測している5種目の比較を「見える化」してあります。当然、一年生のベスト記録からは皆成長が見られました。合宿中の筋肉痛と体重がかなり載ったことで今春と比べ多くの生徒のタイムが落ちていました。成長も冒頭の「高原」の時期があるはずです。停滞期のあとに飛躍的な向上が見られるでしょう。

正常な脈拍に例えられる人生。「頂き」と「高原」と「谷」の繰り返しは普通、人生にはつきもの。ピ―クは一回だけではありません。チーム二年生が目指す次の頂きは茨木戦での勝利。学校の宿題を終えた(らしい)生徒達には、夏休みモードから気持ちを切り替えて練習に励むよう伝え、練習開始です。

「谷から出られない一番の理由は恐怖心である」ということで、まずはチームの仲間を本当に信頼しているかのチェックから。3人一組になり、向き合った2人の間に生徒が両脚を真直ぐにそろえ、横に手を拡げて立った状態で棒になったつもりで後ろに倒れるよう指示しました。もちろん後方の生徒が支えてくれると説明してあります。さて、怖がらずにできたでしょうか。結果は全員、片足を後ろに引いて自分の力で倒れないようにしていました。仲間を信じてもう一回。今度はぎこちないながらもできました。では、目を閉じてできるでしょうか。やはり、防衛本能でわが身をかばってしまいます。今度も仲間を信じてやってみます。皆できました。本当に仲間を信じれば恐怖心から解放されることを生徒は身をもって体験しました。

練習前に生徒からタックルの練習をやりたいとのリクエストに応え(コーチの想定通りでした)、ニュージーランド協会推奨のタックル基本練習を行いました。3人一組はそのままで、横に並んで両手を拡げ脚は肩幅に拡げ踏ん張った姿勢の2人に1人が向き合い、左右交互に体幹のコアな部分を感じながら片手プッシュ。右の相手には右足を近づけて右手でプッシュ。左の相手には左足を近づけて左手でプッシュします。最初、スイートスポットが見つけられず相手を後ずさりさせられない生徒もいましたが、両手を拡げて踏ん張っても強い姿勢は保てないことがわかりました。次にストロングポジションと言われる両脇を固く締めた状態の両生徒に同じプッシュを繰り返して貰いました。この姿勢をとられるとほとんど押せないことがわかりました。両脇を締めることを意識できたところで、コアな部分に早く近づいて抱きつく練習を行いました。ハグされた生徒を「ウッ」と唸らせるまで締めあげます。

タックルの姿勢がイメージできたところで、生徒5人が持つコンタクトバッグへ走りながらのハグを行いました。最初は小股でコンタクトバッグに近づきハグ、次にうつ伏せの状態から起き上がり同じようにハグを繰り返しました。最後にコンタクトバッグも固定から動きを入れてヒットとハグが連動する練習を行いました。タックルはどうしても「気持ちでいかんかい」式の練習になり、生徒も恐々タックルに入ってしまいます。その恐怖心を取り除くには、NZ式プロセス分解の練習が効果的かもしれません。

実践編として、2vs1、3vs2のアタック・ディフェンスをタックルなしで行いました。中央の線から両サイド3M後方にラインを平行に引き、中央の線を挟んで両者が向き合い、コーチの笛で両者3Mバック走。「パス!」の声でコーチが1名数的優位にある側の一番近い生徒にパス。受け取った生徒は前進して来る相手ディフェンダーの動きを見てパスか抜くかを瞬時に判断します。2vs1では綺麗にパスが通っていました。3vs2では両者の6Mの短い距離でのシャローディフェンス(=アップディフェンス。2人が平行に素早く前に出てプレッシャーをかけるディフェンス)のため最初は数的優位がなかなか活かせませんでしたが、アタック側の真ん中の生徒に早くボールを集めることでパスが通るようになりました。三年生に負けた最大の要因であるこのパスワークを体得しながら、ディフェンスの立ち方、仲間とのアップの仕方も徐々に意識付けできた様子でした。

〆として4チームに分かれミニゲームを行いました。早速この数的優位を活かしたパスとそれに対するディフェンスが見られました。ほんとうに即座の習得ができる生徒達です。今日はサマータイムで普段より1時間半も早い早朝練習でしたので、熱中症の心配も無く2時間たっぷり練習ができました。来週は暑い午後からなので秘密練習(S6父子特訓は他のコーチに見つかったようです。場所を変えないと)は続けてください。

脈拍を自在には変えられないように、これからチーム二年生を待ちうける外部の出来事は必ずしも思い通りにはならないかもしれません。しかし、心の中の「頂き」と「谷」は、今日仲間との信頼で恐怖心を取り除けたように、考え方と行動次第で思い通りになるはず。「きわめて具体的で、綿密で喜んで実現する努力ができるようなよりよい未来を満喫している自分を思い描こう」(スペンサー・ジョンソン)。

来週は自らの合宿のためレポートは休刊します(コーチも成長してきます)。

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2 thoughts on “チーム二年生の『頂きはどこにある?』

  1. 早い時間ながら暑い中、ありがとうございました。
    締切がまだとはいえ感想のフォローを全く怠っておりました。母のフォローにより先日書き上げたようです。まだ私も内容を確認していませんので楽しみに読みたいと思います(^^;)
    タックル練習では、なかなか激しい入りをしているなぁと感じました。特に伏せからのタックルでは普通には高くなる子(R15等)も低い姿勢で入れていました。学生の練習でもそんな練習もやっていますが、客観的に見てこんなに差があることに気づきました。今後の指導に活かさせていただきます。

    なにはともあれ成長著しい子供たち。
    早く対外ゲームでのパフォーマンスを確認したいですね(*^_^*)

    • R15父さん、
      親子ともラグビー漬けでお疲れ様でした。
      合宿明けから、タックルをやりたいという気持ちを多くの生徒から感じました。姿勢も低くなってきましたが、足をかく生徒もいて激しさが増していました。大人用のタックルダミーにパックできなくても真直ぐ倒し上に乗っかることが既にできていて驚きです。実は、今の中学二年生がこのダミーをタックル練習で使い始めたのは五年生からなんです。かつてないすごい二年生です。

      明日は練習に行けませんが、Fujiiコーチ他の熱血指導で茨木戦に向けたディフェンス強化の練習ができると思います。それでは、私もラグビー漬け(一夜漬けですが)になってきます。