カテゴリー: '16-6年生チーム

二年生のチームビルディング~未来を発明するためにいまできること~

4日間の夏合宿が無事終了しました。今年は例年にない好天と保護者(二年生の参加保護者・コーチ数は最大の16名)の献身的なご準備に恵まれた二年生はメンバー26人フル参加で新校長のおっしゃった「ラグビー漬け」の生活にどっぷり集中することができました。宿舎に入った後のミーティングで、未来に不安を感じているJude君たちには、昨年の小学生になって初めての合宿とは違い、今年は誰かが助けてくれるのを待つのではなく、君たちに必要なことは自分たちにしかできないという気持ちで取り組むよう話しをしました。今4日間を振り返ると、彼らはコーチに言われるでもなく、夏合宿チームキャプテンH9につき従いスケジュールよりも30分以上前倒しで朝会(二年生だけのスクール歌の熱唱最高でした)や練習場所に集まっていました。そんな彼らの大人への一歩を踏み出し始めた様子を傍観するにつけ、今年は何か寂寥感の残った合宿でした。

梅の花が咲く頃、仮冬眠状態から醒めた蜂は一斉に野山に出かけ幼虫の大事な食糧となる花粉を集めてきます。ゴールデンウイークを最盛期として前後1ヶ月位は巣の卵に、ローヤルゼリーが餌として与えられ、新しい親蜂となります。一つの巣で新しい親蜂が2、3匹生まれるので、その数だけ群れが飛び立ちます。この群れを如何にして巣箱に招き入れるかが蜂飼いの腕の見せ所なのだそうです。コーチも今年はそんな蜂飼いの心境で二年生働き蜂たちを山に迎え入れました。

強い3年生に勝つことを目標に臨んだ鉢伏山の蜂のムサシたち。コーチがちょうど彼らと同じ小学校二年生だった年の不思議なヒットソングそのままに(*)、破れこそしましましたが、秋シーズンの収穫期に良質の蜂蜜が採れそうな予感がコーチにはありました。

(*)遠い山奥 麦の穂がキラキラゆれてる午後でした ハチのムサシは向こう見ず 真赤に燃えてるお日様に 試合をいどんで負けたのさ

合宿2日目午前の初戦ではキャプテンチームに入れなかったメンバー主体で3年生に挑戦しましたが、あえなく0-4の完封負け。ランチェスターの法則(弱者の戦略)よろしく、合宿前から取り組み始めたブレイクダウン(接近戦)では互角以上の戦いぶり(特にS14は何度もピンチを救ったビッグタックル後何事も無かったのようにストッキングの砂を掃い戦列に再び加わるシーンが彼らしく印象的でした。これぞMan of the Match!)ながら、7人制のだだっ広いスペースに後半3年生が駆け込み始めると前半の1点差を維持できませんでした。

前日の反省点を修正し臨んだ3日目午後の再戦ではキャプテンチームがフル参戦。コーチも足の指先に力が入ります。前夜のミーティングでチーム・ゲーム・イメージキャプテン6人衆に誰を加えるかという話になり、「コーチは彼しかいないと思う」と指名したときのJ22の一瞬唾を飲み込むような仕草をして「僕はやる!」という気持ちをコーチに伝えてくれた表情が忘れられません。その期待通り、二年生のリーサル・ウェポンJ22がKO早々密集から抜け出しハーフウェイから独走トライ(Man of the Match)。続いてここ数カ月の成長著しいH13(前日にMan of the Match受賞)が相手ゴール前のペナルティから中央突破の追加点をゲットと勢いに乗り、2-2の同点で折り返し。後半はR15、T18などのタックルで波状攻撃を食い止めながら、最も全体視野の広いS10のビッグゲインを基点に何度かゴール前まで詰め寄りました。ゴール前の右スクラムから出たボールを取ったJ22の中央突破があればと悔やまれますが、慣れないウィングへのロングパスはインコンプリート。グーチョキパー作戦最大の見せ場で気持ちの弱さが勝敗を分けた試合でした。しかし、巨人ゴリアテにも一矢を報いる武器を持った彼らの顔には昨年のような泣きべそはなく、未来への自信すら感じられました。

一方、一年生には1点もやらないドけちな目標を秘めて臨んだ緑・黄ビブス軍団は、2戦とも12-0の零封(M.K.T.レフリーは永遠に続くかのような長いモールで一年生愛娘のインゴールグラウンディングをまだかまだかと待ちわびる親バカぶり)で有言実行。ほぼ全員トライ(A11、R21ともに今年初トライ、M23は得点王でMan of the Match)という効率のよいおまけ付きでした。攻撃面だけでなく、今年の個人目標として到着の宿舎で各自発表した中で「タックル」と挙げたように防御面でも見るべきものがありました。K12は何度も低い正面タックルを敢行し、課題克服に余念がありませんでした(Man of the Match)。二年生から入ったばかりのK8も開始早々魅せた足首タックル、もう一人R27の走るために生まれたようなBorn to run走法でのトライに裾野のさらなる広がりを感じました。

これだけではありません。普通なら手を抜きがちになる紅白戦こそが最も彼らの熱い気持ちをコーチ達に伝えてくれました。キャプテンチームとキャプテン指名を受けなかったパルチザンチームの内戦は2戦目で激しさを増しました。パルチザンチームの戦いぶり(相手ラックでの激しすぎるオーバーや本来T18のお株を奪うようなあおてんタックル)は、これから目指す未来から降りて来たような今年前半のベストゲームでした(H13以外にS1もMan of the Match)。黄・緑ビブス対決も、前夜ゲームキャプテン指名を受けたK20が憶することなく素晴らしいキャプテンシーを発揮し最後は自らの逆転トライでチームを勝利に導いた(Man of the Match)試合や、12年後のオリンピックが今から待ち遠しいなでしこK16が孤軍奮闘した(4日間叫び過ぎて声が枯れてしまったAoレフリー絶賛のWoman of the Match)試合で盛り上がりました。

ここまでお読みいただくと(毎週のこんな長文誰も読まないか)二年生の指導方針は勝利至上主義かと勘違いされそうですが、生徒達には「何点差で勝つ」といった目標を具体的にすることは言いますが、決して勝利が目的ではありません。ラグビーという手段を通じて明るい未来を発明するためにいまできることをする、その一点だけです。一人では何もできないけれど、26人が一つになれば世界をきっと変えられると彼らは気づき始めました。合宿最終日の朝、鉢伏高原の宿舎を見下ろせる高台で、一人がヤッホーと叫んでも聞こえなかった山のこだまが、ひとたび26人が声を揃えれば反響することを知ったように。その目的を生徒の内面から支えるのが知識・創造力・姿勢であり、外部から支えるのは彼らが所属する豊中ラグビースクールの価値観、行動様式なのです。二年生は今年の合宿でチームを組成することの意味がわかってきたようです。チームビルディング元年。蜜蜂たちの共同作業が開始されました。今から中学のカッコよすぎるニュージャージーに袖を通す26人の雄姿が楽しみで仕方ありません(中2の「ポンコツ」教え子たちも馬子にも衣装で立派な出で立ちでした)。

合宿最終日は恒例の体力測定。3日間走り疲れもあり数字の上では春からのスピード向上は見られませんでしたが、春から体重が乗った分(Y5は一日何回も体重計に乗り「32、32」と増量の喜びを噛み締めていた様子)、世界最速男ボルトのような力強さが出てきました。これも生徒を数字だけでランキングする目的ではありませんが、上位のレベル感を参考までに記載します(S25はなんと三冠王!素晴らしい)

ベースランニング(10M×10M):①S6  9.28秒、②R27 9.37秒 ③Y17 9.57秒

ジグザグ走(30M、5M毎3M幅):①S25  14.31秒、②R27  14.94秒、③H13 15.03秒

30M走:①S25  5.88秒、②Y17  5.90秒、③S6  6.02秒

遠投(ラグビーボール):①H9  14.0M、②T18  13.0M、③H13・S14  12.0M

キック(ラグビーボール):①S25  20.5M、②H9  19.0M、③J22  17.0M

お盆明けには夏休みの宿題を終えて晴れ晴れとしているであろう生徒の日焼けした顔を見るのが待ち遠しいです。

 

 

 

LINEで送る

10 thoughts on “二年生のチームビルディング~未来を発明するためにいまできること~

  1. コーチの皆さん、4日間大変お疲れ様でした。未明から起き始める生徒もいて、寝不足が続いたことと思います。今夏は特に暑かったので、皆バテてないか心配していましたが、疲れきっていたのはお父さん達でしたね。(前回りも決めてくれた某パパさんも三冠王です)
    今回は後半の2日間だけ参加させていただきました。最終日も26名が整列し一番に練習開始でしたね。他学年の保護者も感心しきりで。練習試合では、なんと息子の悔し涙を初めて見れました。少しずつ成長してくれている様です。有難うございました。

    • R21父さん、
      合宿後半お手伝いいただき大変ありがとうございました。
      R21は練習中に仲間に指示するなど積極的に取り組んでいました。スピードに乗ったトライも最高でした。今日は芝生メンテで彼に会うのが楽しみです。

  2. コーチの皆様、合宿では大変お世話になりました。
    先ほど、息子S25に「合宿はどうだった?」と聞いたところ、「タックルが上手になった」と迷わず答えていました。
    父親としては、息子に「タックルを頑張る」ことを合宿のテーマとして授けていたので、本当に嬉しい答えでした。
    僕は、タックルの技術が向上したことではなく、タックルへの意識が高まったことが、彼にそう答えさせたんだと感じています。
    それは、コーチの皆様の熱血指導の下、二年生の仲間達とともに、ラグビー漬けの四日間を経験したことが生み出した、必然であるとも思っています。
    実は、タックルが上手になったことに一番驚いているのは、つい先日まで、腰高でおっかなびっくりにタックルしていたS25自身かもしれませんね。
    どうもありがとうございました。

    • S25父さん、
      合宿前半お手伝いいただき大変ありがとうございました。
      S25は初日のミーティングでタックルを目標に頑張ると宣言した通り一生懸命課題に取り組んでいました。秋シーズンにチームを勝利に導くタックルが見られるでしょう。そうなればまさにオールマイティーな選手誕生です。

  3. コーチの皆様、暑い中大変お疲れ様でした。ありがとうございました。

    確かに、チームビルディング元年を感じさせてくれました。みんなのレベルアップの成果でしょう、一次フェイズでの独走トライは難しくなってきて、つなぐトライのほうがかなり多くなってきたように思います。
    3年生との試合でも、ブレークダウンでのボール争奪では負けていませんでした。むしろ優っていたと思います。勝てなかった原因もある程度明確で、これから練習していけば、秋から冬にかけて強敵相手の試合でもかなりいい勝負をしてくれると感じました。

    キャプテンチームとパルチザンチームの紅白戦は、実際白熱の好試合でした。K4君のプレーにはこの試合にこめる彼の気持ちが出ていました。試合後の彼の悔し泣きには私もジンと来ましたが、息子が彼に並んで歩きながら「泣くな」とやさしく言っていたのには驚きました。親の知らないところで、彼らは彼ら同士で強くつながったり離れたりしているようで、その過程が彼らを成長させてくれるのでしょう。26人が心をひとつにして取り組み、世界が変わることをぜひ経験して欲しいと願っています。
    ちなみに、今年はS14は自分のものは全部持ち帰ってきたので、去年のようにテキトーに他人のシャツやストッキングを着用していなかったようです。

    PS:タグラグビーで「やられたー」とか「あー、しまったぁ!」とかわめき続け、実にみっともなかったと反省しております。相当ヒンシュクを買っていたと思いますが、次回は静かに冷徹な大人のプレーをしたいと思います。
    また機会を設けて頂きたく。楽しみにしております。

    • S14父さん、
      合宿前半お手伝いいただき大変ありがとうございました。首巻きタオルが妙に似合ってました。タグ親子対決ではまさに汗だくで強い二年生に勝負していましたね。
      S14はこの合宿で一番伸びました。二日目の朝6時に丘に上がって持ち芸ある人から瞬間芸を見せて貰いましたが、真っ先に手をあげ、皆の前で恥ずかしがらずに、「ブラジルの人、元気ですかあ~!!」と地面に向かって叫んで大爆笑の渦でした。
      強いチームは芸達者が多い法則あると思います。秋シーズンは飛ばして行きます。

  4. コーチの皆さま、暑い中本当にありがとうございました!!
    保護者の皆さまもお疲れさまでした!(^_^;)
    初参加のオヤジも楽しませていただきました(*^^*)

    3年生とのゲームは残念ながら敗れましたが、接点では全く負けていないいいゲームだったと思います。
    1年生とのゲームでは1点も与えない徹底した弱いものイジメ(笑)を見せてましたね(^_^;)素晴らしいプライドを見せたと思います(*^▽^*)
    R15は狙っていた?Man of the Match受賞とはなりませんでしたが、オヤジも気になっていた最近不調のタックルもかなりできていましたので成長した合宿になったと思います(^_^)
    3年生とのゲームでのコーナーに追いかけてインゴールノックオンを誘ったタックルは見事でした(^_^)v
    オヤジから特別賞でもあげときます;^_^)

    子供たちが小学生になってからオヤジ自身初めての親子対決は、コテンパンにやっつけるつもりでしたが5ー4でなんとか勝利となり、なんとかオヤジの面目を保つことができました。良かった(^^;)
    (K8くん、ゴメンね)
    タグのちゃんとしたルールが分かりましたので、次回は保護者チームも事前に作戦を立てて挑みたいと思います(^_^)
    まだまだ子供たちには負けるわけにはいきませんから(^^ゞ

    この合宿で一番びっくりしたのは、すべて30分前から全員が集合し他の学年がグランドに来る前から先に練習を始めていたこと、しかもそれを自分たちから始めたというじゃないですか!(#^_^#)
    ヤツらにはホント感心します。先が楽しみでなりませんね(*^_^*)
    成果の発揮はまずは秋のテストマッチですね!

    何はともあれ、みんな無事で帰ってこれて何よりです。コーチの皆さまのおかげです。本当にありがとうございました。

    来年もスイカ担当(メイン)&水撒き(サブ)&カメラマン(趣味)として参加させていただきたいと思います(*^_^*)

    • R15父さん、
      はじめての合宿参加とは思えない活躍は場数を踏んでいるからか、単に性格なのか、親子ともにパワーを与えてくれますね。ありがとうございました。
      R15は二年生の試合でのインゴールノッコンを誘うタックルは午前の練習通りのバッキングアップから生まれたビッグプレーでMOMは正直悩みました。贅沢な悩みはこれからのシーズンイン後続きそうです。それだけ全員のレベルが上がっています。

  5. コーチの皆様、保護者の皆様、合宿お疲れ様でした。ありがとうございました。
    天候にも恵まれ、ラグビー漬けの4日間を子供たちは、とっても楽しんでいるように見えました。

    毎回、ホームページを読むのを楽しみにしています。
    (読んでいるお母様方はたくさんいますよ。私も今日が初コメントです。)

    上の子の試合を見ていたため、私が見た2年生の試合は、R15の素晴らしいタックルの瞬間だけでしたが、その素晴らしいタックル1本見ただけで、満足でした。思わず「R〜、ナイスタックル〜」と叫んでしまいました。

    日曜日のタグラグビーは、お父様方と一緒に楽しませていただきました。
    2年生26人、大人数で大変だったと思います。
    子供たちの帰りの部屋もとっても綺麗で、気持ちよかったです。
    本当にありがとうございました。

    • K12母さん、
      家族4人フル参加お疲れ様でした!K12は秋シーズンになったらお兄ちゃん譲りのしつこいタックルが見られそうで楽しみです。お姉ちゃんは何度も二年生の部屋の様子やちっちゃい撫子の面倒をみてくれて助かりました。ラグビーずっと続けて島根、NZでラグビー漬けの経験して欲しいですね。私の個人的な願望ですので本人の気持ち次第ですが。お兄ちゃんも怪我を早く治して頑張って欲しいですね。
      さあこれからサッカーの撫子を応援します。