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二年生の『循環思考』

北摂大会を終えて一週間。チームプレーで勝利した試合とそうでなかった試合のシーンが浮かんでは消えた一週間でした。今朝早くから集った二年生は全員(Y3病欠以外25名出席)で、チームプレーの要となるタックルを大人用のタックルマシンで自主練習をしました。手を拡げても半分くらいしか腕が回らない大きなマシンですが、新人のK8も果敢に挑戦していました。誰がマシンをいちばん遠くへ倒すかを競ったところ、最近タックルに自信をつけたY5が2M先まで運び、他を寄せ付けませんでしたが、その後R15が低いタックル一発、3Mという驚異的な距離で新記録。これなら相手が退場するかも。

いつものグランド2周走を終えて集った生徒を座らせ、マインドマップで試合の反省・次の堺交流戦の目標を描いたS10と試合に勝つために必要なことを6つ(どれも正解)もまとめたS14の紙を披露しました。先週病気で参戦できなかったS6もオールブラックスの塗り絵を綺麗に描いて持ってきてくれました。この後、先週唯一の負けを喫した「オールブラックス」の対箕面A戦での後半を実際にスローで再現しながら、振り返って貰いました。

【マイボールキックオフ→狭い空間への突進→相手に正面から捕まる→ボールが挟まれた状態でモール→ボールが出ない→相手ボールのスクラム】:こうならないようにするにはどうしたらいい?・・・「他の人がモールを押す」(M19)・・・それも一つの答えだね。

【マイボールスクラム→スタンドオフへパス→スタンドオフが前へ突進→ゲインラインの手前で相手タックルを受ける→不安定な倒れ方→余裕のないボールコントロール→後方から入り難いため不完全なブリッジ→相手のラックオーバー→ブリッジとその次のハーフ役も倒される→ターンオーバー→相手のサイド攻撃→タックルで止める→残る1人がオフサイドの位置から戻れない→相手が拾い上げてトライ】:こうならないようにするにはどうしたらいい?・・・(生徒無言)・・・オールブラックスと相手はそれぞれ何人生き残っている?・・・「2対3!」(お父さんにラダーを買って貰ったK12)・・・2対3ならどっちが強い?・・・「3!」(全員)・・・こうならないためにはどうしたらいい?・・・(全員無言)

今年一月からチームプレーを意識した練習を始めた二年生にとって、その後半戦には、チームに好ましくないことが起こると、それが原因となって余計に悪くなっていく悪循環がありました。

ラグビーでもビジネスでも大きな問題が発生すると反省会が行われます。「売上が前月比20%ダウンしました」→「営業力を強化しろ!明日から顧客訪問件数20%アップや!!」という結論に至る会議はわが社だけではないでしょう。ラグビーの反省会なら、「昨日の試合はタックルが弱かった」、「スタミナで負けた」という反省の弁に対し、コーチも含め多くの指導者は、「タックルに気持ちが入ってないから、今日から生タックルでやり直しや!」とか、「持久力強化が必要だ。今日からグランド30周!!」といった具合に「問題の裏返し」で結論づけしてしまいがちです。

反省をすることは大事ですが、「問題の裏返し」だけでは本質的な解決にはなりません。また新たな問題が起きれば、裏返しを答えとする、それこそ悪循環に陥ってしまいそうです。

本質的な解決について、そもそもチームとは何かということをあれこれ考えてみました。考えた末、チームとは、単に組織図のことではなく、システムなのだという気づきがありました。3人のキャプテン、メンバーだけを決めて終わりではなく、チームとは、組織図では表せない意思決定、行動プロセス(戦略立案、人的資源の配分、戦略実施、成果の評価、危機管理など)の集合体だということを念頭に、問題が発生すれば、チームの行動を決めているプロセスを大きく変えてみることが必要なのではないかと。

チームを悪循環から良循環へ反転するにはどうしたら良いか。今日、そのヒントとなるかもしれない新たな練習を開始しました。生徒を三等分し、黒、緑、青のビブス(青が4着無くなっていますので、ご家庭にお持ちの方はお持ちください)を着て貰いました。今日は最後までビブス装着状態で練習です。

①2対1でパス:7M四方のグリッド8面に3人づつ分かれ、30秒間パス。コーチがコールした色の生徒が鬼となって邪魔する。

②6人円陣パス:ボールを持っている人が名前を読んだ人以外にパスして、パスを受けた生徒が名前を呼ばれた生徒にパス(ニューフェースには名前を覚えるチャンス)。バリエーション1:自分のビブスと同じ色へのパス禁止。バリエーション2:パス&ゴー(パスした相手の所に弧を描いて走る。2人が重ならないように名前を呼ばれた生徒はすぐに次に投げる人を決めておくことが大事)

③6人グリッド内パス:同じ色のビブス2人を鬼として5M四方のグリッド内で30秒間で何回パスを通せるかを競う。

④6人グリッド外パス:グリッド内の2人が鬼となり、グリッドの四辺に1人づつ立ち、辺上を移動しながらパスを通す。これも30秒間トライアル。バリエーション:パス&ゴー(パスした相手の辺に移動)。5M向こうの対辺にロングパスをスピンパスで通す生徒もいました。

ここまで相当思考回路を酷使したようなので、水分補給。休憩後、6対6のタッチラグビーを行いました。緑、黒、青各2人でチームを組成し、半面で4チーム同時に試合を5分一本勝負で開始。ルールは、3回攻撃権ありの両手タッチ、タッチされたらその場で寝て、ブリッジ、ハーフからリスタート。一月に教えた縦に長いラックを作っていた生徒もいました。

メンバーを勝×勝、負×負同士入れ替えて後半戦。後半の追加ルールは、ラックでリスタートする前にコーチが「緑!」とコールすれば、ディフェンス側の緑2人が自陣トライライン中央に置いてあるコーンを回ってこないとプレーできないこととしました。攻撃側がこの数的優位のチャンスを捉えトライする意識を高めるのが狙いでしたが、生徒の中には攻撃側までコーンを回ってるケースも散見されました(苦笑)。目を見張ったプレーは、S14が3人飛ばしのレーザービームパスがウィングに通りトライとなった大人顔負けのディシジョンメイキングでした。S14はラックサイドの潜りでトライもあり、よく考えていますね。(脱帽)

生徒に楽しかったか尋ねたところ、先週の試合でタックルが好きになった様子のK8は「タックルありの方がいい!」と勇ましい一言。リクエストにお応えして、タックルありのミニゲームを全面(28M×14M)で行いました。今回は、ビブスで役割分担を明確化させる意図から、緑2人をウィング(左右3Mの幅のゾーンと自陣・敵陣それぞれ縦14Mのゾーンのみが攻撃・守備位置)、黒をブリッジ役と制限を加えてやってみました。さあ、両サイドのウィングを活かせるかが注目されます。試合は白熱の内容でしたが、ノーサイドの笛で一人大泣きが始まりました。敗戦が悔しかったのかと思い聞いたところ、ウィングで活躍できなくて悔しかったとのこと。なるほど、そういう生徒もいるのか。昔、フォワードの強かったチームは雨ともなると、アップ&アンダー(スタンドオフのハイパント攻撃)で試合中ボールが回らず風邪をひいたウィングがいたことを思い出し、また苦笑い。(M19ごめんなさい)

これから悪循環に対する本質的な解決策を探る旅となりますが、答えを見つけるのは生徒自身。小さな良循環を見つけられたら、そこから少しづつ大きな良循環へと繋がっていきそうです。悪循環が、お風呂の栓を抜いたときに起きる渦巻のイメージならば、良循環は竜巻のような上昇気流のイメージでしょうか。元日本代表の平尾HCも『理不尽に勝つ』でこう書いています。

「いってみれば、螺旋をかけのぼるイメージ、グルっと円を描いてもとの状態に戻るのではなく、螺旋状に上昇している感じ(中略)。上から見れば、同じ円のかたちに見えるけど、つまり同じところに戻っているように見えるけど、横から見れば、上に向かって上昇しているように見える、さらに進化していっているように見えるという形をとらなければ、負荷をかけても何の意味もない。」

練習の最後に中学生が日食がなぜ起きるかをわかりやすく人を天体に見立てて説明してくれました。解説してくれた二年生Kouhei君の6年前(J22とそっくりの腰高プレーヤーでしたよ)を思い出し、身体だけでなく思考回路も立派に成長したなと感じた次第。明日は晴れたらいいね。

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3 thoughts on “二年生の『循環思考』

  1. コーチの皆様、いつもありがとうございます!!
    残念ながら練習は拝見できませんでしたが、新しく楽しそうなメニューを提供いただいて子供たちも楽しくて仕方ないんじゃないかと思います。文字だけ読んでいると難しそうでR15に理解ができているのか甚だ不安ですが(笑)
    良循環のサイクルに入るのが楽しみですね!(^o^)

    前回のコメントでの予告通り土曜日に「父ちゃんのタックル講座」を臨時開講! もちろん一筋縄にはいきませんが、早速効果も出ているようで、何かを掴んでくれたなら何よりです(^_^)v
    ちなみに煽らなかった親が悪いのか金環日食には興味はなかったR15でした・・・(>_<)

    それではDVD鑑賞会よろしくお願いいたします!!

  2. A11くん こんばんわ! きのうはさいしょからさいごまでずっとわらっていたね! でもわらってばかりいたので、タッチラグビーのとき、わらってるA11くんの横を2回もあいてにぬかてトライされましたね! チームメイトもおこってましたよ! つぎはわらわないでしっかりチームのためにディフェンスしてください。ディフェンスがしっかりできればチームワークもよくなりますよ! らいしゅうはがんばってください! 

  3. R15父さん、
    なるほど!あの地を這うようなタックルは昨日の成果が早速出たわけですね。呑み込みが早過ぎます。
    昨日の頭の体操も皆コツをつかむのが早かったですね。今度はビブスの色をもう一色(黄色)加えた練習を考えときます。では観賞会で。

    指導員Mきたくん、
    チームでいちばん周りの事が見えて逐一コーチに報告してくれるA11がずっと笑っていたとは気づきませんでした。「変な」練習がよっぽど楽しかったのかな?A11がにこりともせず、体格を活かしたパワフルなプレーでチームを引っ張っている姿をコーチは楽しみにしています。26個も楽しみを持てる幸せです。