カテゴリー: '16-6年生チーム

二年生の勝敗を別けた「針鼠の概念」

朝方は肌寒いくらいの気温で空を見上げれば快晴。絶好の北摂大会日和となりました。午後は陽射しこそきつくなりましたが、熱中症の心配はなく、二年生は予定の6試合に24人(2名欠席)全員が出場し、5勝1敗で終えることができました。スクールとしての入賞は今年もありませんでしたが、スクールの底辺を支える二年生がこれからもっと強くなり、いつかは大優勝カップを手に入れたいものです。

今朝二年生を集めて、この一週間で描いたトライネーションズのキャラクラー塗り絵を皆に披露し、塗り絵の紙に書いた「今日なりたい自分」を発表してもらいました。二年生ともなると上手に色塗りができるようになって、配色もオリジナリティあふれる作品ばかりで感心しました。「トライとタックルとキャプテンをたすける。ボールをもっている人をこりつさせない。タックル:コースをよみながら、しんろをせばめる。トライ:パスをつないでトライをとる。キャプテンをたすける。声を出す」(S10)と、これまでの練習で意図してきたことをロジカルに目標として書いていた生徒もいました。すばらしい。「タックルしまくってトライしまくって2回ともかつ」(M19)という赤裸々というか直接的な表現で気持ちを伝えてくれた生徒もいました。その後の試合では、どの生徒も描いたとおりの自分を精一杯演じていました。その様子を以下記述しておきます。母の日と、どなたかお父さんのお誕生日のプレゼントとなったでしょうか。

◆スプリングボックス:Y3(チームキャプテン)、H7、K8、H9、A11(イメージキャプテン)、J22、M23、R24(ゲームキャプテン)

①第二試合VS島本B

(前半)マイボールキックオフ早々にH9が中央にトライ。チームCのY3が先陣を切るタックルからJ22が拾ってトライ。H9が相手モール内のボールを奪い、J22に繋いでトライ。ゲームC・R24のタックルを起点にJ22→Y3と繋ぎトライ。R24は自陣ゴール前のラインアウトから左へ大きく弧を描きながら独走トライ。J22タックルからもY3→H9と繋ぎ最後はJ22がトライ。6-0と点差が開いたところで、A11の突進(惜しくもトライならず)、Y3のラン、H9のステップと個人技も出ました。(8-2、MOMはフル出場で体を張ったゲームキャプテンR24)

(後半)今回2試合目という新人ながら「タックルをいっぱいしてあいてをたおし、みかたにボールをつないでいっぱいトライをしたい」と発表してくれたK8がいきなりほとんど習っていない激しいタックルを魅せます。ハイタックルと反則の笛こそありましたが、あの前に出る気持ちは高く評価。次の試合でもモールに体当たりするハッスルプレーもありました。そんなK8の突進からJ22のトライに繋がりました。自陣ゴール前でH7が相手を引き寄せながらのおじぎパスをよく捕ったJ22がそのまま快速をとばしトライ。今日はタックルでもアピールするJ22。最後はゲームC(R24)のタックルからJ22がトライでノーサイド。(14-4、MOMは唸り声をあげて大活躍のJ22)

②第六試合vs箕面B2

(前半)J22の勢いは止まりません。何度相手モールからボールをもぎ取りトライしたことか。今までできなかったことができるようになりました。H9も負けていません。タックル、パス、トライと三拍子揃ったチームプレーで手強い箕面の追撃を引き離そうと必死でした。(5-1、MOMはゲームを常に優位に導いたH9)

(後半)A11がモールでよくがめってJ22に繋ぎましたが惜しくもタッチに押し出されトライならず。相手の2連続トライで2点差まであっという間に詰め寄られます。そんなピンチをモールの中で頑張っていた生徒がいました。M23は何度も相手が持ちこんで形成されたモールの中でボールを出させないように我慢していました。自陣ゴール前のピンチで起死回生の独走トライに見えましたが、トライならずノッコン。しかし、チームに勝利を引き寄せるビッグゲインでした。(8-4、MOMは練習出席回数が少なくともチームに貢献したM23)

◆ワラビーズ:K4(急遽GC)、Y5、S10、M19、K20(病気回復途上ながら遅れて参戦。よく最後まで頑張りました。GCはK4代行)、R21(TC)、S25(IC)、R27

①第三試合vs箕面B1

(前半)キックオフからK4がノーホイッスルトライ。しかし、負けず劣らず積極的に攻撃を仕掛けてくる相手を、最近タックルに自信を持っているY5が2回続けざまにタックル成功。K4のトライに繋がりました。今日は攻撃でもチームプレーに徹します。ヒット、ターン、パスでK4のトライに繋げたプレーはわが二年生の目指している一つの形として体現されたものです。こういうプレーは仲間に連鎖します。S10の相手モールから奪ったトライ、K20もモールでがめってY5のトライに繋がりました。TCのR21も相手ゴール前でトライ寸前まで前進しました。(5-0、MOMは最近連続受賞のY5)

(後半)モールでR27が必死に相手ボールを奪おうとしていました。何度かの相手モールでM19がボール奪い、K4に繋いでトライ。R27が奪ったボールがM19に繋がりトライ。最後はK4がトライしてノーサイド。(9-1、MOMはゲームC代行の大役をカバーしたK4お疲れさん)

②第五試合vs茨木B

(前半)Y5のタックルは鋭敏さを増し、K4のトライへ。M19も負けじとタックル、ブリッジなどチームプレーで貢献します。なかなか点差がつかない膠着状態で、K4のラストパスを綺麗にキャッチした30M走最速男(R27)が人生初トライ!一本だけでも凄いことなのに、前半終了間際、今度はジャージーをつかんで離さない相手をスピードで振りほどいて堂々のトライ。また強烈なニューフェイスの登場です。(4-1、MOMは勿論R27初受賞おめでとう!)

(後半)これまでGC代行で大活躍のK4がリタイアしY5に交替。相手の大きい生徒が逆に怪我から復活し大暴れの連続トライで1点差まで詰め寄られました。終始劣勢の中、M19が気を吐いて頑張りノーサイド。(6-5、MOMは味方のピンチに燃えるM19)

◆オールブラックス:S1、T2、K12(TC)、H13(IC)、S14(GC)、R15、Y17、T18(S6は残念ながら病欠)

①第一試合vs東淀川A

(前半)相手キックオフでもたつくところを見逃さずTCのK12がタックルで仕留め、Y17に繋がって先制トライ。ペナルティからS14が飛びこんでトライ。K12はタックルのお次とばかり、フィジー顔負けの足フェイントでトライ。完全に流れを豊中のものにしました。最後のトライもS14から受けたパスをS1に繋いだもの。(8-0、MOMは今日のチームキャプテン指名の喜びをプレーで表現したK12)

(後半)ゲームキャプテンS14も黙っていません。相手モールのボールを奪ってトライ。続いてハンドオフで右隅にトライ。T18は今日なりたい自分としてステップを思い描いていた通りのステップで相手をかわしトライ。ラバーマンR15も得意のウナギステップで4本トライはお見事。T2も相手モールからボールを出させません。最後はT18が相手をスピードで振り切ってトライしノーサイド。(17-0、MOMは攻守でゲームを盛り上げたS14)

②第四試合vs箕面A

(前半)前回のカーニバルで自滅した苦い記憶が残る中の再戦となりました。記憶が新しかったせいか固さが抜けないまま受け身の展開。T18が一人3本のタックルで相手の猛攻を凌ぐも、タックルからの繋ぎが素早い相手にトライを重ねられ後半へ。(0-6、MOMは数知れないタックルで頑張ったT18)

(後半)先制点はY17の力走でのトライ。S1も相手モールでボールを奪いトライ。ここで悪い流れを断ち切りたかったところですが、モール攻撃で押し込まれた揚句のトライは応えました。これで皆の足と前向きな思考が止まりました。後は一年前に戻ったかのような単調なプレーの繰り返し。R15のタッチインゴールを割った悔やまれる幻のトライでノーサイド。強い箕面さん相手に今後課題を残す試合となりました。(3-12、MOMは大敗モードでもいつものように頑張ったS1)

今年1月から始めたチームを意識した練習の成果が現れた大会となった一方、一年生の時の記憶そのままに、様々なラグビーの知識・経験を持つ者がパワーラグビーに終始した試合では勝てないことが明確となった大会でした。偉大な実績に飛躍した企業とそうはならなかった企業との間には、戦略に二つの基本的な点で決定的な違いがあったと『ビジョナリーカンパニー②飛躍の法則』は書いています。その一つは、飛躍した企業では、戦略の策定の基礎として、三つの主要な側面を深く理解している。そしてもう一つは、飛躍した企業では、この深い理解を単純で明快な概念にまとめ、この概念をすべての活動の指針にしている。これが「針鼠の概念」である、と。

針鼠とは、古代ギリシャの「針鼠と狐」の寓話(狐はたくさんのことを知っているが、針鼠はたったひとつ、いざとなれば全身を針にして身を守りながら、餌を探し、巣を守るだけの単純な生活を送るという肝心要の点を知っている。人間も狐型と針鼠型の二つの基本型に分類され、狐タイプはいくつもの目標を同時に追求し、複雑な世界を複雑なものとして理解する。これに対し、針鼠タイプは、複雑な世界をひとつ系統だった考えによって単純化し、すべての行動を決定している)から来た言葉です。

針鼠の概念は三つの円で表現でき、これら三つの円が重なる部分を深く理解することが飛躍に繋がるとしています。ラグビーという団体スポーツも企業も組織としては同じとすれば、以下三つの円の意味も同じように捉えられるかもしれません。

1.チームが世界一になれる部分はどこか

2.成果に繋がる原動力になるものは何か

3.情熱をもって取り組めるものは何か

この三つの円の重なり合う部分からはずれる領域は見送るくらいの固い意志で、二年生を飛躍するチームへと導いていきたいと思った日でした。世界一になれる部分とは、26人のどこで切り取っても同じチームプレーができるチームであると思います。あとは保護者の皆さんのサポートとコーチングスタッフの創意工夫につきると思います。

次は堺RSさんとの交流戦。針鼠のようにのろいかもしれませんが、一歩、一歩着実に前進して行きましょう!

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4 thoughts on “二年生の勝敗を別けた「針鼠の概念」

  1. コーチの皆様、朝からご苦労様でした。一年生の時とは、また違う成長しつつある子供達の姿を見させていただきました。特にY5とJ22の闘志溢れるプレーは、今まで、出し切りていなかった彼らの可能性を感じる事ができました。
    見ていて一番感心したのは、試合に出ていない子供達が、仲間の試合に全員集中し、応援していたことでした。全員の気持ちが前に向かっており、大所帯ですが、どこのチームより一体感がありました。コーチの皆様の指導の賜物だと思います。道のりは長いですが、よろしくお願いします。

  2. H9父さん、
    こちらこそご声援ありがとうございました。日焼けがきつくて大変ですね。
    Y5、J22もよく頑張っていましたが、H9も大活躍でした。しかし、どの生徒もバイオリズムがありますから、今度は他の生徒が大活躍という複雑なサイクルがあるのでしょう。そのサイクルがわかってチーム編成できたら最高なんですが。
    チームの一体感は徐々に強まっていますね。週末の練習では、仲間を意識できる新たなメニューを用意しています。十五中の一角が賑やかになりそうです。

  3. コーチの皆様、保護者の皆様、お疲れさまでした。
    花園の時よりは暑さはマシでしたが、日差しはしっかりありましたね。日焼け止め対策はしっかりしたつもりでしたが、翌日会社で「パンダになってるで」とつっこまれました(^_^;)

    前回よりも確実に成長している子供たちの姿が素晴らしく格好良く目に写りました。特に練習でもしているハーフ役がパスアウトしてトライまで持っていくプレーは2年生とは思えないレベルに感じました。
    ただ、パスアウトを意識してか今まで自分で拾って出ていたタイミングより少し遅れることで、ラックでのプレッシャーの強い相手には苦戦をしていたのも多かったかなと。。。
    次のステップはボールアウト時の反応と判断といったところでしょうか。てか、そんなことを2年生に求めていいもんでしょうか?(^^ゞ

    さてR15・・・
    1試合目は力強いアタックでまずまずでしたが、2試合目はこの日の目標の一つであった「相手を退場させるタックルをする」どころか、普通のタックルもろくにできずに終わり。。。
    たま~にやってくる母の日&誕生日のコラボデー。
    残念ながら誕生日父ちゃん(Fukushimaコーチどちらで情報入手??)を満足させるまでにはいきませんでしたが、次に期待したいと思います。
    それまでにタックルの強化練習をしないと(^_^;)

  4. R15父さん、
    寸評ありがとうございます。
    本当に2年生とは思えないチームですね。それだけにもっとでんきるんじゃないかと欲張ってしまいます。
    同志社大往年の名HC岡さんがこなことをおっしゃたそうです。
    「ラグビーはチームプレーが尊ばれる競技であるが、チーム力が格段にアップするには『突出した個人』が不可欠である。そういう個人がいるときチームは好成績を残す。」(『ラグビーロマン』岩波新書)
    言わずと知れた林、大八木、平尾といったスター達を育てたコーチですが、「壊し屋」林を初めて見て舌舐めずりしたとのこと。私もそんな気持ちです。相手を退場させる「壊し屋」にまでは養成しませんが。。。
    高槻さんが吹田さんに僅差で敗れるなど、北摂二年生チームは下剋上の様相を呈してきましたね。20数年前の関西リーグに巻き起こった市大旋風の時代を思い出します。
    誕生日のことは誰かが試合前に言っていたのを耳にしました。誰かやっとわかりました。