カテゴリー: '16-6年生チーム

二年生から培いたい一生ものの『予測力』

前日までの雨模様から一転、暖かな日差しの中、ちょうど一年前を想い黙祷をささげた一年生(インフルエンザの影響などで20人出席)は自分達が植えた芝の上で生き生きと走り回りました。スクールからラグビーをなさっていたというお父さんに連れられ、新たな仲間もやってきました。今日の練習で好印象を持ってくれたら新二年生は27人となるでしょうか。もっと増えて欲しいですね。

まずはウォーミングアップのパス練習から。名付けて 「超(長)ヒモ理論」。長さ10Mの紐5本の両端を保護者の方10人に一年生の腰の高さでピンと伸ばして、1.5M間隔に平行になるように立っていただきました。紐と紐の間で生徒達がボールを紐の上をパスすることでラグビーのパスを基本から考えて貰いました。紐があるために少し山なりのパスが多かったですが、総じてペアでのランパスは上手にできました。キーポイントは次の通りです。

①レシーバーは大きな声で「パス」とハンズアップ(親指が他の指より高い位置にこないように)して貰う

②キャッチしたボールを、キャッチした高さから一度お尻より下に下げてからパスをしないよう、そのままの高さでボールを真横にパスできているか。

③パスし終わったときに、しっかりとパス方向に向かってまっすぐにフォロースルーできているか。

暖まったところで皆を集め、今日はラグビーの試合で勝つために必要なことについて尋ねました。

R15:「気持ち!」すぐに手を挙げて発言する姿勢はgood!

A11:「たくさん点を取る」 その通り。相手より沢山取れば勝てるね。ではどうしたら点を取れる?

全員「トライ!」の合唱。ではトライするために必要な練習は?

これには「ステップ、フェイント」などの答えがあちこちから聞こえました。答えはトライの練習をする。「な~んだ」と聞こえてきそうです。サッカーならゴールへのシュート練習。ラグビーは意外とトライの練習を教える教本が少ないのです。変幻自在のパスやら用具を使ったコンタクト練習メニューは沢山ありますが、クロージングとなる最も大事なトライの練習が書かれていないことは盲点(スコトーマ)ではないでしょうか。

ここで1対1になり15M間隔で向き合い、トライライン上のディフェンダーに一瞬でも触られずに飛び込んでタッチダウンできるかをやって貰いました。ほとんどの生徒がステップやスピードでトライを重ねていました。H13は一度も触れられず胸を張って自信たっぷりな様子。

ここでまた質問。2対2になったらトライできるか?「パスしたらできる!」と即答が帰ってきました。では、やってみよう。

同じ広さでトライライン上のディフェンダー2人がアタックの2人に正面に立つように並んでいました。それも相手をマークしたという決まりの双眼鏡のポーズで決まっています。

どうしたことか、さきほどすらすらトライをしていたH13がすぐ対面に捕まっていました。何回やってもトライできません。

また皆を集めて、どうしてトライできなかったか考えて貰いました。H13「狭くなったから」とのこと。その通り。パスをすると答えていた生徒が一人もパスをせず抜こうとしていました。でも試合では5人の相手だからもっと狭くなるよ。こう言うとと生徒は考え込んでしましました。

小学生で5人対5人を一つのユニットとしてラグビーを考えることは未だ難しいと思います。1対1で相手を抜いてトライできるまで成長した生徒達に何よりも大事なことは、2対2の局面を常に基本ユニットとして意識して、どうやったらトライできるかを自分達で考えることだと思います。2対2をいかに攻撃側が優位な形に持っていけるかを実戦形式の練習を通して学んで欲しいと思っています。

優位に立つポイントは、マークをはずすこと。これだけ今回は言い残しておきました。

ウォーターブレイクの後、4対4の中で、2対2を意識する練習を行いました。

4人・4人が5M離れて向き合って寝ているところの真ん中の線(さきほどのヒモ)より近いところにコーチがダウンボールすれば、遠い側の2人がボールをピックしコンタクトバッグに当たり、ハーフ役にパスします。ハーフは残りの4人にパスで繋ぎ、相手2人を抜いてトライする練習です。6対2になるわけですが、なかなかトライできませんでした。

次に、コーチが1~4のうち2つの番号をコールして、ボールをどちらかにダウンボール。呼ばれたディフェンス側の生徒は外に退場し、4対2になります。このときもボールを拾う人と次にパスを受ける人にディフェンス側が正面に立っているかを注意するようにアドバイス。最初は歯抜け状態のまま起き上がっただけで内側を詰める意識は全くありませんでした。

最後に5対5で全面を使ったゲームを行いました。但し、22Mと22Mラインの間はノッコンもスローフォワードもありの空間、22Mを超えたらラグビーのルールとしました。トライをしたら3秒以内に全員がトライラインを超えるというローカルルールです。

ゴール前は攻守とも緊張感を持って、それ以外は様々なことに挑戦してみるいわば「あそび」の感覚でプレーするメリハリをつける練習です。最後は全員フォローでトライする意識が大事。生徒の中には、味方がトライしたら自陣のトライラインまで戻ろうとした子供もいて笑わせてくれました。

先週、プロサッカー選手のメッシが1試合5本の華麗なシュートを決めていましたが、メッシはどうも「エキスパート直観」なるものが発達しているのではないかと一部の研究家の間で言われています。平均的な選手より視野が広いわけではないが、一度見ただけでより多くの情報を収集できるために、次の1手(スペースへのキラーパスやキーパーの想像を超える方向へのシュート)が他の選手より少しだけ早く、正確に打てるのではないかと。

この研究の朗報は、メッシのような才能には恵まれていない選手でも、訓練すれば人より少しだけ早いこの予測する能力を培うことが可能ということです。しかし、そのために、膨大な時間(俗説では1万時間以上)を費やして、ラグビーの仕組み、動きのパターンを学ぶ必要があるようです。

一年生にはこれからもラグビーの仕組みやフレームを一つでも多く体験し、大人になってからどんな世界でも「予測力」を発揮できるエキスパートを目指して欲しいものです。

その点、コーチはサッカーゴールを移動したまま放置して、迷惑がおきる予測もできない情けなさでまたも猛省。(予測力のなさは、スクールに「滅私」奉公でカバーか)

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