カテゴリー: '16-6年生チーム

一年生が目指す動的平衡

今年最後の練習は21人で行いました。快晴でしたが、風が冷たく、まずは身体の暖まる練習から開始です。

「鬼はうち」:最初に全員で手を繋いで円になり3人~5人の鬼を中に入れ、鬼を外に出さないために間を空けないようにしました。生徒は不思議と鬼になりたがりますね。

「白菜はがし」:白菜の芯となった生徒を10人で座って取り囲み、立っている残りの生徒が白菜をはがします。力も強くなってきましたので芯防衛に成功していました。

「くっつき鬼」:鬼一人が全員を追っかけますが、2人ペアになれば助かります。このペアに一人がくっつくと反対側の人が外に出ないといけません。鬼になりたくてわざと捕まる生徒もいました。

「大車輪」:これも生徒が好きなゲームです。お父さんに罰ゲームをねだるアマデウスのようでした。鬼なのに腰の曲がったおじいさんになったM19には笑かされました。

すっかり暖まった生徒を集めて今年最後のお話タイム。これまでの8カ月を振り返り、一年生の目標としていたプレー、心構えなどを全て全員が履修したことを褒め、来月からは2年生になった気持で行動するように伝えました。1月からはグランドに着いたら5分間ラダートレーニングをすることを日課とすることにしました。新しいラダートレを発明したら、生徒の名前を冠して「●○デラックス」などと命名します。

冬休みには、先週と今日渡したテニスボール2個を自宅で積み上げる練習に挑戦して貰います。数名しかできた生徒はいないようですが、きっとできると信じて取組みましょう。これができるようになれば、接戦の試合で我慢することを覚えられるかもしれません。

これからの練習では、豊中の弱い「崩れた状態(ノッコンなどでボールが転がったり、マイボールをターンオーバーされた状態など=アンストラクチャー)」へのチームとしての働きかけを強化していくことを説明しました。セットプレーからのトライやタックルはほぼ全員ができるようになったので、この強みは伸ばしながら、大人でも難しいテーマにもこれから取組みます。ワールドカップで優勝したNZはセットされていないカオス(混沌)の状態からトライを量産するタイプのチームでした。生徒達がエスコートしたワイルドナイツも日本ではめずらしい同タイプのチームだそうです(関係者曰く)。

ここで、T2、Y3が持って来てくれたマインドマップを皆に披露しました。どちらもたくさん力強い言葉を書いていました。T2の夢はラグビー選手になることだそうです。野球選手じゃなくてコーチはほっとしました。そしてS10には1分間プレゼンを行って貰いました。高槻戦でできていなかったこと(追いタックルなど)、できたこと(最後まで泣かずにリタイヤせず頑張った)、そして将来の夢(ラグビー選手になること)をはっきりと話してくれました。ありがとう!

さあ、早速新たな課題に挑戦です。

4チームに分け、2つのボールゲームを違うコートで同時並行で行いました。第一コートでは、キラー・プレースメント・タッチラグビー、第二コートでは、サークル・オフサイド・タッチラグビーという舌を噛みそうなゲームに挑戦しました。

前者は、攻撃側が両手タッチされたら縦に長いラックを形成し、ダウンボール→オーバー→ハーフのパスアウトの順番で攻撃するルールです。一方守備側は、タッチした人が自陣ゴールラインにタッチしてからでないとプレーに参加できないルールです。最初はとまどいがあった生徒達も徐々に慣れてきて攻撃がリズミカルになって、下のボールへの反応が早くなってきました。オフサイドの意識も身につきそうです。

後者は、3つのサークル(青コーン、赤コーン、ラダーで作った円)のうち2つをゴールとして得点を競うゲーム。コーチが「青は無し!」とコールすれば、それ以外の2つのサークルへ攻撃を行うものです。タッチ一回で攻守交替しますので、「きりかえ力」を鍛える練習になります。

これら二つの練習を交互に行いましたので、多少混乱はありましたが、初回にしてはスムーズにできました。1月もこの練習は続けたいと思います。

最後に3チームに分かれてミニゲームを行いました。春は目立たなかった生徒がボールを持って防御網を突破しようする姿に著しい成長が見られました。

生物を構成している細胞や組織が合成し、一方で分解していくことで、新旧の分子が入れ替わりながらバランスを保つ動的平衡状態のことを生物学の用語でターンオーバーと呼ぶそうです。ラグビーもチームあるいはユニットが離合集散しながらターンオーバーを繰り返すスポーツです。生物と同じようにラグビーの組織も単にプレーヤーの集合体ではなく、絶え間なく動き、それでいてバランスを保っている動的平衡状態が理想形かもしれません。そこでは、プレーヤーが移動しているだけではなく、情報の交換が行われてこそカオスの中に平衡が保たれるのではないかと思います。一年生も25人がどんな局面でも有機的に最大のパフォーマンスを出せるバランスのよいチームを目指して来年もさらに高みを目指します。引き続き皆様のご支援をよろしくお願いします。それでは来年こそ日本がよい年を迎えられますように!

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5 thoughts on “一年生が目指す動的平衡

  1. 動的平衡の概念をラグビーに持ち込まれたことに感心致しました。(私は福岡伸一ファンです)

    確かにラグビーほどこの概念がピッタリくるスポーツはないように思えます。具体的にはどういうことなんだと言われると私も言葉にできませんが。
    「情報の交換」をキーワードにされているのも非常に興味深いです。
    生体全体の動的平衡とラグビーのそれが違う点は、時間軸だと思われます。後者における「情報の交換」(あるいは「判断」)は瞬時に行われなければならないですよね。

    練習を見ていて、今日から次のステップに入ったことが私にもわかりました。
    ひとつひとつのプレーを切り離すのではなく、全体として、かつ継続した流れの中で、チームとして瞬時に判断して動けるようになること。
    確かに大人でも難しく、かつ日本が強国に一番負けている部分のように思えます。
    子ども達が今後この高みに果敢にチャレンジできるよう我々も支援致します。

    今日の練習が終わって引き上げてきた子ども達の顔は9か月前の幼年のものではなく、少年のそれに見えました。熱心にご指導頂き本当にありがとうございます。

    来年もよろしくお願い致します。

  2. S14父さん、
    会社の看板が昨日撤去されてしまったMakitaコーチではありますが、彼の人脈のお陰でワイルドナイツが目指すラグビーについて考える機会を得ました。そんなところに福岡教授の待望の続編が出ましたので、まさにセレンディピティというしかありません。ソール・ベローといい、何か繋がってきましたね。生徒同士も、試合中の瞬時のコミュニケーションさらにはテレパシー(これあります。パスする味方の目から光が出た感じ。バビル2世か・・・)といった情報の交換がこれからの練習で培われたら最高です。
    来年も奇想天外な生徒達とコーチ陣を宜しくお願いします。

  3. 想定外の長かったシーズンもようやく終わり、久しぶりに通しで練習を拝見させていただくことができました。

    戸惑いながらも新しい練習に取り組んでいる子供たちの姿が可愛かったです。 「こうしたらいいのに。」と大人のセコい考えを思い浮かべながら見ていると余計に可愛く見えました(^-^;

    コーチの例にある強いチームや一流と言われる選手はカオスの状況での判断・対応(簡単な例で言うとルーズボールへの反応・働きかけなど)が素晴らしいのだと思います。 もちろん基本ができていることは前提にはなりますが。
    こういった状況の時にはこうするとか決まった指導をしているチームもたくさんあります。 特に強い高校なんかに多いような気がします。 それは短期間でチーム作りとして強いチーム(勝てるチーム)を作る上では近道であることは確かだとは思いますが、個々のプレイヤーの判断力、対応力を制限しているように思えて仕方ありません。 それが大人になって世界と渡り合えない理由の一つなのではと思っています。(あまり言い過ぎると批判にも取られるのでやめておきます(-_-;))

    違う話になっていきそうなのでちょっと戻しまして、要は世界を目指す我が1年生たちだからこそコーチが用意してくださっている楽しいながらもしっかり考えて想像を広げて取り組まなければいけない練習メニューを通して型にとらわれない発想力のあるプレイヤーになってもらいたいものです。 その素質を十分に秘めた25人だと思います。
    頑張れ1年生!p(^^)q

    マインドマップを一回しか書いていないR15・・・。
    毎週のみんなの発表に触発されたのか練習から帰ってきて「今日マインドマップ書くわ!」と一言。 結局、時間の関係で書いてはないのですが自分から初めて言い出しました(^-^)v  今日にでも書いてくれるでしょう。

    今年もありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。

  4. R15父さん、
    今年は不思議な縁で繋がって大事なご長男を預からせていただきました。合宿からめきめきと頭角を現し、一昨日の試合では密集から力強く抜けるトライゲッターにまで成長しました。来年は「父親超え」の年と見ています。マインドマップに新年の計を書かせてあげてください。
    来年も観賞会などで最新のラグビー話を聞かせてくださいね。楽しみにしています。

  5. 肉離れもだいぶマシになり1週間ぶりに練習に参加しました。今回はワイルドナイツの実際に行われている練習を2つも組み込まれておりました。出来なくても当たり前のトップリーグの練習です。サークル、オフサイド、タッチラグビーではパスミスの連発でした。原因はパスを受けるプレーヤーがパサーから遠い位置、いわゆるサークルの近くにしかいないため、距離が遠すぎてパスが届かないのがほとんどでした、しかし、ターンオーバーになるや、すぐにボールを動かそうとする攻守の切り替えの速さはとても1年生にはみえませんでした。末恐ろしい25名ですね!