6年生、ストーリーとしての競争戦略

前回、今年のベスト経営書の話を書きました。今回はその経営書から思い当った6年生の競争戦略について書きたいと思います。楠木建一橋大学大学院教授がお書きになられた『ストーリーとしての競争戦略』(東洋経済新報社、2010年)がその経営書です。「目から鱗」のお話が散りばめられており、その名の通り、読み応え十分のストーリー性を持った良書です。

 

競争という言葉は、今話題の大相撲の例えで考えると分かりやすいのですが、同じ土俵でいちばんを決めることです。一方、戦略は、大人でも説明が難しい言葉です。もし誰かに「豊中ラグビースクール○年生の戦略は?」と尋ねられて、即答できるコーチは何人いるでしょうか。そもそも戦略という言葉は、人によって戦術の意味で語られる場合があり、定義付けしにくい点がやっかいなのです。戦略と戦術の違いを日本ラグビー界の重鎮と言われた方々は次のように明確に定義付けされています。

 

「戦略とは、たとえばゲームをフォワード戦に徹して行うか、バックス戦で終始するかというそのチーム独特のラグビープレーのあり方で、いわば戦法といった方が分かりやすいかもしれない」(注1)という岡理論に対して、戦略という言葉を戦法と言い換え、ドライビングモール(強いフォワードがラックではなく、固いモールでボールを前進させる)戦法、アップ・アンド・アンダー(バックスがハイ・パントを上げ、落下地点にフォワードが雪崩込み、ボールを獲得する)戦法を例に、「試合の戦い方・目指すラグビーの思想統一という意味で用いる」(注2)とする日比野理論も戦略を同じように説明しています。

 

これで競争戦略という言葉が見えてきました。つまり、ライバルに勝つためにチームとして目指すラグビーの戦い方ということかと思います。楠木教授曰く、戦略の本質は、「(競争する他チームとの)違いをつくって、つなげる」こと。つまり、ラグビーの戦略というのは、「要するにそのチームに固有の『攻め方』なり『守り方』を意味しているわけですが、攻め方なり守り方はいくつもの線で構成された「流れ」や「動き」として理解できます。戦略の実体は、個別の選手の配置や能力や一つひとつのパスそのものではなくて、個別の打ち手を連動させる『流れ』、その結果が浮かび上がってくる『動き』にあるのです。

 

先にご紹介した岡氏も、「チームはいろいろな戦略を身につけなければならない。そして体得した戦略を実際のゲームにおいてどういう場面でどういうふうに使うかは、プレーヤー自身が試合の流れの中で判断していかなければならない」と断じています。楠木教授と同じ「流れ」という表現をお使いになられているところに興味深いものがあります。そして、ここからが日本の世界と競合する全てのスポーツに言えることですが、「いちばん危険なのは、戦略を戦術と決めこんでしまうことである。すなわちゲームの前に、そのゲームの戦い方を決めてしまうのである。(中略)現在の日本のラグビーが“型にはまっている”ことを指しているにほかならない。ひとつの型にはまった原因が、伝統的に戦略をそのまま戦術として使うことが多いからのように私には思えてならないのである」と、日本のスポーツが型にはまった時は強いが、ひとたびその型が破られた時は意外に脆いと言われるのはまさにこのことではないでしょうか。

 

ではこれまでのまとめとして、ストーリーとしての競争戦略とはどういうことかというと、「『勝負を決定的に左右するのは戦略の流れと動きである』という思考様式です」。つまり、試合の流れの中で、生徒達がこれまでの練習で学んだ戦術を考えながら組み立て、全員の力をフルに出し合ってプレーをし、ゴールである勝利を目指すことにつきると思います。

 

6年生には1年生の最初の紅白試合から、両チームのキャプテンにじゃんけんをさせ、ボールを取るか、陣地を取るか選ばせていましたが、じゃんけんに勝って陣地を取った生徒にコーチは必ず尋ねることにしています。「なんで、こっちの陣地にしたん?」。そのキャプテンは、「風上だから」とか、「太陽がまぶしいから」と選択した理由を明確に説明していました。これは敵と戦う上の戦術のイロハですが、6年生には、「何故、そこでパスをしたのか?」「何故、キックをしたのか」といった理由を問うことで生徒が自分で考えるコーチングを行っていきたいと思っています。

 

長々と読後感想文調になってストーリーのない文章になってしまいました。それはさておき、先週、主任コーチからあったように、9月の茨木定期戦に5点差以上で勝利するという目標を6年生は見据えています。この目標が、生徒達が毎週の練習、合宿でどうしたら良いかを考える機会となって欲しいですし、試合で選手達が繰り出す選択肢を一つでも多く持たせたいと思っています。

 

今週の練習は、常に敵を想定したユニットプレーのレベル向上を目指し、密集付近で味方からボールをガットする際の力強いダッシュ練習、敵防御網の中央突破とその左右にサポートするプレーヤーが声を出し続ける練習、バックスのカットイン、カットアウトで敵ディフェンスラインを力強く突破する練習、ヒット&ドライブを行う選手に間髪を入れずバインドしオーバーをし、さらに後方のプレーヤーがピックしサイドへ潜り、同じことの繰り返しする練習、最後に、タックルマシーンへのタックルを行いました。梅雨明けの猛暑でしたが、誰も倒れることなく集中して取り組めました。Y4のおニューのスパイクが本人のやる気を感じさせ、特に印象に残っています。

 

 1:岡仁詩『ラグビーの技術と戦術』講談社、1985

 2:日比野弘他共著『ラグビーの作戦と戦術』早稲田大学出版社、2002

5年生 7/18練習内容

場所:十五中
参加者:11名
コーチ:4名

今日は、梅雨も明け大変暑い真夏日での練習でしたので、スロースタートで適宜休息・水分を取りながらの練習を心がけました。生徒にも事前にその旨を伝え、口々に「暑い・のど乾いた」など言わないように、体調が悪い人だけは申し出るように伝えました。夏の練習はどうしてもチームのやる気が継続できないので、一人でもやる気がなくなるとチームに感染してしまいます。また、今日の練習のテーマは「立ってプレーを継続する」とし練習を行いました。

1.柔軟
・グランド2周後に、再度柔軟を行いました。一応練習前に全員で行うのですが、正しい姿勢が出来ておらず、このまま続けても一向に効果が出ないので、そのあたりを指導しました。
<ポイント>
座って足を前にする場合
・ひざの後ろに隙間をなくし、地面にぴったりとつける。つま先は開かず付け、地面と90度、上を向くように。
・背中、腰を曲げずに真っ直ぐに地面と90度になるように、腕も真っ直ぐに上に伸ばす。
・息を大きく吸い込む。少しずつ息を吐きながら、前に倒し(顔は前向き、胸から倒すように)手で足の裏をつかみに行く。
座って足を開く場合も基本は足を前にする場合と同じです。ようするに、足が曲がっていたり、つま先が伸びていたり、背中が丸まっていたりした状態で、楽に柔軟体操をする癖がついています。これから体が急激に大きくなり、生徒の力も強くなりますので、体が硬いとケガをしてしまいます。是非ともお風呂上りに毎日続けて下さい!

2.ランパス
・今日は歩いてランパスを行いました。4人で行いました。
・ポイントとしては、真ん中の2人はとってすぐに(2歩以内)パスを放ることと、スピードに緩急(ボールを取る前と取る時、取った後はスピードを上げる)をつける意識付けの2点です。
・次に歩いてランパス(フォロー)を行いました。
・ポイントとしては、フォローする人は早い目にボールを持っている人に声をかけることです。右に入る!など早い目に声をかけてお互いに意識しあうようにしましょう!
・フォローに入るコースどりも色々工夫して下さい。目的は相手を抜き去ることです。
・歩いているにもかかわらず、ノックオンやスローフォワードが最初は目立ちましたが、なんとか形になってきました。
・最後に、走って行いましたが、数段に上手くなっていました。これからも続けたいと思います。

 3.キックダュシュ
・キックオフを想定して、ドロップキックより味方がスタートするようにしました。
・ポイントとしては、キッカーが蹴った瞬間、全速力でボールを追いかけて相手にボールを取られないように競う又は、取った後にタックルに行くことです。
・残念ながら、まだみんなのドロップキックのスキルが低く、いいボールが上がりませんでした。
・追いかける人も、スタートダッシュが出来ておらず、もたもたとしていました。

4.3対2
・アタック側3(SH、SO、CTB)、ディフェンス側2(FW、SO)の位置でスタートしました。
・ポイントとしては、アタック側は、ディフェンスの足を止めてパスを繋ぐこととパス後のフォローです。ディフェンスは、最初のFWがすばやくプレッシャーをかけ、SOはFWの状況を見て、ディフェンスに動くことです。簡単に言うと、2人で1人にタックルしないようにです。
・ディフェンスの意識付けは出来るようになりましたが、まだまだタックルに入れていない人が多いです。
・アタック側も個人技に走る傾向があるので、パスで相手を抜けるように練習が必要です。

5.アタック・ディフェンス
・本日の仕上げとして、少人数で行いました。ルールはBKのみで、3回連続して攻撃を行なう。倒れたら攻撃終了で行ないました。
・倒れる生徒はほとんどなく、意識できていましたが、そこからボールを繋ぐのは難しいようです。捕まったところへ走りこんで行くプレーが出来るようにしたいものです。
・タックルは相変わらず入れていませんね。夏合宿のテーマはやはりタックルですかね~
以上 夏合宿に向けて、柔軟等体調を整えるようにして下さい! 今年は、合宿中試合が2回行なわれますので、楽しみにしておいて下さい!