カテゴリー: '16-6年生チーム

目指すは『小学四年生の世界平和』

長距離走の折り返し地点を本日無事通過した四年生。数週間見ないうちに著しく成長していて頼もしく感じました。開校式に全員出席とはいきませんでしたが、1人の体験(Koudai君)を含む33人が集まり(欠席2人)、中学部全体より大きい勢力になりました。35人となるとセブンズチームが5組組成できます。そこで今日から新たな企画として、これらの組を一つの国に見立てて、総人口7人の国民がそれぞれの役割を果たしながら、3か月で国家の価値を高めていくこととしました。四年生の集合的英知をどこまで結集できるか。今日の子供たちのやる気満々の目を見ていたら、きっと何かを成し遂げてくれると確信しました。

名付けて「豊中RS版ワールド・ピース・ゲーム」。

今日はコーチから5人の首相を指名しました。次回は各首相が自国の外務大臣、国防大臣、財務大臣、世界銀行・国連の担当官を指名します。2週間あるのでじっくり考えてくれるでしょう。そして、コーチからもう一つの重要な役割を持った存在として各チーム一人づつ指名しました。それは、「神」。国家は常に人知の及ばない現象(気候変動、為替の暴落、原発の異常など)を抱えており、国のピンチにそれを操れる存在がこのゲームには欠かせない存在になるでしょう。

首相は、Y3、H7、R21、R24(1997年消費税を5%に引き上げた際の首相と同じ名前)、T30の5人。任期は3か月。短い任期中にどんな国家運営を指揮していくのか楽しみです。首相は主要閣僚と世界銀行並びに国連の担当官の任命・罷免権を有します。働きによっては交代もありえるところは実際の国と同じです。ただし、神は3か月間は誰も代えられない存在です。神は、一試合に一回のみ切り札を行使できます。同点のラストワンプレーなどの状況下で、レフリーに切り札発動を宣言し、味方に有利な状況を作り出すことが認められます。たとえば、「相手陣トライライン前5M地点でのマイボールペナルティ!」と言えば、全員がこの状況に即座に反応しないといけません。今日のゲームで早速発動した神がいました(こういうのは目ざとい四年生)。

そんな全知全能の神は、T2、Y5、H13、K16(女神です)、M19(名前の通り何でも叶えてくれそう)の5人。T2はラグビーノートに今年の目標を「みんなを元気に」と決めた通り、頼もしい神になりそうです。

メンバー構成は、安直に1、6、11、16、21、26、31といった具合に背番号に5を足した順としました。しかし、それがよい塩梅で配分され、面白い国家が出現しました。各国の国民が集まって2分の制限時間内に素敵な国名を決めました。Y3首相が宣言した国名は「ファルコンズ」(どっかのお父さんか?)、H7は「ハルトジョウ」と自身の名前を冠した国名、R21は「オール・イドックス」とこれも首相の苗字とオールブラックスをうまく合成しました。R24は「ドラゴン・コシヒカリ」。コシヒカリの意味は不明ですが、これも首相の一文字から命名したようです。T30は「タカト・セブンズ」と宣言。人気首相のフルネームで国名を即決です。もっと時間がかかるかなと思いましたが、中には30秒も経たないうちに決まった国もありました。

国名が決まったところで、世界共通通貨(グローブ)を各7グローブ支給することにしました。次回から、国と国の試合の結果(得失点差)でグローブのやり取りが行われます。ビー玉1個が1グローブ。もし通貨が枯渇してしまったら、世界銀行の担当官が他国に資金融通を申請します。ここで、S25が良い案を出しました。「借金が一週間経ったら2個のビー玉に対して1個の利子を付ける」。四年生で既に金利の概念をわかっていることに驚きました。この案は採用しましょう。しかし、悪徳高利貸しより高利のレートとは厳しい。

欠席者が多くメンバーが揃わなかったらどうするか。この場合は、外務大臣が他国の人材を一時的に借りる交渉を行います。国防大臣は国を守るために国民に何を今すべきかをアドバイスする必要があります。国連の担当官は、強国が出現した際に、弱い国同士の連携を促し、共同チームで対抗するなど交渉力が期待されます。

国別リレー競争を行って身体も暖まったところで、試合を行いました。先月から比べてダイナミックな動きが随所に見られ、チームプレーに徹しようとする行動も散見されました。チームで最も活躍していた2人を少し外して、別の国のメンバーを入れようとしたところで、外されたR15がショックのあまり大の字になって泣き出してしまいました。何かミスをして外されたと思ったのか。彼には悪いことをしました。これからも様々な国家間のトラブルが起きるでしょう。それを解決するのはもうコーチではなく、生徒一人一人なのです。言いたいところをぐっと堪えて「指導しない指導」を心掛けたいものです。

ワールド・ピース・ゲームは、コーチのオリジナルではなくて、35年前、日本・中国・インドなどを旅し、禅寺などで修行をした米国教師が開発した教育プログラムなのです。米国の小学校四年生に大人のグローバルな政治の世界を疑似体験させながら、教育の三つの基本的な要素を身につけさせようとするこのツールは、今では高く評価され、影響を受けた多くの教育関係者によって取り入れられているといいます。三つの要素とは、①知識(正確な答えと正しい解決策がある領域)、②創造性あるいは思わぬ洞察(まだ知られていないことをどうすれば発見できるか、訓練してあげること)、③英知(成功と失敗の両方から生まれてくる、より深く、より幅広い理解)。

「知識、創造性、そして英知。私はこの三つを生徒たちに育んでもらえるように努力している。そして私は教育の―いや、あらゆることの―究極的な目的だと私が信じていることを、子供たちに教えたい。それは単純に、世の中で思いやりを表すことだ。私たちは利口であればさまざまな問題を解決してしまえるだろうし、落とし穴を避けるだけの英知を持つこともできる。でもより高く、深い思いを表すことができなければ、生きる意味なんてあるだろうか?思いやりを表す以外に、私たちにどんな存在意義があるだろうか?そしてもっと深く、賢明に思いやりを表すことができるような仕組みや関係を構築すること以外に?」(ジョン・ハンター)

可能性という「エンプティ・スペース(まだ現実になっていないけど、現実になるかもしれないこと。可能性のゆりかご)」を生徒たちにたくさん用意して、彼らが仲間と英知を集結して各国の価値が高まることを期待して、さあこれから、ワールド・ピース・ゲームのはじまりです。

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2 thoughts on “目指すは『小学四年生の世界平和』

  1. コーチの皆様、今年度も1年間よろしくお願いいたします!
    S25父さん、R26母さんも1年間よろしくお願いいたします!あっ!R15母さんも(^_^;)

    初っぱなの練習からいきなり訳の分からん奇行に走りまして申し訳ございません(≧∀≦)
    泣いている姿を見つけて、そんな場面があったのかなぁと思ってましたが、本人の中で何が起こっていたんでしょうね?( ̄∇ ̄)
    あんなヤツですが末永くよろしくお願いいたします(^^ゞ

    オヤジが懸念するラグビーノートですが、何も言っていないのに初日から自ら書いていました。黙って見守りたいと思います(^_^)

    • R15父さん、
      朝挨拶もそこそこに嬉しそうにラグビーノートを書いたことをアピールしていました。丁寧な字で40人の仲間を目指すと記していました。本当に実現しそうです。
      ミニゲームは完全にゾーンに入っていたようでラグビーを取り上げられて一瞬茫然とし大泣きとなった次第です。決して奇行ではありません。ノートにチームワークという言葉も書いていて今年はチームの中で自分が何をなすべきかを考えて行動してくれそうで、楽しみです。