カテゴリー: '16-6年生チーム

三年生の闘争心と教養を磨く『野生の教育論』

今年最後の練習は、箕面RSさん、さぬきRSさんとの合同練習というまたとない機会となりました。加えて好天にも恵まれ、昨晩の雨の影響も少なく、天然芝の上で野生に帰った生徒たちは3時間たっぷり走りまわりました。箕面さんとさぬきさんで15名前後、豊中の生徒30名(1名体験、3人欠席)という大所帯の合同練習は、人数合わせゲームからスタート。コーチの発する「5人!」のコールに反応し、5人組を早く作る練習です。どうしても同じスクール同士で寄り集まるという本能が邪魔して、なかなか他のスクールと混じりません。だんだん数を大きくし、徐々に混じりあい出しました。4チームができたところで、日本では豊中しかやっていない「カバディ」を2コートに別れて行いました。見本を見せるとすぐに理解する生徒たちです。このゲームのスリル感にあっという間にとりつかれていました。一人の選手がコートのセンターラインを越えて相手陣に踏み込み、相手の誰かの体(足でも可)にタッチして自陣に戻ればセーフ、タッチされた相手の選手はアウトでコート外に出ます。ただし、相手陣に踏み込んだ生徒が相手に捕まって帰還できなければアウト。タックルで倒して味方が一網打尽にすることもできます。中には『永遠の0』の天才パイロット宮部久蔵よろしく、敵陣に乗り込みながら生き残ることに執念を燃やし、タッチせずに生還する生徒もいました。E28と同じ学校の生徒で体験参加してくれたKohtaroくんが混沌とした状態を見て本能的に怖くなったのか、それとも何をしてよいのかわからなかったのか、泣き出してしまいました。他の学年なら、ラグビーのパスはこうですよ、という具合に手ほどきが行われるのでしょうが、三年生の練習の流儀は、混沌の中から自分なりに意味を見つけ面白がること。そんな流儀を知る由もなく、可哀想なことをしてしまいました。もう懲り懲りかと思いきや、最後の自己紹介で元気に挨拶でき、29人の仲間に励まされ、来年も来てくれそうです。コーチはこういう感情を素直に表現できる生徒に是非ラグビーをやって欲しいと思います。彼も他の生徒同様グングン伸びると確信しました。

先ほどの4チームが縦に一直線になり、ボールパスリレー。他のクラスのコーチの情報でYouTubeにアップされているニュージーランド・クルセイダーズのコーチによる小学生のハンドリングスキルトレーニングをやって貰いました。3メートル間隔で立った11人がその場で半身の状態でパスを素早く行う所謂バケツリレー。ハンズアップもちゃんとでき、ノーミスでうまい具合にパスするチームが多く、流石間もなく四年生になる生徒たちです。次に、列を密着させ、上、下、左右の手渡しパスリレーで早くゴールしたチームの勝ち。どのスクールの生徒もすっかりアイスブレークして打ち解け始めました。

水休憩の後、野球のダイアモンドに見立て、ホームベース・1・2・3塁上と、ダイアモンドの各辺に2つのコーンを置き、それらのコーンの上に均等に生徒が立ちます。ベース上の生徒がボールを対角線上に持ち出し、「パス」の大きな声が出ているサイドにパスをして、対辺まで3人でパスを継続する練習を行いました。どこからボールが持ち出されるかを常に気をつけないと素早く反応できません。攻撃の方向が4方向のいずれかとなるため、空間認識能力も鍛えられます。徐々に慣れたところで、二人の対面をつけ、ディシジョン・メイキングの練習に切り替えました。箕面・さぬきさんに判断力のすばらしい生徒が沢山いました。

練習試合前の仕上げとして、ブレイクダウンで体を当てる練習を行いました。コーンを2M間隔で横4ヶ所に並べ、内側のコーン内に4人が俯せて、コーチの笛で起き上ります。内側の生徒が内側のコーンをそれぞれ回り転がっているボールを拾うかセービングをします。外側の生徒は外側のコーンを回ってオーバーしたり、オーバーされそうになるのを防御したりします。この練習にはまった生徒がおり、また今度やりたいと言っていました。

練習試合は、箕面・さぬき連合軍と豊中の2チームで2試合行いました。豊中はチームボールド、チーム・フレキシブルにチーム・グロウスと前回の試合で欠席だった生徒とを混ぜて全員が出場しました。結果は、豊中がいつにない(?)チームプレーを随所に魅せて全勝しました。強い北摂のライバルに全く歯が立たなかった一年生の頃から、チームの力を結集すれば、個々は弱くても全体では勝てるということに漸く気づき始めたようです。トライしたら交替としましたが、一人の生徒にトライが偏ることもなく、次々と違う生徒がトライをする光景は、ポンポンと製造される金太郎飴を彷彿とさせるものがありました。どこかのタイミングで体験の生徒も出場して欲しかったのですが、時機を逸してしまったのが残念でした。もちろんヘッドキャップを持ってないので、誰か貸してあげてと言ったところ、H32がサッと自分のキャップを取り、「これを使って」と差し出したシーンに今日一番感動しました。ということで、首近くまでお腹いっぱいになったビー玉の「魚」を来年の初蹴りまでH32に預かって貰うことに決めました。

 「感動は人を変える源泉である」とプロ野球界きっての名選手・名監督野村克也氏は表題の近著で語っています。

 感動とは「感」じて即「動」くことなのである。逆に言えば、感じなければ人は動かないし、変わることもない、ということになる。「感」じて即「動」くから人は成長するのである。感性、すなわち“野生”(本書では「野性」ではなく「野生」と呼んでいる)である。

 「闘争心こそが教養の源泉となる」とも。何よりも重要なのは、「気合いや根性があればなんとかなる、事足りる」という単純な野生ではなく、さらなる向上心や探究心、チャレンジ意欲を促し、引き出すための野生であり、「負けてたまるか!」という強い闘争心や反骨心と、教養と知性を兼ね備えてこそ、“真の野生”なのだと言います。

生まれたときから豊かさのなかで育ち、自分から求めなくとも何でも与えられ、教えられた人間には、その状態が当たり前であり、ありがたさがわからず鈍感になっていく。「人間の最大の悪とは鈍感である」と。この本には、「神の子、不思議な子」ことマー君から阪神の赤星に至るまで、何十人の教え子に野村再生工場でどんな“野生のスイッチ”を押してやり、一流と呼ばれる選手にしたのかを暴露しており、少し自慢話っぽくもありますが、十人十色の人を見てそれぞれに合った法を説いて気づかせたところは、スポーツを超えてコーチングのバイブルと言っても過言ではありません。氏は、選手たちに考えることの大切さを説く一方で、コーチたちには、こう言い続けたそうです。

 「技術を教えるのは一番最後でいい。最初から答えを教えるのではなく、まずは選手の問題意識が高まるようなアドバイスを」

問題意識を高めさせた選手のプレーに対しては、「結果だけを見て判断しない」過程主義で臨むべきであって、精神主義に陥りやすい結果主義を否定しています。見るべきは選手が正しい努力をしているかであり、考え抜いた判断と勇気を持って決断するに至ったプロセスなのだと。

勝負事というのは判断と決断の成否で決まる。判断は頭でするものだが、決断はハートでするものだ。判断は何らかの基準があってなされるのに対し、決断は基準がない。いわば賭けである。勇気が必要なのだ。指導者はそのための環境を用意してあげて欲しい。

早いもので彼らも来月から四年生への意識変革の時期を迎えます。勝負事に一喜一憂するのではなく、失われかけている若い人の野生を目覚めさせ、力強く生きられる人間にするために、失敗を恐れない覚悟のコーチングがいよいよ始動します。


LINEで送る

三年生の闘争心と教養を磨く『野生の教育論』” への2件のコメント

  1. Fukushimaさん始めコーチの皆様、いつもご指導ありがとうございます。

    先日の緑地公園の陸上競技場の練習では、途中、ちらついた雪も溶かすくらいの熱いご指導、本当に感謝しております。

    観客席からの応援は、子供たちが米粒くらいの大きさで、少々寂しかったですが、芝生の上で練習できていることに、関係者の皆様に大感謝です。

    また、久し振りにAKBコーチのお元気なお姿を拝見できましたこと、大変嬉しく思いました!

    まずはFukushimaコーチお勧めの野村克也さんの近著は、ぜひとも正月休みに読破することを約束いたします。

    僕自身、感じることはホントに大切だと痛感しております。が、息子S25は、おっとりしていて、どちらかというと感じているのかどうかが分かりにくい性格なのですが、遅まきながら、実は「ラグビーノート」を先週から書き始めておりました。

    にも関わらず、前回の練習、即ち記念すべき第一回の提出を、僕の不注意もあって忘れてしまったことは、親子どもども痛恨の極みです(>_<)

    今年流行りの「倍返し」ではありませんが、この冬休みは、親子二人三脚で、様々な角度でラグビーのことを考え、行動して、何かを感じ取れるよう頑張ってみますので、Fukushimaさん始めコーチの皆様、どうか温かく見守ってください!

    改めまして、今年一年、ご指導ありがとうございましたm(__)m

  2. S25父さん、
    とうとうラグビーノートを始めましたか!来年の初蹴りでノートを受け取るのが今から楽しみです。
    ノートは強制ではありません。生徒が練習や試合で思ったこと、気付いたことなどを文字や絵で書きたいと思うまで待っておくつもりです。中にはノートをつけていてもコーチに見せず、自分の日記としている生徒もいると思います。それでも構いません。
    彼は自主練の成果が出ています。体力測定も楽しみにしているようなので、来月測定をしたいと思います。
    本はご興味あれば、お持ちしますので今後はおっしゃってください。来年も読書日記は継続しますので、コメントをよろしくお願いします。