カテゴリー: '16-6年生チーム

一年生のUへの旅

久方ぶりの芝での練習を楽しみにしていましたが、「冬芝養生中」の立看板にがっくり。仕方なしに隅っこの芝らしきところで練習をすることにしました。(出席20名)


今日のテーマは、昨日の試合結果を踏まえた練習と運動会と重なって試合に出られなかった生徒との一体感を呼び戻すことです。運動会だった生徒には「かけっこで一番だった?」と尋ねると全員元気よく「一番だった~!」と即答が返って来ました。どの生徒も春から格段に走力を伸ばしていますから、それもそのはずではあります。一方、試合で頑張った生徒の中で、初キャプテンのS14に3人の助っ人を選んだ理由を質問しました。彼曰く、「S10君は、いちばん頑張っていた。J22君もタックルとかで頑張っていた。T2君は前の茨木(定期)戦で出られなかったから選んだ」と。一年生でもちゃんと大人の回答ができることに感銘しました。Man of the Match初受賞の生徒2人と2回目の生徒、そして吹田戦のキャプテンを務めながらも伊丹戦、茨木戦で身体を張って仲間を助けた生徒S10を改めて表彰しました。彼にはブラジルからやってきたタレス君(夏合宿でお世話になった留学生)から画用紙(ワールドカップの決勝トーナメントに出場したチーム名の入ったラグビーボールのイラスト上に、キャプテンを中心に吹田戦のメンバーの絵が貼り付けてあるもの)を贈呈しました。昨日のMan of the Matchの副賞としてブラジルレアルのコインを贈呈しましたが、まさか今日、本物のブラジリアンが現れるとは思いもしませんでした。村上春樹の小説のような「繋がっている」の感覚でした。因みに一番最初から合宿に何度も参加してくれていたフィジーのマラカイ君は英国で生活するとか。合宿でのフィジアンマジックがもう見られないと思うと寂しい限りです。前途洋洋たる彼(と彼のパートナー)の新天地での幸運を祈ります。


練習の前にコーチは昨日の3試合目(茨木戦)でのラスト3分のことを話しました。あの3分間が一年生の目標としていた姿であると。皆おしゃべりをやめてそのシーンを思い出しているようでした。生徒には難しいので話してはいませんが、あの時の状態は心理学で言うところの「フローの状態」だったと思います。あるいは最近では「ゾーンにいる」と言うスポーツマンも増えました。ギリギリの精神状態にあった生徒達が、何かが弾けたような行動に駆り立てられ、一気に流れが変わった瞬間でした。あの3分間は近く開催を計画しているDVD観賞会でもリプレイしたいシーンです。プレッシャーからのボールの争奪後、ノーミスでパスが継続され、トライに繋がるというラグビーの醍醐味が凝縮されていました。それは間違いなく一年生が目指す最高の未来の可能性に繋がっており、未来のビジョンがまさに今ここに持ち込まれたような感覚を覚えました。この上から「降ってくる」感覚のことを研究し「U理論」としてまとめている学者もいるほどです。


生徒には今年最後の目標として、春に大敗している「高槻に勝利する」ことを掲げました。それまでにスクール大会で4チーム(エントリーは2チームなので、前後半でチーム分けします)に分けて、各キャプテンを4人新たに選び全員が大阪の初めての対戦相手との試合を経験すること、次に堺交流戦でも全員で勝負することを中間目標としました。最後の高槻戦はコーチ陣が選ぶ今年のベストメンバー7人が闘うこととし、全員が高槻と試合できるわけではないと説明しました。多くの生徒が「よしッ!」と言う気持ちになったようです。つぶぞろいの個性派集団から選ぶコーチはノーベル賞選考より大変ですが。。。


今日の練習は、伊丹RSさんにできていて豊中にできていなかったブレークダウン(展開されたボールが敵のディフェンスによってその動きを止められた状態のこと)での個人のプレーを中心に楽しい2時間があっという間に過ぎました。


ラックでは、タックルを受け倒れた時のボールの処理の仕方について指導しました。倒れるときはボールをお腹に大切に抱えて倒れることが一番大事です。そこからボールを移動させてラックから優位に次の展開に持ち込むわけですが、その移動の仕方として、四角形をイメージして貰いました。原則はタックラーから一番遠いところに両手で置いておくことです。生徒は笛の合図で倒れて1.2.3.4のリズムでボールを両手で四角形の四隅に上手に移動できるようになりました。腕だけの動きではなく、その前の練習で柔道のエビ移動をやったように、体幹を動かして一番遠くにボールを移動するようにできれば卒業です。


モールでは、ヒットする際に当たり自体が弱い生徒が多いので、コンタクトバッグを持ったコーチ二人の狭い間を走りこんで抜き、正面に立てたタックルマシンにヒットする練習から始めました。次に、コンタクトバッグに強くヒットした軸足を中心にターンをする練習です。今回はターンするだけでなく、ヒットの勢いで一回転してサイドを抜ける練習を繰り返しました。大人になって2人のタックラーの間をするりと抜ける選手がよくいますが、小さい頃からこの回転軸の意識が刷り込まれているんだなと思います。


次にブレークダウンでのボールの争奪で重要なプレーとなる最初にボールに絡んで来る相手を払いのける練習を二人ペアで行いました。2メートル四方のグリッドを横に3つ用意し、この長方形の短辺に二人がうつ伏せで寝て、笛の合図で攻守に分かれます。攻撃側は最初のグリッドで中央に置いてあるボールを両手で押さえ頭を上げて敵のスイープに備えます。守備側は攻撃側の生徒を腕のところでスイープしてボールを蹴らないようにオーバーします。次のグリッドに移動し、攻撃側はボールを真上に跨いで守備側のスイープに備えます。守備側は同じく低く相手をスイープします。最後のグリッドでは、攻撃側がボールの上に寝転びます。守備側はこの相手を両手で持ち上げ払いのけます。これができるようになれば、もうひとつグリッドを追加し、ロールオフ(ボールに覆いかぶさっている相手をつかんで一緒に横回転してボールだけを残す練習も加えます。ワールドカップでもこのロールオフが散見されラックからの球出しをスムーズにしていました。


最後に「ピラミッド」(3メートル間隔で置いたコーンのところにボールを積み上げて行くリレーを2周行ない、競争しながら総力を高める練習をしました。皆スピード感ある走りを見せ、運動会でもきっとこんな顔で一番のテープを切ったんだろうなと想像しました。


来週土曜日は、天候次第で体力測定を行いたいと思います。春からどれだけ伸びたか楽しみです。

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2 thoughts on “一年生のUへの旅

  1.  ほんとうに、変化に富んだ、そして子供たちを飽きさせない多くの取り組み いつもありがとうございます!
     なぜだか、最近、KENTAのジャージ姿が、とてもしっくりきているなあ、と感じます。楽しみの中に、何か出てきたのでしょうか?
     兄貴に似て、砂いじりがとても好きなKENTAですが、よろしくお願いします。
     我が家の3人目のラガーマンは、親のプレッシャーもなく、のびのびラグビーを楽しんでいますね。この寛大さがMASAの時にあれば、と少し後悔していますが、MASAもあいつなりに、今は楽しくしているようです。
     今後ともよろしくお願いします。

  2. 今日(土曜日)の練習は中止となりましたので、体力測定は次回の土曜日練習時に持ち越します。
    twelveパパさん、
    私も、KENTAが最近ラグビーに興味を示してきたと感じています。伊丹戦でやる気が強く出ていました。私もそうですが、長男には自分の気持ちをダイレクトにぶつけてしまい、知らないうちにプレッシャーをかけていたと反省しています。長女にはプレッシャーを与えることもなく、好きなようにやらせ、今では女子ジャパンと一緒に練習させて貰えるまでラグビー漬けの生活を楽しそうに送っています。子育ては難しいです。KENTAのお姉ちゃんにもジャパンを目指して欲しいですね(それがプレッシャーか)。
    MASA譲りのしつこいタックルがK12にもできる日は近いと思います。コーチは生徒達が自分を越える方法をマスターできるよう一緒になって考え行動しますので、息子さんたちの良い面を褒めてあげて下さい。